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剣と魔法のメルヒェム  作者: あさぎれい
4/10

武勲の翼



-IV-



 ショーマはビルバム将軍と【東の国】を(おとず)れました。


 国境を越えてから立ち寄る町は賑わい活気があります。


 怪物(モンスター)も少なく【中央の国】よりも目に見えて平和だとわかります。


 東の王は、前の竜帝(ドラグカイゼル)弟君(おとうとぎみ)をビルバム将軍が連れて来てくれたことを歓迎しました。


「かならずや私が暴君(ぼうくん)プータックを倒し、正統な竜帝(ドラグカイゼル)の座をあなたに取り戻すことを誓いましょう」


 東の王アズナリュームはそう言って、弟君(おとうとぎみ)の前で膝をつきます。


 その様子を見ていたショーマはアズナリュームのカリスマ性に圧倒されました。気品はあるものの弱々しい外見の弟君(おとうとぎみ)よりも、アズナリュームのほうが頭を下げていてさえも貫禄(かんろく)がありました。


 竜神(ドラグロード)がショーマに(ささや)きました。


「あれは魔王(まおう)ではないな」


 ショーマは少し安心しました。たくさんの兵士たちに守られたアズナリュームと戦わないといけないことには、ならなかったからです。


 ビルバム将軍は東の王に仕えることになりました。


 ショーマも、しばらくは将軍と戦うことにしました。あてもなく魔王(まおう)を探すよりも、どこかの国で働いて情報を集めたほうが賢いと考えたからです。


【東の国】は目下(もっか)のところ【南の国】と戦争をしていました。


「プータックと争うには、まず南を叩いてからだ」


 アズナリュームは彼の父親が王をしていた時代に【南の国】によって奪われていた領地の大半を取り戻していました。


 東の王は戦争の天才と言われ、そのせいであの男は英雄か魔王かと噂をされているのです。


「ビルバム将軍には期待している」


 アズナリュームは将軍に難攻不落(なんこうふらく)と言われる【南の国】の砦カーベローゼンを攻め落とすよう命令しました。


「王は我々を試しているようだ。ショーマ、手伝ってくれるか」


 ショーマは成長した幼竜(ベビードラゴン)の背に乗り、空からカーベローゼンの砦に乗り込むことで、砦を陥落(かんらく)させるきっかけをつくりました。


 その活躍によってショーマは竜騎士(ドラグナイト)と呼ばれるようになります。


 難攻不落(なんこうふらく)の砦を守りの(かなめ)としていた【南の国】はそこから畳み掛けるように領地を削り取れていきます。


 ビルバム将軍とショーマは快進撃(かいしんげき)の中心にいました。


 特に最大の決戦とされたノイアム河の戦いで、ショーマは敵の勇将ガニラノを一騎討ちのすえに破りました。


 昼に始まったショーマとガニラノの戦いは日没近くまで続き、それはまさに死闘でした。


 やがて南の王は降参し【東と南の国】はアズナリュームのもとに併合(へいごう)されます。ビルバム将軍は【南の国】の半分近くを領地として与えられました。


 ですがこれを不快に感じる者たちがいました。


【東の国】に古くから仕えていたアズナリュームの配下の将軍らです。彼らはビルバム将軍のみならず、能力主義で部下を選ぶアズナリュームのことも嫌っていました。


 新しい領地での暮らしが軌道(きどう)に乗りはじめた頃、ビルバム将軍はお城に呼び出されました。


竜騎士(ドラグナイト)ショーマよ、マルティリアとともに留守を頼む」


 将軍は少数をおともに従えてお城に出発しました。


 数日ののちにショーマのもとに驚くべき報せが届きます。


 ビルバム将軍が、アズナリューム王暗殺(おうあんさつ)(とが)めで捕縛(ほばく)され処刑(しょけい)されたというのでした。



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