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ウチの騎士団長は未来が視えます!…僕が今日死んじゃうってホントですかッ!?  作者: キモウサ


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02. ウチの騎士団長は未来が視える

 

 ロボスト副団長は、毎朝のように屋台で朝食を買ってきては団長に差し入れてくれている。団長が王宮に戻るのをめんどくさがって、団長室に泊まることが多いからね。

 

 そんなロボスト副団長は、とにかくデカくてゴツい。


 騎士っていうより重戦士のような見た目だよね。いや、髪が燃えるような赤毛なんでバーサーカーっぽいかな?


 団長と同じく辺境騎士団の出身。団長が仕事をサボって、女の子に人気の揚げ菓子の屋台の列に並んでいたら、ちょうど前にいたのがロボスト副団長だったんだって。


 話してて妙に気が合ったから、団長が王都に戻るときに連れてきたって言ってた。特に食べ物の話で団長とよく盛り上がっている買食い系男子なんだ。

 


 「ロボスト副団長!僕の命が危ないんですよ?そんなときに、なに肉の量を気にしてるんですか!」

 

 「まあまあグーフィー、そうロボストを責めるなよ。大丈夫だから。なんとかなるから……たぶんな」

 


 フォーキャス団長はそう俺をなだめ、肉多めのパンを片手に、盛大に寝癖のついた頭を振りながらニパーッと幸せそうに笑う。


 そんな団長を見てると、僕としてはそれ以上あまり強く言えない。まあしょうがないか。


 僕が死ぬかもしれないってときに、肉多めのパンを片手に幸せそうに笑うのは、どうなんだろうとは思うけどね。


 それに団長は僕の上司ってだけじゃないんだ。実は恩人でもあるからね。


 いや、僕だけじゃなく、ここにいるアーネスト事務官、ロボスト副団長にとっても恩人なんだよ。


 そう。僕たち三人が、フォーキャス団長を慕っているのには理由があるんだ。



 

 ※ ※ ※

 

 


 まず僕のことをちょっと話させて欲しい。


 僕の名前はグーフィー。田舎に小さな領地を持つ、貧乏な騎士爵家の三男坊だ。


 王立学院を卒業したあと、頑張って王宮騎士団の難関な試験に合格したものの、配属されたのは第三騎士団。そこは落ちこぼれで他に行き場のない上級貴族たちが、その体面をつくろうために用意された場所だったんだ。


 そんなところに騎士爵家出身の僕が入ったものだから、「第三騎士団が下賤な血で穢れる!」とか言われて、それはもう酷いいじめを受けた。


 その日も僕は誰も来ない王宮の庭園の端っこで、上級貴族たちに殴られたり蹴られたりしていた。それはもう荒れ狂う暴力だった。


 しこたま殴られて蹴られて、もう動けなくなって地面にころがっていた僕の前に、癖毛の黒髪がひょっこりと現れたんだ。

 


 「よお!お前らもサボり?」



 殺気立つ、その場の空気を物ともせず、その男はへらりと近づいてきた。


 そして、僕を蹴り上げていた上級貴族のボンボンたちに、気軽に話しかけたんだ。聞いている側の気が抜けるほどに、なんでもない感じでね。


 地面に転がっている僕のことはまるっと無視して、ボンボンたちと楽しげに雑談したあと、その黒髪の男は僕に声をかけてきた。


 

 「あれ?おまえさ、今日から第八騎士団に転属する奴じゃないか?なんだよ、探してたんだぜ?手間かけさせんな」

 


 そういうとその男は、僕をひょいと肩に担いだ。



「仕事したくねーけど、しゃあない……お前ら、俺がサボってたのチクるなよ?またなー」


 

 そうボンボンたちに声をかけて歩き始めた男は、そのまま僕を第八騎士団に連れこんだ。


 そして今に至るってわけ。僕を担いで運んだのが、なんと第八騎士団の団長その人だったんだよね。それを聞いたとき、僕はまじで気を失いそうになったよ。


 もちろん、僕が第八騎士団に転属するなんて話はなかった。団長がその場でついた嘘を、あとからゴリ押しで事実にしただけの話。


 でも、そのおかげで僕は助かった。あのままいたら、もしかしたら暴力が行き過ぎて僕は殺されてたかもしれない。


 こんな風に、団長に救われたのは僕だけじゃない。


 アーネストさんは、実家の某侯爵家で冷遇されているところを団長に救い出された。その上、実家から切り離すために養子先まで用意してくれて、今じゃ辺境の有力伯爵家の次期当主様だ。


 ロボスト副団長は、実家の爵位が男爵家で低いからって、辺境騎士団で酷い扱いを受けていたところを救われた。そしてそのまま王都へ連れてこられて、今じゃ第八王立騎士団の副隊長だ。


 ロボスト副団長は相変わらず男爵家の息子って立場だけど、バックに団長がついてるから、誰も手を出せない。団長は一応、王子だからね。

 


 「俺が手を回さなくても、ロボストはそのうちに自力で爵位を取るだろう」



 ってことらしい。ロボスト副団長、がんばれ!

 


 そんな感じで僕達を救ってくれた団長は、更に自分の秘密まで明かしてくれた。



 「お前らだけに話すけどな、実は俺、未来が視えるんだ。お前ら三人と出会ったときに、ちょっくら未来を視てみたんだけどな、全員、命に関わるような酷い目に遭ってた!」



 団長は僕たちを面白そうに眺めながら、自分の秘密を教えてくれたんだ。

 


「それでさ、誰もお前らを必要としてないみたいだから、俺がもらっちゃってもいいよな?って思ったわけだ。ブハハ!信じるか?信じないよなー、こんな話。まあいいさ」

 


 信じなくていいと前置きしてから団長は僕たちに、どんな未来が訪れることになっていたのかを教えてくれたんだ。


 正直、未来が視えるなんて荒唐無稽な話、普通はすぐには信じられないと思う。だけど実際に上級貴族からの暴力を受けていた僕にとっては、胸にストンと落ちるものがあったんだ。


 ロボスト副団長とアーネスト事務官も同じように感じたようで、団長のことを疑いもしなかった。

 


 「未来が視えるってのは内緒な。バレると色々と面倒なことになるんだよ。命に関わる話だからな?」

 


 もちろん、恩人である団長の願いを聞き届けないなんてことはない。団長も今までは保身のために、未来が視えることを内緒にしていたそうだしね。


 今まで秘密にしていたことを僕達に話したことで、団長はちょっと変わった。


 秘密を共有している僕たちの前では気を抜いているのか、割と気楽に団長の未来を視る能力について話すようになったかな。


 いや、それどころじゃないな。どうでもいいような未来を視て、僕達を驚かせている。


 例えば美味しいものを食べるのが好きなロボスト団長に、狙っているランチメニューが売り切れるぞ!とか教えて、ガックリするロボスト副団長を見て面白がるとかそんな感じ。


 もちろん、今回みたいに僕の死を予告して、心底ビビらせることもあるけどさ……。

 

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