第七話:旅立ちの決意と別れの朝
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マジックバッグを手に入れ、剣術の基礎も身につけた俺は、いよいよ村を離れる決意を固めていた。魔物の大侵攻まで、残された時間は少ない。このまま村に留まれば、ゲームの歴史通り、俺は魔物の餌食になるだろう。
「エメラルドの都へ……。いよいよだな」
自室で、俺はマジックバッグに荷物を詰めていた。着替え数枚、水筒、そしてダンジョンで採集した薬草や素材。これらが、俺の旅の資金源となる。
村で手に入れた古びた剣は、腰に差した。以前よりも重く感じないのは、筋力が向上した証拠だろう。
この半年間、俺はひたすら己を鍛え上げてきた。
その結果、ステータスは着実に伸び、特に【知力】と【魔力】は、駆け出しの冒険者としては十分なレベルに達している。
【名前:アルス】
【種族:人間】
【職業:なし】
【体力:5.0】
【魔力:5.5】
【筋力:5.0】
【敏捷:5.0】
【器用:5.0】
【知力:8.0】
【幸運:0.5】
【スキル】
毒物耐性 :3.0
サバイバル知識:3.5
薬草学 :3.5
ナイフ術 :3.5
モンスター生態学:3.5
魔力親和性 :3.0
魔法理論 :2.5
魔力操作 :2.5
ファイアボール:2.5
剣術 :2.0
危機察知 :1.5
交渉術 :1.0
共感性 :0.8
身体能力は成人男性の平均を優に超え、魔力も実用レベルだ。ファイアボールは、もはや小さな火の玉ではない。人頭大の炎の塊を、連続で放つことができるようになっていた。
剣術も、素人レベルは脱し、基本的な型は身につけた。
なにより、【知力】が「8」に到達したことで、新たなスキルが覚醒した。
【鑑定:未習得 → 1.0】
鑑定スキル!
これは、アイテムや魔物の情報を詳細に知ることができる、冒険者にとっては喉から手が出るほど欲しいスキルだ。ゲームでは、特定のアイテムを使用するか、高レベルの冒険者ギルドで依頼をこなすことでしか手に入らなかったはず。まさか、知力の上昇で覚醒するとは。
これで、ダンジョンで手に入れた素材の価値を正確に判断したり、未知の魔物の弱点を見抜いたりすることができるようになる。
そして、【幸運】もわずかながら「0.5」に上昇していた。マジックバッグの獲得が影響したのだろうか。
「幸運」は、ゲームでは隠しステータスで、滅多に上がらないレアな能力だったはずだ。それが、こんな形で上がるなんて。
「よし、これで準備万端だ」
俺は静かに息を吐いた。
あとは、村の人たちに別れを告げるだけだ。
翌朝、夜明け前に俺は家を出た。
村はまだ静まり返っている。
しかし、村の入り口には、すでに長老が立っていた。
「アルス……。やはり、旅立つのか」
長老は、優しい眼差しで俺を見つめた。
俺が旅立つことを、彼はすでに察していたのだろう。
「はい、長老。この村で得たものを胸に、もっと広い世界を見てきます」
俺は深々と頭を下げた。
この村で、俺はゼロから多くのものを得た。
温かい村人たちの支え、そして、生き抜くための力。
感謝してもしきれない。
「そうか。お前なら、きっと立派な冒険者になるだろう。だが、決して無理はするな。そして、困ったらいつでもこの村に戻ってこい。お前は、この村の家族だからな」
長老の言葉が、俺の胸にじんわりと染み渡る。
家族。その言葉に、俺は思わず目頭が熱くなった。
前世では、一人で孤独に働き、誰にも顧みられることなく死んだ。
だが、この世界では、俺には家族と呼べる人々がいる。
「はい、長老。必ず、また戻ってきます」
俺は長老に背を向け、東の空が白み始めた道を歩き出した。
振り返ることはしなかった。
ここで立ち止まるわけにはいかない。
エメラルドの都への道は、東へ三日。
以前は遠く感じた距離だが、今の俺なら、きっとたどり着ける。
道中には魔物もいるだろうが、もう以前のような無力なモブではない。
森の中に入ると、朝露に濡れた木々が、朝日を浴びてキラキラと輝いていた。
鳥のさえずりが、俺の旅立ちを祝福しているかのようだ。
俺は、剣を握りしめ、前へと進む。
エメラルドの都。そこには、冒険者ギルドがあり、様々な出会いが待っているはずだ。
そして、いずれは、ヒロインであるエルヴィーナ王女との再会も。
「待ってろよ、エメラルドの都! そして、この世界の運命よ!」
俺は心の中で叫んだ。
モブの成り上がり物語は、いよいよ本格的な幕開けを迎える。
その先には、どんな困難が、どんな真実が待ち受けているのだろうか……。
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