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剣と魔法のメルヒェム  作者: あさぎれい
2/10

竜神の戦士



-II-



 ショーマは他の二人とは違い竜神(ドラグロード)加護(かご)があって異世界(いせかい)の言葉をすぐに理解できましたので、ユートよりも早く戦士(ファイター)として成長していました。


魔王(まおう)の気配を感じ、息を(ひそ)めていた()しきものどもが(うごめ)いておる」


 竜神(ドラグロード)の望みに応じショーマは怪物(モンスター)を狩りながら旅をします。


 道中、卵から(かえ)った幼竜(ベビードラゴン)庇護(ひご)しました。


 幼竜(ベビードラゴン)はショーマを母親だと思ったのか彼に余りにもなつきましたので仕方なく連れていくことにしました。


「【東の国】の若い王が【南の国】の軍勢を打ち負かしたらしい。東の王こそ、戦乱(せんらん)の世を終わらせる救世(きゅうせい)英雄(えいゆう)に違いあるまい」


「いやしかし東の王は苛烈(かれつ)な性格の人だと聞く。あの人こそ、魔王(まおう)だという話もあるぞ」


 立ち寄った町でショーマはそんな(うわさ)を耳にしました。


 東の王が魔王(まおう)なのか確かめるよう竜神(ドラグロード)に言われたショーマは【東の国】に向かいます。


 ショーマは途中、【中央の国】の兵士たちに追われている人たちを助けました。その人たちは前の竜帝(ドラグカイゼル)弟君(おとうとぎみ)を守って【東の国】に落ち延びる旅をしているビルバム将軍と配下の兵士たちでした。


 竜帝(ドラグカイゼル)というのは竜の神に守られたこの土地で、人間でありながら竜の血を引く一族の(おさ)です。


 五つの国の王たちは竜帝(ドラグカイゼル)に認められて初めて本当の王となることになっています。しかし、最近では竜帝(ドラグカイゼル)というのは名ばかりで【中央の国】で権力を握った人間の言いなりになってしまっているのでした。


 前の竜帝(ドラグカイゼル)はそれをよく思わず、なるべく立派な人物を王に選ぼうとしておられたのですが、まだ若いのにも関わらず突然に(やまい)にかかり亡くなってしまわれたのです。


 人々は今の【中央の国】の王プータックが暗殺をしたに違いないとわかってはいましたが、プータックを怖れて誰もそれを言い出そうとはしませんでした。


「新しく竜帝(ドラグカイゼル)になった幼い子供は、実は前の竜帝(ドラグカイゼル)様の血を受け継がれた本当の子ではないのだ」


 ショーマはビルバム将軍からそう聞かされました。


「だから正統な後継者(こうけいしゃ)である弟君(おとうとぎみ)を守らねばならん」


 将軍はショーマを気に入ったようでした。

 目的地は同じこともありショーマは彼らと旅をすることにしました。


「東の王が(うわさ)にたがわぬ人物なら、弟君(おとうとぎみ)を立ててプータックを倒してくれるに違いない」


 追っ手の攻撃は熾烈(しれつ)でしたが、ショーマはビルバム将軍たちと戦いやがて国境(こっきょう)を越えます。


 竜神(ドラグロード)が姿を変えた刀を振るい鬼神(きじん)のように戦うショーマですが、そんな彼にビルバム将軍のひとり娘マルティリアはことあるごとに突っかかってきます。


「あんたの剣は勢いだけね。てんでなってないわ!」


 彼女の言うように、ショーマは訓練用の木の剣に持ちかえるとマルティリアにはまったく歯が立ちませんでした。


 ショーマはマルティリアに剣を教わり、技を磨きます。


「あたしに勝とうなんて三十年早いわっ!」


「三十年経ったら、俺はおっさんじゃないか」


 最初のうちは乱暴な女だとばかりマルティリアを思っていたショーマですが、何度も窮地(きゅうち)をともにし、くぐり抜けるうちに親しくなっていきました。


 ビルバム将軍はそんな二人をあたたかな視線で眺めるのでした。



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