独断する変更
お久です。
挿絵ありの表示に釣られて来てしまった方、申し訳ありませんでした。
そちらはユーザー名の変更という形で対処させていただきましたので、ご了承ください。
「照矢、勉強会しようよ!」
「してるだろ。」
時は夏休み、場所は俺の部屋。
宿題を持って押しかけて来た佐那はしばらく机に向かった後、唐突にそんなことを言いだした。
他の状況ならともかく、どうして勉強会真っ最中の状況にそんな事を言い出したのか。
「そうだけど、そうじゃなくて今度のこと。
今度、皆で集まってしようってこと。」
「ああ、そういう事か…
反対はないけど、誰を呼ぶんだ?」
一度宿題の手を止めて会議の姿勢に入る。
佐那も宿題の手を止め、改めて向かい合う。
「えーっと…まずは悠菜ちゃんでしょ? 照矢は渉くんとか呼ぶ?」
「ああ…アイツは宿題進めてなさそうだしな。
後で宿題見せてくれとか言われるのはなんか癪だし、呼ぶか。女子が一緒って聞いたら来るだろうし。」
宿題をやってもいないヤツに見せるのはなんか嫌だ。
損をする訳でもないのに気分が悪くなる。
自分の頑張りが無駄になるみたいからだろうか。お前だけ楽しやがって的な。
あと、都合が良いように使われてる感もマイナス点だ。だから嫌なんだよな。
「広西さんも呼ぶ?」
「良いけど、アイツ来るかなぁ…
一応明日木も来るなら可能性はあるかもしれないけど…宿題が終わってたら来なさそうだな。」
麗は宿題を放置するタイプの人種じゃないだろう。色々とキッチリしてる奴だし。
「駄目なら駄目でしょうがないんじゃない? 強制は出来ないんだし。
でも、訊くだけ訊いてみようよ。」
「…それもそうだな。
場所はどうする?」
「言い出しっぺだし、私の家で良いよ。」
「佐那の家か。分かった。
いつにする?」
「う~ん…明日とかにする?
皆の都合を訊いてって言うのも良いけど、別にそこまで大事って訳でもないし。」
「そうだな。それで行こう。」
そんなこんなで議論をしながら宿題を行い、その日は解散。
その夜の事。
「…あ、もしもし。渉?」
『おう、照矢か。どうした?』
「明日勉強会」
『嫌だ。』
ブツッ!
事情も聞かずに即答。そして切られた。
再度電話するも、着信拒否の姿勢に入られる。
「……アイツ、そこまで勉強嫌いだったか?」
確かに、夏休みは遊びまくりたいし勉強なんかに時間を割くものかなんて考えは理解できなくもない。
それでも宿題はやらなきゃならんし、勉強会はそんな宿題を楽しく出来る良い機会だと思うのだが…
……餌を出してやるか。
[何人か女子も来るぞ]
SENNでこんなメッセージを送る。さあ、獣のごとく引き釣り出されるがいい。
と思ったら電話が来た。相手はやはりと言うべきか渉だ。
『お前女子来るなら早くそう言えよ。行くに決まってんだろ。男二人でやるのかと思ったぞ。』
渉は俺が電話に出るなり早口で捲し立ててきた。コイツの女子への執念が怖くなってくる。
「俺だってお前なんかと2人っきりでするくらいなら一人でやるさ。そっちの方がはかどりそうだし。」
『ハッキリ言ってくれるなてめぇ。俺だって願い下げなんだけどさ。
で、明日だったよな? 誰が来るんだ? 場所はどこだ?』
「誰が来るかはまだ知らんけど、佐那は確実に来る。
で、その佐那は明日木と麗を誘ってる。来るかどうかは」
『イエスッ!』
食い気味のイエス。相当女に飢えていると思われる。
…連れて来ない方が良いような気がしてきた。
「…まだわからないからな。誘ってはいるけど、来るかどうかまでは。
特に、麗は宿題なんてとっくに終わらせてるかもしれないしな。」
『あ~確かにそれ考えられるな…
広西さんって成績かなり良かったし、真面目そうだからそう言うのしっかりしてそう。
でも、同じく成績優秀な皆寺さんも終わってないんだろ? なら来るかもしれない。いや、絶対に来る。』
「なんで言い切れるんだお前…まあいいや。
とにかく、明日の昼頃から佐那の家」
『皆寺さんの家だとぅ!?
ヒャッハー! テンション上がってきた! いや、むしろおうちに上がっちゃうのか! やったぜー!』
「………すまん、間違えた。
場所は俺の家だ。」
渉のテンションが高すぎてドン引きした俺はとっさに独断で俺の家で勉強会を行うことに決めた。
俺の部屋は広い部屋と言う訳でもないが、五人くらいなら特に問題は無いだろう。距離的にも佐那の家とあまり変わらないし。
『あぁん!? ふざけんじゃねーぞテメェなんで野郎の家なんかに集まんなきゃなんねーんだよふざけんなよ!?』
「ああ、お前が女子の家に来たってんで勉強に集中出来なかったらまずいからな。舞い上がってそれどころじゃなくなるだろ? ついでに教えてもらっても内容が頭に入らないだろ? それじゃ勉強会の意味が無い。」
『………つまるところ、俺が自制すれば問題無いんだな?』
「出来そうにないから言ってんだよ。
事故を装って下着が入ったタンスを開けたり、滅茶苦茶部屋観察して皆が出払った頃にこっそり一人で部屋調べたり。どうだ? しないって断言できるか?」
『断言するわ! いくら俺が女に飢えててもんな警察の厄介になることはしねーよ!』
「えぇ~? 本当でござるかぁ?」
『本当だよ!』
「…それに、佐那もお前を部屋に入れるってことに良い顔するかどうかわからないからな。
目に見えて毛嫌いすることは無いと思うけど、内心ちょっと無理するかもしれないだろ?」
『それを言われたらなんも言えねーな…』
よしよし、丸め込めたか。
「ってなわけで俺の家だ。
確か渉は来たことなかったよな? 場所なら後で送る。」
『分かった。
…待てよ。お前んちって皆寺さんの家近いんだよな? だったら探せば』
切った。
…連絡は済んだものの場所を勝手に変えてしまった。即刻佐那に連絡しなくては。
一応渉の下心については伏せといてやるか。それくらいの恩情は俺にもある。




