本当にアメリカは豊かなのか? ――年収問題別解
今回は医療保険に注目してみました。
日本人の場合
健康保険料 5.2~82万円/年
※ 無収入でも支払い義務は生じるが、払えない場合は減免される
※ 年82万に到達は、年収1680万円前後。
自己負担率 3割(特例アリ)
高額医療費の自己負担限度額(月額)
57000/80100+α/167400+α
(年収210万以下/210~600万/601万~)
※ これは3割自己負担でありつつ、それが上記の金額を超えたら保険で支払われるというルール。
つまり貧乏でも、月に57000円で済む。
ここで留意すべきは、扶養家族がいても金額の変わらないこと。
隠居した両親*2、世帯主、妻、息子、娘なんて8人家族でも、世帯主の保険料で全員が保険を使える。
このケースの場合、一人当たり最大で10万2500円。月当たりへ直して8541円。
世帯主が無職や赤色申告などの場合、一人当たり月々541円!?
アメリカの場合
健康保険は任意。
業界最安値クラスの健康保険は、月々400ドル。
ただし、免責4000ドルで、そこまでは10割自己負担。
免責なしの高グレード保険は、月々1300ドル。
これらの保険が、扶養家族にも適用できるのかは不明。
また歯医者は適用外。
〇アメリカ形式で日本の国民保険を表現してみる
日本の世帯年収中央値である437万円を想定。
月々213ドルほどの保険料を支払い、医療費は全て3割負担、扶養家族にも適用。
月に728ドルまでは免責だが、それ以上は保険が負担。
〇ケーススタディ
転んで痛打。
救急車で病院へ搬送され、一晩泊った。
・日本の場合
救急車……無料
初診料……288点
レントゲン……168点
急性期一般入院料……1650点
合計 2106点
3割負担で6318円
(素人が点数表をみての算出。間違っていたら失礼)
・アメリカの場合
救急車……約400ドル
簡単な診断……約500ドル
救急医療……約1000ドル
入院/一日……約2000ドル
推定4000ドル前後!?
→ 保険に入ってなかった場合、下手したら自己破産。
→ 安い保険だった場合、ギリギリ免責されて保険意味なしも。
→ 高い保険だった場合、保険が支払ってくれる。
どうやら『日本人であり、日本で生活している』だと、アメリカで月々1300ドルの保険へ入ってるに近い?
ちなみに日本人は年平均33.3万円の医療費を使っているそうで、これが最高でも3割負担ですから――
平均すると最大で約10万円を自己負担!(実情では、より低い)
中央値の世帯だと年間約30万円弱の国民保険料で、世帯平均人数が2.5人なので25万円ほど自己負担だから――
年間で合計55万円の国民健康保険料+自己負担 ≧ 年間15600ドルの保険
(救急車が無料だったり、歯医者代も支払えるため)
つまり日本とアメリカでは、年収もしくはQoL換算で約116万円が隠されています!
そして世帯収入中央値はアメリカが670万円、日本は437円で大負けといいますが――
条件を同じくすれば670万円vs437+116万円だったり。
さらにアメリカの実質的な中央値は、100万円ほど低くしないと現実的ではないといいます。
なぜなら統計に反映されない犯罪者や違法移民が加味されてないから。
よって――
670-100万円 vs 437+116万円
ということ!?
さらに!
日本ならワープアでも病院へ行けるし、入院だってできるけど、アメリカは違うようです!
低所得者層で論じると、その境遇は天と地の差!
アメリカの場合、大病を患ったら低所得者は――
もう自己破産するしかないそうです!
実際、自己破産の理由でトップだとか。
また日本の年収200万円は、アメリカ換算したら316万円相当で――
アメリカ政府が貧困の指針とする世帯年収271万円より多かったりも!?
世帯年収150万円台で、やっとアメリカの貧困層水準となります。
(国民保険料の問題で、実際にはさらに低い。おそらく120万円代)
〇まとめ
「もう終わりだよこの国」論に毒され過ぎでしょう。
また、どうして「出稼ぎで日本に来るのか?」という謎の一端が判ったりも。
韓国や中国の人達って、しきりに日本は廃れたと主張する割に、なぜか日本へ出稼ぎに来ますからね。
彼らは英語ができるんですから、本当に日本が終りで、さらにアメリカと日本で1.5倍の差があるのなら――
外国から日本へ出稼ぎに来る人は減るはず
なんです。
しかし、事実はそうではありません。
なにより――
日本へ移住するアメリカ人もいる以上、そこまで激しい差は存在しない
とするべきでしょう。
(実際、日本と同水準な州もあるし、珍しくもない)
そして思った以上の数字が導けたので、疑念は深まるばかり。
実は――
「アメリカは保護貿易の結果、見た目上の豊かさこそ得ているが、その実情は空虚なんじゃ?」
「そして日本は逆に、行き過ぎた自由貿易で何もかもが安くなっているのでは?」
あたりの着想から、色々と調査した結果だったりも。
サンフランシスコでは年収1400万円あっても低所得者に分類したそうですが――
それって1400万円ではQoLが低いってことですよね?
逆に日本だと年収600万円もあれば、それなりに家族で暮らしていけます。間違っても低所得者扱いされません。
極端なねじれが発生するのは、日本がおかしい場合もですけど――
アメリカ、特にサンフランシスコが異常なケースも含みます。
場合分けに『日本が普通気味で、サンフランスシスコが異常』を考えないのは危険ということです。
※
個人的には『日本がデフレ方向へ異常で、それ以上にアメリカはインフレ方向へ異常』が正しい見解に思えます。
なんといってもアメリカ国内からすら、サンフランスシスコは異常といわれている訳ですし。
いま日本は確かに変だけど、数年でどうこうなるような危篤状態でもない。
ゆっくり確実に、ひとつずつ正常化していけば、まだ全然間に合う範囲と思えます。
そして社会保障なんて止めちゃって、若い人へ現金で配れというのは、ようするにアメリカ式を追随ということです。
現状で世界中が羨むシステムなのに、どうして投げ捨てなきゃならないの?
とりあえず、これをFAとして今回は御終いにしようと思います。