第6話~ミュウと美優~
毎回読んで下さって有難う御座います♪
今回は内容がちょっとややこしいですがお付き合い下さい。
「さて、何処から話そうかな? え〜とね、ミュウは僕の父が独身だった時に外国……イギリスが良いかな? で知り合った女性との間に生まれた女の子……つまり僕の母違いのお姉ちゃんっていう設定にしようと思うんだ」
「ふにゅ〜」
頷いているところを見ると、僕が何を言おうとしているか理解しているみたいです。
「それで、父はミュウの事を知らないんだ。……ミュウのお母さんが黙って1人で育てていたから。でもミュウは父に一度で良いから会ってみたかった……そして二十歳になった時に、日本にやって来たんだ」
「ふにゅふにゅ」
ネコミミがぴくぴくして来ました。興味が出てきたみたいです。
「そしてようやく父の家を見つけて訪ねてみたら、会いたかった人は既にこの世を去っていて、僕が1人でこの家に住んでいる事を聞かされるわけ」
「みゅ〜……」
ミュウが考え込み始めました。僕の設定のイメージでも浮かべているのでしょうか?
「更に、僕が今置かれている状況を知ったミュウは、素性を隠して家政婦として父の忘れ形見である僕の面倒を見ようと思った。幸いミュウは、母国でベビーシッターやハウスキーパーの仕事をしてたから何の問題も無かった」
「……なゃるほど〜」
腕を組んで口を尖らしています。ミュウの頭の中でも僕の物語が進んでいるみたいです。
「その後、お姉ちゃんの部屋に入ったミュウはびっくり仰天。日本人のコスプレに憧れていたミュウは早速メイド服を着る事に。……ネコミミとにゃんにゃん言っているのは喫茶店の女の子の真似をしてるから……それとブルーの瞳はカラーコンタクトね……ふぅ〜、こんなところかな?」
「ご主人様凄いにゃん! そんなに複雑なお話を思い付くなんて、天才にゃん♪」
天才かどうかは分かりませんが、自分でも結構良くできたと思います。……ただ、父に隠し子を作ってしまったのは心が痛みますね。
「ところで、素性を隠している間のミュウは、ご主人様とどんな関係なのにゃん?」
「おっ! 鋭い指摘だね〜。実は僕もまだその設定は思い付いてないんだ。従姉とかだと親戚に怪しまれるから、誰か信頼のおける人の紹介とかかなぁ?」
「信頼出来る人にゃん? うみゅ〜……お話を聞いた限りでは、弁護士さんぐらいしか頭に浮かばないにゃん」
ふむ、確かに弁護士さんなら信用出来ます。この3ヶ月の間、随分お世話になりました。……周りからはお金を持ち逃げするとか色々言われましたが、僕にとっては親戚よりも余程頼りになる存在です。
「う〜ん、弁護士さんにミュウを紹介してもらった事にすれば良いかな〜。……良い人だからきっとお願いを聞いてくれると思うんだ。今度家に来た時に頼んでみよう♪」
「完璧にゃん♪ これでご主人様と一緒に暮らせるにゃん♪」
ミュウと手を取り合って喜びを共有します。本当に上手くいくかどうかは分かりませんが、手は尽くしました……後は「神のみぞ知る」ですね。
「……それじゃあ改めてミュウにプレゼント♪」
「ふにゃっ?」
僕は化粧台の引き出しから小物入れを取り出してミュウに見せました。
「この可愛い箱がミュウへのプレゼントにゃん?」
「違うよ。プレゼントは箱の中身……」
僕は勿体ぶってゆっくりと箱を開けました。……中には真っ赤なチョーカーが入っていて、ミュウの首に着けてあげました。
「にゃにゃ!? 綺麗な首輪だにゃ♪」
「……首輪って……まぁ、間違ってはいないけど、それはチョーカーといって女の子向けのおしゃれな飾りだよ……うん、ミュウに良く似合ってて可愛い♪」
「ふみゃあ~♪ 可愛いなんて照れるにゃん♪ でも嬉しいにゃん♪」
頬を赤く染めて、愛おしげにチョーカーを撫でているミュウを見ていると、どうしても姉と重ねてしまいます。……でも、ミュウはミュウであって、姉ではありません。……姉はもうこの世に居ないのです……
「それはね、お姉ちゃんがこのメイド服を買った時に僕がプレゼントした物なんだけど、ミュウに着けてもらいたいんだ。……あっ! ミュウをお姉ちゃんの代わりだなんて思ってないよ! ……ただ僕は純粋に……」
「……全部言わなくても分かってるにゃん……拾ってもらった時から、ご主人様の気持ちはミュウの心に伝わってるにゃん♪」
僕の言葉を遮って、ミュウは首に腕を回して来ました。ミュウの身体が密着してどきどきします。
「……ご主人様〜♪」
「ち、ちょっと……ミュウ! 顔が近いよ!?」
とろんとした瞳で迫って来るミュウに魅了されて、僕はミュウの唇にゆっくりと自分の唇を近づけます。
「……ミュウ」
「……ご主人様」
そして僕達の唇が触れようとした瞬間……
――ピンポーン
「……うわぁ!?」
「……ふにゃあ〜!?」
突然のインターホンの音にびっくりして、我に返った僕達は気恥ずかしくなりお互いそっぽを向いてしまいました。
「……だ、誰か来たみたいだから……ちょっと行って来るね……」
「……わ、分かったにゃ……」
(……はあ〜どきどきした……もしもあのまま邪魔が入らなかったら……)
……僕はまだ火照っている頬を触りながら玄関に向かいました……
…………
「……なるほど、そんな事情があったとは……優斗君! 私に任せたまえ! 弁護士には依頼人の守秘義務があるから君達の事は秘密にするよ。……ミュウさんは私の友人の家にホームステイをしている留学生で、私の紹介だと言えば問題はないだろう。まぁ……君の親戚連中は面白くないだろうがね」
「あははっ、僕もそう思います」
訪問者は弁護士さんでした。絶好のチャンスだったので、「ミュウ誤魔化し大作戦」を実行してみました。結果はご覧の通り大成功です。
「でも、どうして弁護士さんは僕にここまで善くしてくれるんですか? 父の知り合いだとは聞いていましたけど」
「ああ、私と優斗君のお父さんは親友だった。だから彼の忘れ形見の君が気の毒でね。……通夜の席で見苦しい争いをするなど言語道断だ。子供の前で醜態を晒すとは……同じ大人として情けないよ、ははっ」
弁護士さんが苦笑いをしました。確かにお通夜の時の出来事は酷かったですね。僕も人間不信になりそうでした。
「いやー、それにしてもミュウさんは、美優さんに実によく似ている! 国籍こそ違うが、二人ともお母さんがそっくりだったのかもしれないなー」
「そうですね〜」
ミュウが人間になったショックですっかり忘れていましたが、昨日の夜に白猫について調べていました。それによると、ミュウは「ジャバニーズ」という種類の猫で、原産国はアメリカらしいです。
……外国の猫だからなのか、ミュウはちょっと外国人っぽい顔立ちをしています。だから、ハーフって設定もあながち間違ってはいない訳です。国籍もアメリカにすればもっと良かったかも知れませんね。
「それでは家事はミュウさんに任せるから、優斗君のお世話を頼むよ!」
「分かったにゃん! ミュウに任せるにゃん♪」
「はははっ! その片言な猫言葉も実に可愛らしいね。今度うちの娘にも頼んでみようかな? では、私は失礼するよ。二人とも仲良くしてくれよ」
「はい! 有難う御座いました!」
僕達は深々と頭を下げて、弁護士さんを見送りました。
「ふぅ~、汗掻いちゃったよ~」
「ミュウも緊張したにゃん」
ほっとしたら、何だかお腹が空いて来ました。時計を見てみたら11時でした……朝起きてから何も食べていないので、さすがにお腹も減りますよね。
「朝ご飯抜いちゃったからちょっと早いけどお昼にする?」
「はいにゃ。ミュウに任せるにゃ!」
「えっ! ミュウちょっと待って……」
止める間もなく台所に行ってしまいました……ミュウにご飯が作れるのか心配で、僕も台所に急ぎます。
「冷蔵庫の中は……お肉とキャベツと人参ともやし……これだけあれば十分にゃん」
ミュウは冷蔵庫から具材を出して、野菜を洗うと手際よく包丁で切って行きました。そして熱したフライパンに油を入れて表面全体に馴染ませてから、肉と野菜をフライパンに放り込みました。
「す、凄い……」
僕が唖然としている間に、ミュウは手早く肉と野菜を炒めて塩、胡椒で味付けをして鮮やかにお皿に盛り付けました。……僅か数分で肉野菜炒めが出来上がってしまいました……お肉と野菜の美味しそうな匂いにお腹がなってしまいました。
「ご主人様♪ ご飯は炊けてるのかにゃん?」
「あっ、うん。昨日タイマーセットして置いたからね」
「じゃあ、ご主人様はいテーブルに着いて待ってるにゃん。ミュウが直ぐに用意するにゃん♪」
「うん、分かった〜」
ミュウはてきぱきと行動して、あっという間に食べる準備が出来ました。
「にゃっ! ご主人様、食べるにゃん♪」
「う、うん。頂きます……」
(……そう言えば、誰かにご飯作ってもらって一緒に食事するのも久しぶりだなぁ……)
そんな事を考えながら、野菜炒めを口に入れました。……野菜のシャキシャキした食感と溢れる肉汁……塩と胡椒のさじ加減も絶妙です!
「ミュウ! これ美味しいよ! こんなに美味しい料理を食べたのは初めてかも♪」
「ご主人様に褒めてもらって嬉しいにゃん♪」
「……あれっ? 何でミュウは料理が出来るんだろ? 昨日まで猫だったのに……」
「はにゃっ? そう言えばそうにゃん。ミュウ、身体が自然に動いたにゃん♪」
二人して首を傾げてしまいました。……これも神様の思し召しなのでしょうか?
「まぁ、今更そんな事はどうでも良いや。ミュウも早く食べなよ」
「はいにゃっ♪ ミュウも頂くにゃん♪」
僕とミュウは楽しくお喋りしながらちょっと早めのお昼ご飯を食べました。
最後まで読んで下さって有難う御座いました~♪
このお話もそろそろ終りが近付いて来ました。後2~3話で完結させる予定です。
最後まで見届けて頂けると嬉しいです。




