序章
昔々、とある二つの国がありました。
二つの国は長年仲が悪く、些細なことで争いをしていました。
そんなある日のこと。
一方の国の王子様の戴冠式が行われました。
戴冠式の最中、王都の中心で大きな爆発が起きます。
沢山の人が亡くなりました。
沢山の人が家族を失いました。
その犯人とされたのはもう一方の国の騎士の男でした。
今まで積もり積もっていたものが爆発するように、この事件を機にーーー開戦。
人と人との戦いから始まったそれは、種族をこえ、大きな争いになりました。
元を正せば始まりは一つの同種属の者達も傷つけあい、殺し合う。
そんな骨肉の争いともいえる戦いは100年以上続きました。
互いに疲弊しきっていた135年目の春。
二つの国々には同じ歳の若き王子様がいました。
二人は秘密裏に手を取り合い、そして行動にでたのです。
一方は父と兄を殺しました。
もう一方は父と母を殺しました。
決して、よい幕引きではないでしょう。
血の歴史を血の歴史で幕を引いたのです。
だが、彼等は並々ならない決意のもと、国を変えようとしていた。
それが例え一族殺しの罪を着ることになったとしても。
終戦、そして和解。
彼等は王となり、二つの国を一つとしました。
そして、王政の廃止。
国が安定するまで、二人の元王は二人で首相として、国を良き物とする為に励んだのです。
復興に励む彼等は時に汗を流し、涙を流し、頭を悩ます。
政治や血生臭い戦いの裏。
そんな中にも隠れる恋の話は、実はとても甘美なのでしょう。
これはそんな物語。