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ウチの騎士団長は未来が視えます!…僕が今日死んじゃうってホントですかッ!?  作者: キモウサ


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03. 第一王子からの護衛依頼

「ああ、腹いっぱいだー。美味かった!」

 


 団長はロボスト副団長が選り抜いた肉多めパンを食べきって、満足げにお腹をさすりながら、だらしなくソファーにもたれかかる。


 結局、団長はお腹が膨れないと使えないと判断した僕は、大人しく食事が済むのを待った。よし、今なら僕の話も頭に届くはずだ。

 


 「さあ団長!僕が死んじゃうかもしれないって話をしましょうよ!」

 


 分かった分かったといいながら、団長はアーネストさんが新しくいれたコーヒーを飲みながら話し始める。

 


 「グーフィー、お前の今日の仕事の予定はどうなってる?」


 「僕ですか?」

 


 慌てて手帳を開いて、今日の予定を確認してみる。

 


 「えっと今日は……朝一番で第一王子殿下から入った緊急の護衛依頼があります!昼過ぎに殿下のお住まいの離宮に近い西玄関口で落ち合って、スピナー侯爵令嬢をご自宅までお送りすることになってますね」



 こういう護衛の仕事も第八騎士団の仕事なんだ。第一王子殿下からの依頼なので、本当はロボスト副団長が行くのが一番いいんだけど、あいにく今日は副団長には抜けられない他の仕事が入っている。ということで僕が行くことになったんだ。


 団長は行かないのかって!?団長が現場に出ると厄介事ばかり拾ってくるので、お留守番が基本かな。アーネストさんも事務官だから現場に出ることは稀なんだ。


 僕の今日の予定を聞いた団長は、アタリ!の顔をした。

 


 「あー、たぶんそれだ。お前は今日、貴族の令嬢にナイフで刺されて死ぬことになってる」


 「ひゃい!?なんで僕が令嬢に刺されて、死ななきゃいけないんですかっ?」


 「そんなことは知らん。どっかの上級貴族の邸宅内で、お前が背後から若い令嬢にナイフで刺されて倒れるところを視た。お前は護衛任務のときに着る騎士服を着てたから、任務中に死ぬんだろーな。ご愁傷さま」


 「そんなァ――そうだ!護衛用の騎士服は、ナイフで刺されたくらいじゃ死なない程度には頑丈ですよ?未来の僕は弾みで倒れただけじゃないんですか?」



 そうなんだよ。護衛任務のときに着る専用の騎士服っていうのがあって、細い鎖で編んだアンダーウェアが内部に仕込まれてるんだ。だからちょっと刃物で切られたくらいじゃ怪我しないんだよ。

 


 「あー、それな。残念だが倒れたあと、お前は口からドス黒い血を吐いていた。あれは毒にやられたんじゃないかな。ナイフに毒でも塗ってあったんだろう。ご愁傷さま」


 「ひぃぃぃ。刺された上に毒殺なんて、酷すぎるぅ……」



 毎日、真面目に生きている僕が、なぜ刺された上に毒殺までされないといけないのか……。嘆く僕に、生真面目なロボスト副団長が疑いの目を向けてくる。

 


 「おい、グーフィー……お前、まさか侯爵令嬢に手を出したんじゃ……」


 「な、なに言ってるんですか!?そんなこと、してません!」



 ロボスト副団長の疑惑をバッサリ切り捨てると、アーネストさんも擁護してくれた。でも――。

 

 

 「いえいえロボスト、それはありませんよ。見た目は可愛いのでグーフィーは女性にモテますが、ヘタレですからね?」


 「「ああー」」

 

 「アーネストさん、ひどいです!それに、なに団長とロボスト副団長も同意してるんですか!?……だいたい、僕はスピナー侯爵令嬢に会ったこともないんですよ?」


 

 未来で僕が、会ったこともないスピナー侯爵令嬢に刺されるとか、かなり衝撃的な話だよね。


 大体、スピナー侯爵家はこの王国の建国以来の忠臣で、広大な領地を拝領している大貴族だ。自分で言ってて悲しいけど、騎士爵家の三男坊の僕とでは接点がなさすぎる。


 それに、これまでの話にひとつ、おかしな点がある。


 侯爵家の令嬢なら王家が護衛をつけて、邸まで送り届けるのは不思議な話じゃない。でも……。僕と同じことを考えたんだろう。アーネストさんが、戸惑ったような表情で口を開いた。

 


「――ちょっと話はそれますが、スピナー侯爵令嬢といえば、第二王子殿下の婚約者ですよね。それがなぜ、第一王子殿下から護衛依頼が来るのでしょうか?」

 


 そうなんだよね。第二王子殿下が自分の婚約者の護衛を頼むのなら分かる。でも、まったく関係がない第一王子殿下から護衛依頼がくるって、どういうことなの?


 ここでロボスト副団長が軽く片手を上げて、団長に発言の許可を求めた。

 


「ん?ロボスト、お前、なんか知ってるのか?」


 「はい、団長。実は朝のミーティングで報告しようと思っていたのですが――昨晩、私は王宮で開かれたパーティーの警備を担当しておりました。そこで第二王子殿下が、スピナー侯爵令嬢に対して、婚約破棄を宣言するのを目撃しました」


 「婚約破棄ぃ~!!」

 「……パーティみたいな公衆の面前でか?」

 「まあ、第二王子殿下ですからね。やるでしょう」

 


 実は第二王子殿下は、考えなしで軽はずみな行動が多いことで有名な方なんだ。それでも王宮内の政争を生き延びているんだよね。真っ先に消えてもおかしくないのに。


 それというのも、婚約者に有力貴族のスピナー侯爵家の令嬢を迎えているからだというのがもっぱらの噂なんだよね。婚約者の家に力があるんで、それを恐れて手が出せないってことかな。

 


 「……コホン。報告には続きがありまして、第二王子殿下は婚約破棄を宣言された後、すぐさま新しい婚約者を発表されました」

 

 「はあ?」

 「なにそれ?」

 「誰なんだ?新しい婚約者って」

 

 

 「それは……スピナー侯爵令嬢です」

 

 

 「んん?」

 「スピナー侯爵令嬢と婚約破棄したんじゃなかったのか?」

 

 「また同じ人と婚約したということですか?なぜそんなことをするのでしょう?さすが第二王子といった所でしょうか……」

 


 みんなから一斉に質問を受けたロボスト副団長は、ちょっと目を泳がせて、きまり悪げに答えたんだ。

 


 「……ええとですね、新しい婚約者はプリシラ・スピナー侯爵令嬢です。元婚約者アマンダ・スピナー様の妹君にあたります」

 

 「「「はあ?妹!?」」」



 もう、どうなっちゃってるの?


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