表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチの騎士団長は未来が視えます!…僕が今日死んじゃうってホントですかッ!?  作者: キモウサ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/44

11. 犯人、分かっちゃったんですけど

 「スピナー侯爵の身に何が起こったのかはともかく、団長が御令嬢方の容姿をご存じないのなら、私が役に立てると思いますよ」



 プリシラ様ってヤバい人なんじゃ……なんて身を震わせている僕を尻目に、ロボスト副団長はいつもどおり実務的な話をどんどん進めていく。


 ロボスト団長は王宮内の警備の取りまとめ役になることが多いんだ。その関係で大抵の貴族の顔を知っている。もちろん、御令嬢の皆様方もね。


 団長?団長は色々な意味で使えない残念な団長だよ。でもほら、未来が視えるから。


 今も真剣な話の最中に、しれっとロボスト副団長の焼き菓子を奪おうとして片手で難なく防がれてるけどさ。



 「あー、ロボスト、けち……」


 「私ほど寛容な人間はいないと思いますよ。さて令嬢の容姿についての話ですよね。私は王宮で開かれるパーティの警備をする機会が多い。なので大抵の家の令嬢の身体的特徴は知っています」



 ロボスト副団長、言い方。ほとんどの令嬢の身体的特徴を知ってるって、ちょっと犯罪の匂いがするんですけど。いかつい顔で生真面目に言われると特に!



 「まあまあ、グーフィー。そんな目でロボストを見ないであげてください。彼は職業に忠実なだけですよ。それで、スピナー侯爵家の令嬢お二人のことも見分けがつくのですね?」


 「ああ、もちろんだ。アマンダ様は王宮でのパーティーなどにはめったに参加されないが、王子妃教育を受けに毎日のように来られてるんだ。だから何度も王宮内でお見かけしている。私が彼女を見間違うことはない」


 「ロボストが知っているのなら、団長が未来で視た令嬢が、スピナー侯爵家の方なのかどうかくらいは分かりそうですね」



 ここは重要なポイントだよね。僕を刺すのは誰なのか?


 ただ、団長は僕を刺した令嬢の顔を視ていないと言っていた。目の色とか顔立ち以外で判別できる箇所と言えば、この箇所の色が一番分かりやすいんじゃないかな。


 

 「ねえ、団長。未来で僕を刺した令嬢の髪の色は何色でした?」



 そう、髪の色なら見間違えることは少ないだろう。どの角度からでも目に入るしね。

 


 「髪の色?あれは……ピンク……か?」


 「ピンクぅ!?」


 

 いやいや待ってよ。人間の髪色だよ?おとぎ話じゃないんだから、ピンクなんてありえないでしょう。


 

 「ロボスト、グーフィー刺殺犯はピンク色の髪の令嬢だそうですよ。思い当たる方はいますか?」


 「ひとりだけいる。スピナー侯爵家の次女、プリシラ様だな。彼女の髪色は赤味の強い金髪だ。光加減によっては濃いピンク色に見える」



 ……僕の殺人犯、分かっちゃいました。




  ※ ※ ※

 



 「……さて、意外と簡単に、グーフィー刺殺犯が判明しましたね」



 アーネストさんは落ち着いているけど、実際に刺される側の僕としては恐怖しか感じないよ。しかも相手はあのヤバそうなプリシラ様でしょ?怖いよ!



 「えっと、刺される予定の僕からの確認なんですけど、本当にプリシラ様の髪色はピンクなんですよね?実はアマンダ様もピンクでした!なんてことはないよね?」

 


 ロボスト副団長が、ちょっとだけ口元を緩める。もしかして笑ってる?

 


 「安心しろ。アマンダ様の髪色はブラウンだ。どんな光加減でもピンクには見えない髪色だから、間違うはずがない」

 


 そっか、それなら安心だ。いや安心じゃないけど!僕を刺したのはプリシラ様だって分かったのはいいんだけど、でもさ、なんで僕が刺されないといけないわけ?


 プリシラ様を遠目にですら見たこともいないのに!だいたいさ、初対面の人を刃物で刺したりするかな?


 

「残る疑問は、なぜプリシラ様がグーフィーを刺すことになるのか?ってところですかねぇ。グーフィー、あなた、プリシラ様と面識はありませんよね?」



 コクコクとうなずく僕。



 「面識がないどころか、見かけたことすらないレベルだよ!」


 「まあ、そうでしょうね。一応、グーフィーは団長の補佐官ですから、執務室で書類仕事が主な仕事になりますからね」



 本当になぜ僕が見かけたことすらないプリシラ様に刺されないといけないんだろう?



 「お前がプリシラ嬢と会ったことがないっていうんなら、刺されたのはお前個人の問題じゃなくて、お前の役職が関係してるんじゃないか?ほら、俺の補佐官やってるだろ?」


 「あー、それはありえますね。騎士団長で第三王子の補佐官。危険な職業ですよ」



 いやいやいや、それはないない。だって単なる補佐官だもん?騎士団長とかなら分かるけどさ、補佐官にそんな権限も権力もないもん。



 「確かに補佐官には力はありませんが、でも騎士団長の代理という立場ならどうでしょう?グーフィー、あなたは団長の代理を務めることがよくありますよね?私もロボストも団長の代理を務めることはありますが、一番多いのはあなたですよ」



 確かに、僕は団長の代理をよく務めている。僕が一番身近にいるせいか、団長も気軽に代わりに行ってくれ!とか言うしね。


 でも団長代理といっても、そんな形式ばったものじゃないんだ。正式な場面での代理役はロボスト副団長が務める。僕が代理でやるのは、ちょっとした手紙を渡しに行ったり、代わりに会合に出たりってとこなんだよね。


 

「スピナー侯爵令嬢を自邸まで送り届ける案件は、兄上からの緊急依頼だ。グーフィーが指揮を執って護衛する場合、俺の代理を名乗るのが自然の流れだろう」


 「確かにそうですね。でもそうなると、なぜ団長代理がプリシラ様に刺されることになるのです?」



 そう!そこなんだよね!僕が単なる補佐官だとしても、団長代理だとしても、どっちにしても刺されるのはおかしいよ。


 

 「――逆から考えてみましょう。なぜプリシラ様はグーフィーを刺すことになったのでしょう?」



 プリシラ様か……。彼女は昨夜、すごく忙しかったはずだ。


 まず王宮で開かれたパーティーに出席して、第二王子殿下を姉のアマンダ様から奪い去った。公衆の面前で婚約破棄を宣言するなんて、趣味が悪いと思う。その上、その後すぐに姉の後釜に自分が座ったんだ。正気の沙汰じゃないよ。


 でもプリシラ様にしてみれば、幸せの絶頂だったと思う。目障りな姉を引きずりおろして、自分が第二王子殿下の婚約者になったんだもんね。将来的には王妃を狙うことだってできるポジションだよ。


 ただ、そんな幸せな時間も長くは続かなかったことが既に分かっている。もちろん、まだ噂段階だけどね。アーネストさんが事務官仲間から、昨夜遅く、プリシラ様は第二王子殿下から婚約破棄をされたという情報を聞きつけてきた。


 ここで僕はちょっとした疑問を抱いてしまった。



 「アマンダ様は昨夜、パーティ会場から追い出されて、そのまま王宮で一晩過ごしたんだよね?その証拠に、第一王子殿下から自邸までの護衛依頼が来てる。だとしたらさ、プリシラ様は昨夜は自邸に帰ったのかな?」



 僕の疑問に答えてくれたのはロボスト副団長だった。

 


 「ああ、それには私が答えられる。なにしろ、私自身がスピナー侯爵と侯爵夫人、それにプリシラ様を王宮の玄関口までお送りした。ちゃんと三人が馬車に乗るのを確認したから確かだ」


 「――ということは、プリシラ様は昨夜は自邸に帰られたということになりますね。そうなると……」



 アーネストさんの言葉につられて、僕たちは互いに視線を交わす。これって、もしかしてそういうことなのかな?

 


 「えっと僕の単なる想像なんだけど、もしかしてプリシラ様って自分が婚約破棄されたこと、まだ知らないのかも……ね?」


 「「「あー」」」



 なんとなく、僕がプリシラ様に刺された理由が見えてきたぞ……。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ