第32話・ばぁ~さす
本日は波も凪いでいるので甲板に出て日光浴と洒落こんでいます。
冷えたココナツジュースがメッチャ美味しいです。
オルカさんは、先ほどからゴーレムドローンを複数飛ばして周囲の警戒にあたっています。
「マスター、大丈夫なんですか?船酔いの方は?」
「うん。今は大丈夫だよ。ほぼ揺れてないじゃん。これくらいなら遠くを見てれば船酔いしないよ」
「あの……こんな凪の状態でも状況によっては酔うと?」
「俺の船酔い特性を舐めて貰っちゃダメだよ。俺は防波堤に打ち付ける波を見てて酔った事だってあるんだからね」
「え?防波堤って揺れてませんよね?」
「防波堤は揺れないけど、波は揺れてるように見えるでしょ?それで酔えるの」
「マスターは三半規管もポンコツなんですね」
「うっせぇ〜わ!ポンコツじゃなくて人より敏感なだけなの!」
まったく、オルカさんは容赦なく俺をポンコツにするなぁ〜。
俺じゃなっかたら、心が傷ついて毎日泣いて過ごす事になってるぞ。
「普通の人だったらマスターほどポンコツじゃありませんから、バカにしたりしませんよ」
わーーー!オマエやっぱり俺の事バカにしてたのか!
「今頃、気づくとは……。思ってた以上にポンコツな人だったんですねぇ」
そんなバカ話をオルカさんとしている内に警戒していたゴーレムドローンが次々と戻ってきました。そろそろ日光浴の時間も終了のようです。
「周囲100km圏内に陸地は見当たらりませんね。そろそろ艦内にお戻りください。潜航します」
「了解。んじゃ、艦内で飯でも喰おうっと…」
艦内に戻るとオルカさんはすぐに潜航を開始し、時速20km程度のゆっくりしたスピードで西に向かいます。
そして、翌日の早朝にそれが起こりました。
艦内に鳴り響く警戒アラームに叩き起こされました。
「なに〜?なにが起きたの〜?こんなに朝早くにぃ〜」
眠い目を擦りながらオルカさんに文句を言うと。
「もう10時です、早朝と呼べる時間は過ぎました!そんな事より早く発令所へ来て下さい。メガロドンがこちらを狙っている模様です!」
「え!?マジ!?そりゃヤバいじゃん!!」
「マスターの華麗な采配で撃退してくれるんでしょ?期待してますよ」
「おおーー。任せなさい。任せなさい。メガロドンなんぞ、月に代わってお仕置きよ!!ってなもんだ!!」
「それは心強いですね。では早速、お願いします。敵は水深80mを保ち、本艦を追尾しています」
「OK!後方3番発射管に魔導魚雷を装填!それと電磁推進に切り替え準備!!」
そう命令を出して発令所に急ぎます。
指揮官シートに着席してシートベルトを締めて戦闘準備完了です。
「魚雷発射準備完了!続いて、電磁推進も切り替えいつでも出来ます」
タイミング良くオルカさんの準備も出来たようです。
「よし!サメはどの位置にいる?」
「目標は後方6時の方角からやや速度を上げてこちらを追尾中。水深90…100m、さらに潜っていきます」
「そろそろ、襲ってくるぞ!敵位置を逐次報告!機関切り替え!合図でダッシュする!」
「了解。機関切り替え完了。いつでもどうぞ」
きびきびと命令が飛び交うシチュエーション!なんかワクワクすっぞ!!
「目標、水深150m付近、本艦の直下です!」
「来るぞ…」
「目標、急激に浮上して来ます!衝突コース!!水深100…80…速い!」
やっぱり映画と同じようです。サメが真下から襲ってくるのは、どの世界でも常套手段みたいです。
「ダッシュ用ー意!!」
「水深50…30!!」
「ダッシュ!!」
命令と同時にグンと身体がシートに押し付けられる感覚がしました。
「目標、後方30mを通過!水面に飛び出した模様!!」
「よし!後方魚雷管開け!魚雷戦用ーー意!」
「目標、後方から迫ってきます!距離120m!」
「魔導魚雷!撃て!!さらに全速!!」
プシュッと艦後方から気の抜けた魚雷の発射音がした途端、さらにシートに押し付けられる感覚が続きます。
そして、5秒ほど経った時ドーンと爆発らしき振動を感じました。
「魚雷命中!!目標、沈んでいきます!お見事です!」
魚雷は見事メガロドンの頭を吹き飛ばしたようです!危機は去った!!
「はっはぁ〜〜〜!どうよ?どうよ?この華麗な采配は!!」
「いやぁ〜。思った以上にやりますな。まあ、次は無いと思いますけど…」
「ん?次は無いって、どゆ事?」
「それはですね。メガロドンってある種の磁界を発生させると、それを嫌って寄って来なくなるんですよ」
「マジ?それなら、どうしてアイツは襲ってきたのよ?」
「それはワタシが磁界を発生してなかったからですよ」
「オイオイ。それじゃあ今回の事って俺が無駄な殺生したって事ジャン!」
「そうですねぇ〜。まさかメガロドンに魚雷をぶち込むとは思ってもいませんでしたよ」
「だってさぁ〜。映画じゃ大抵サメの頭を吹き飛ばして、ハッピーエンドってのがお決まりじゃんか」
「そういうクダラナイC級映画ばっか観てたから、解決方もポンコツになるんですよ。今回の事だって電磁推進だけで逃げようと思えば逃げ切れたですよ?」
「うう〜心がぁ〜心が痛むぅ〜」
「よくもまあ、そんな上辺だけのウソが言えますなぁ〜」
「うっせぇーー!上辺だけでも言っとかないと周囲が五月蠅いんだよ」
「五月蠅いって言うほど、アナタの心情を気にしてる人間なんて、この世界に居ませんから安心して下さいな」
「なんだよ!これでも一応は主人公だぞ!モブ扱いするなよ!」
「主人公ならパンツ一丁で指揮官シートに踏ん反り返ってないで、ちゃんと服を着て下さいよ。みっともないったらありゃしない!」
キャーーー!俺ってばパンツ一丁で偉そうに指揮してたの?恥ずかしいーーー!




