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転生したら、まさかの脇役モブでした ~能力値ゼロからの成り上がり、世界を覆すは俺の役目?~  作者: 水無月いい人
第四章:真実への扉、動き出す世界

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第三十一話:儀式の中枢と『覚醒する力』

古の神殿跡の地下。巨大な魔法陣が不気味な光を放ち、ロード・オブ・シャドウとローブの魔術師たちが、魔王復活の儀式を執り行っている。


俺は、剣を構え、ロード・オブ・シャドウ目掛けて一直線に駆け出した。


「邪魔をするな、人間!」


ロード・オブ・シャドウが、闇の魔力を込めた掌を俺に向けて突き出した。

漆黒の魔力が、まるで津波のように俺に襲いかかる。


俺は、咄嗟に【危機察知】スキルで攻撃の軌道を読み取り、紙一重でかわした。

闇の魔力は、俺のすぐ後ろの壁に激突し、轟音と共に壁が崩れ去った。


(やはり、強力すぎる……今の俺では……)


ロード・オブ・シャドウの攻撃は、以前よりもさらに強力になっている。

儀式の魔力を吸収しているのか、あるいは、彼自身が本気を出してきたのか。


俺は、剣に魔力を集中させ、【魔力剣】を発動した。

蒼白い光を放つ剣で、ロード・オブ・シャドウに斬りかかる。


「はああああああああッ」


キィン!と、金属がぶつかり合うような音が響いた。

ロード・オブ・シャドウは、漆黒の爪で俺の剣を受け止めた。


その爪からは、闇の魔力が放出され、俺の剣の光を打ち消そうとする。


「小賢しい真似を……! 貴様のその力、どこまで持つか見せてもらおうか」


ロード・オブ・シャドウが、嘲笑を浮かべた。


その時、周囲にいたローブの魔術師たちが、一斉に俺目掛けて闇の魔法を放ってきた。


「クッソ!邪魔すんじゃねぇよ!モブ共が!!」


俺は【ファイアボール】を連射し、闇の魔法を相殺するが、その数はあまりにも多い。

俺は、多勢に無勢の状況に陥っていた。


(このままでは、儀式を止められないどころか)


──命を落とす。


俺は、どうにかして魔法陣を破壊する手はないかと考えた。

魔法陣は、数本の魔石の柱に囲まれており、そこから魔力が供給されている。


あの柱の一本でも破壊すれば、儀式を一時的にでも中断させられるはずだ。


俺は、ロード・オブ・シャドウの攻撃をかわしながら、魔石の柱へと視線を向けた。


目を見開き、【鑑定】スキルで柱を調べる。


【オブジェクト名:儀式用魔石柱(闇属性強化)】

【概要:魔王復活の儀式に魔力を供給する柱。闇の魔力によって強化されており、通常の攻撃では破壊が困難 】


やはり、簡単には破壊できないか……。

だが、困難なだけで破壊できないわけではない!


俺は、ロード・オブ・シャドウの攻撃を回避しつつ、魔石の柱へと近づいた。


「悪りぃな!小賢しさでは誰にも負ける気がしねぇんだわ!」


ロード・オブ・シャドウが、俺の意図に気づいたのか、怒りの声を上げた。


「なッ! ?──まさか!させん!儀式の邪魔などさせんぞおおおおおお!」


ロード・オブ・シャドウが、俺の前に立ちはだかった。

奴が放つ闇の魔力が、空間全体を歪ませる。


俺は、ロード・オブ・シャドウと対峙しながら、自分の持つ全てのスキルを頭の中で整理した。


(考えろ俺……目の前にいるのは魔王の幹部。コイツを倒さなければ、魔王を倒すなんて、夢のまた夢だろ)


俺は思考をフル回転させる。


(……って。何でモブである俺が勇者気取ってんだよ……)


【剣術】、【ファイアボール】、【魔力剣】……。

そして、聖女セレナとの接触で覚醒した【光魔法】。


まだレベルは0.5と低いが、闇属性の魔石柱には有効なはずだ。


俺は、右手に剣を構え、左手に魔力を集中させた。


【光魔法】の詠唱に入る。


(……頼む。今だけでいい!俺に力を貸してくれ、神様!)


左手に意識を集中させると、瞬く間に光を放ち始める。


「光よ、集え……!」


ロード・オブ・シャドウが、俺の行動に気づき、驚きの声を上げた。


「光の魔法だと!? 馬鹿な、貴様のような人間が、なぜ……!?」


彼の動揺は、俺にとってチャンスだった。

俺は、詠唱を続ける。


「俺はモブ……ただのモブだ。本来、なんの力も見せ場も無い、メインキャラクターにすら関わる事も無い作中の背景に過ぎないモブ──」


「させるかああああああああッ」


ロード・オブ・シャドウは俺の元に叫びながら近付いてくる。


「──けど。モブかどうかを決めるのは、俺自身だ」


それは詠唱というより、


「……【ライトニング・ボルト】!」


ただ、自分を奮い立たせるための──願いの言葉だった。


「やめろおおおおおおおおおおおおッ」



俺の左手から、細い光の矢が放たれた。

光の矢は、ロード・オブ・シャドウの隙間を縫うように、魔石の柱へと向かっていく。


(……遅せぇよ、バカ)


パチィン!と、小さな音を立てて、光の矢が魔石の柱に命中した。

魔石の柱は、わずかにひび割れた。


……

…………

………………



……しかし、破壊には至らなかった。


やはり、レベル0.5の光魔法では、この程度の威力か。


「…………くそっ、結局俺はここでもモブなのかよ……」


俺は地に膝をついた。


「……フ……フフフフ……フハハハハハハハハハハハハハッ!……今のは流石の私も焦ったぞ?だが、貴様程度の力では、石柱にヒビを入れる事しか出来ぬようだな」


奴の言う通りだ。俺はもう……。


──その時、俺の脳裏に、あの古の勇者の声が響いた。


『……光は……闇を穿つ……。信じよ……己の力を……』


勇者の声が、俺の心を、体を奮い立たせた。


「…………そうだ……まだだ。まだ俺は負けてない」


フラつこうが、関係ない。

俺は立つ。何度でも。


「無駄だというのがまだ分からぬのか」


俺は勇者でも、ゲームの主人公でもない。モブ。無色透明。何も持っちゃいない。


「フハハハハ……アハハ…………なんだ貴様……その力は」


そんな俺でも、この世界に転生した時……いや、する前からたった一つだけ持ち合わせていたものがある。


「社畜……根性……ふぅ……」


口から吐息が漏れる。



そして、俺の黒い瞳が、強く輝き始めた。

体の中から、今まで感じたことのない、強大な魔力が湧き上がってくる。


【ユニーク能力:勇者の魂の残滓:未習得 → 1.0】


【ユニーク能力:光の加護:未習得 → 1.0】

【魔力:9.5 → 10.0】

【知力:12.0 → 12.5】

【光魔法:0.5 → 1.0】

【経験値を得ました】

【ステータスポイントを5獲得しました】


俺に新たなユニーク能力が覚醒した。


「勇者の魂の残滓」……やはり、俺の瞳は、古の勇者と繋がっていたのか。

俺はモブじゃなかったのか……?


そして、「光の加護」。これが、光魔法の力を増幅させているのか……?


俺の体から、まばゆいばかりの光が溢れ出していた。

その光は、地下空間に充満する闇の魔力を、一時的に押し返す程。


「な、なんだ!? この光は……!」


ロード・オブ・シャドウが、驚愕の声を上げた。

彼の顔に、初めて真の恐怖の色が浮かんだ。


俺は、その光の力を最大限に引き出す。


【光魔法】の詠唱を、再び行う。


今度は正真正銘の詠唱だ。


「光よ──古の盟約に従い、天よりの光を乞い願う」


(……なんだコレ……頭に情報が流れ込んでくる……)


「闇を払う聖なる矢よ、今こそ、我が命に応えよ! 『ホーリー・ボルト』!」


俺の左手から放たれたのは、先ほどとは比べ物にならないほど、強大な光の矢だった。


光の矢は、空間を切り裂き、ロード・オブ・シャドウの隙間を縫って、魔石の柱へと向かっていく。


ドォォォォン!


轟音と共に、光の矢が魔石の柱に直撃した。

魔石の柱は、先程までと違い、まるでガラスのように砕け散った。

そして、魔法陣に供給されていた魔力が、途絶えた。


「ぐ、ぐあああああああっ!」


ロード・オブ・シャドウが、苦悶の叫び声を上げる。

魔法陣の光が消え、儀式が中断されたことで、彼もまたダメージを受けたようだ。


ローブの魔術師たちも、魔法陣の停止に動揺し、詠唱を止めていた。


「……くそっ、この小僧め……! 許さんぞ!」


ロード・オブ・シャドウが、怒りに震えながら、俺に襲いかかってきた。

彼の爪が、俺の顔目掛けて振り下ろされる。


俺は、剣を構え、ロード・オブ・シャドウの攻撃を受け止めた。


「言ったろ?小賢しさなら負けねぇってさ」


【魔力剣】と【光の加護】の力が、俺の剣に宿っている。

剣が、闇の魔力を打ち消すかのように、まばゆい光を放つ。


ロード・オブ・シャドウは、俺の剣の光に怯んだ。

彼の爪が、俺の剣に触れた瞬間、ジュワァ……と、肉が焼けるような音がした。


「ぐあああああああっ!」


ロード・オブ・シャドウが、悲鳴を上げて後退した。


「なぜ貴様にこれ程までの光……が……」


彼の爪からは、煙が噴き出し、まるで溶けていくかのように、その形が崩れていく。


「……馬鹿な……この力は……まさか……」


ロード・オブ・シャドウは、俺の黒い瞳を凝視した。

その瞳には、恐怖と、そして、かすかな「絶望」の色が浮かんでいた。


「……勇者……だと……?」


ロード・オブ・シャドウが、震える声で呟いた。


「…………小僧。今回は引き分けとしてやる。だが、必ず魔王様の復活は果たす。必ずだ!それまで震えて待っていろ……ぐっ」


そして、彼は、再びその姿を煙のように消し去った。


ローブの魔術師たちも、ロード・オブ・シャドウの撤退と共に、地下空間から姿を消した。


静寂が、地下空間に訪れる。


「………………終わった」


俺は、剣を納め、深く息を吐いた。

魔石の柱を破壊し、儀式を中断させることに成功した。


正直、もう戦う力が無い。もし奴が撤退していなければ俺は今日ここで確実に死んでいた。


「……少しだけ……休ませてくれ……」


俺はその場に寝っ転がった。


結局奴を倒すまでには至らなかった。

けど、新たな力を手に入れた。


俺のユニーク能力が覚醒したのだ。


(勇者の魂の残滓……光の加護……。俺は、本当に勇者なのか……?)


モブとして転生したはずの俺が、まさか「勇者」と呼ばれる存在になるとは。


この世界の運命は、俺が思っていた以上に、複雑に絡み合っている。そして、俺が知っているゲームと異なる点が多々あるのも事実。


「メインストーリー……まだ始まってないんじゃ無かったのかよ……」


これがメインストーリーでないと言うのなら、十年後どうなってんだ……。


しかし、ロード・オブ・シャドウは、まだ完全に倒したわけではない。

儀式は中断されたが、完全に阻止できたわけではないだろう。


まだ、他の二つの場所が残っている。


俺は、古の神殿跡の地下で、新たな力を手に入れた。

この力を使って、俺は、この世界の運命を、どこまで変えられるのだろうか。


「……少し寝る」


誰に言い聞かせる訳でもなく、そう呟き俺は目を瞑った。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます! もし面白かったら、ブックマークや評価、感想で応援していただけると嬉しいです!


また、リアクションは目に見えてモチベが上がり、投稿頻度にも繋がりますのでよろしくお願いします!

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