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剣と魔法のメルヒェム  作者: あさぎれい
10/10

玉座を奪う者



ーXー



 プータック亡き後、カシミナはハザン将軍を使い従わぬ者を次々に処分させ権力の座を維持しておりました。


 しかし横暴極まるやりかたは、ついにはロジェーム将軍をはじめとする忠義の臣にも見はなされる結果を招き多くの者が離反していく事態が相次ぎます。


 いまや【中央の国】はバラバラに勢力が興り、入り乱れる有り様でした。


 毎日のように、兵士たちがカシミナの前に現れては報告を持ち込みます。


「カシミナ様、【北の国】では新しい女王が即位したようです。兵と武器を新たに集めていると情報が入っております」


「捨て置きなさい。今はかまっている余裕はなきゆえ」


「カシミナ様、【南の国】で新たに王が任じられたとのこと。その者は竜帝(ドラグカイゼル)に認められた【輝ける瞳】のあかしを宿しているとか」


「それは由々しきことですね。そのような偽者が王を称するなど。ですが今は後回しです」


「カシミナ様、国内で【暁出(あかつきいず)る傭兵団】を名乗る集団が暴れています。どんどん勢力を増しているとのこと」


「そんな傭兵などより、憎きロジェームめはどうしたのじゃ。あやつを捕らえよ……八つ裂きにして……さらに八つ裂きにして、六十六裂きにしてくれように」


 カシミナに計算の違いを指摘する勇気のある者は、もう近くにはおりませんでした。


 彼女の目には今、裏切り者のロジェームのことしか見えておりません。ハザン将軍に命じ、将軍自身を中心にした討伐隊を派遣させました。


 ですが数日ののちにカシミナにもたらされた報せは彼女の望むものではありませんでした。


「カシミナ様……ハザン将軍が討たれたとのことです」


「なんと! おのれ、ロジェーム!」


「いえ、討ったのは傭兵団……【暁出る傭兵団】です!」


「まさか! ええい、許せぬ! 許してはおけぬぞ!」


 カシミナは全力を上げて、かの傭兵団を一掃するよう言いました。


 しかし【暁出る傭兵団】の勢いは目覚ましく、ハザン将軍が倒れた2日ののちにはカシミナのいる王城が傭兵団によって占拠されてしまいました。


 カシミナは捕らえられ、傭兵団のリーダーだという男の前に引き出されました。


「無礼な。傭兵ごときがこのカシミナをこのような目に……だが難攻不落のこの城を意図も容易く落とすとは……」


「昔から少々、戦争が得意でね」


 カシミナが見上げた男は不遜な態度で言い放ちました。


「──? そなたどこかで会ったことが……」


「何年か前に、偽者の即位式で挨拶したな」


「そなたは……蒼の……【輝ける瞳】! 東の王アズナリュームではないか!」


「お分かりいただき光栄と言っておこうか。東で何かと面倒事があってね、空いているようなのでこの【中央の国】を貰うことにした」


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