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猫の恩返し  作者: いろは
3/8

第3話~とっても不思議な出来事~

このお話も3話目になります。引き続き読んで頂けて嬉しいです。

「う〜ん、これは困ったぞ……」


 今僕はパソコンとにらめっこをしています。そして画面に映っているのは様々な形をした猫のトイレ……

 そう……僕はミュウのトイレの事を全く考えていませんでした。ご飯を食べさせる事で頭が一杯で、そこまで気が回らなかったんです。


「あそこのスーパーじゃ、さすがに置いてないし。この時間だとホームセンターもね〜」


 パソコンの画面に表示されている「20:38」の数字にため息を付きました。……大抵のホームセンターは午後8時に閉まってしまうので今から買いに行く事は出来ないんです。


「ふぅ〜、どうしたものか……」

「みゅう?」


 僕が考え込んでいるとミュウが布団から出てきて、ぴょんと太ももの上に飛び乗りました。(ミュウは僕の布団が気に入った様で、ご飯を食べた後もずっと入っていました)


「ミュウ、ごめんね。お前のトイレの事を考えてなくてさ。おしっこさせてあげる場所が無いんだ」

「みゅみゅ……みゅう〜♪」

「えっ、良い方法があるって?」

「みゅう!」


 ミュウは僕から降りてドアの前まで歩いて行きました。


「みゅうみゅう!」

「部屋から出たいの? 今開けるから……あっ、ミュウ?」


 僕がドアを開けるとミュウはいきなり廊下を走り出しました! 


「ミュウ、何処に行くの〜?」

「みみゅう♪」


 慌てて後を追うと、脱衣場の前で待っていました。


「みゅうみゅう!」

「はいはい、ドアを開ければ良いんでしょ?」


 言われるままに脱衣場のドアを開けると、ささっと中に入って浴室の引き戸に前足を掛けました。


(ええっ!? もしかして……)


 僕が見ている前で、ミュウがゆっくりと引き戸を開けていきます。……テレビとかで、猫が玄関を自分で開けて出入りするのを見たことがありますが……実際に目の当たりすると驚きを隠せません。

 ……ミュウは、自分の身体が通れるぐらいの隙間が出来たところで浴室の中に入って行きました。……それにしても、ミュウは僕に何を見せたいのでしょうか?


「みゅう♪」


 僕が浴室に入ると、待っていたかの様に排水溝の前まで行って、おしっこをし始めました!


「わぁっ!? ミュウ! そんなところでおしっこしちゃ駄目だよ〜!」

「……みゅうみゅう……」

「えっ? ああ〜そういう事か〜!」


 ミュウの行動が理解出来ました。ミュウはここをトイレの代わりにするつもりだったんですね。……思えば僕もお風呂に入っている時に我慢が出来なくなって、ここでおしっこした経験があります。


「おしっこぐらいならシャワーで流しちゃえばいい訳だからね〜、後は大きい方をどうするかだね」

「みゅう♪」


 次にミュウは汚れてた物を洗うための、大きなたらいの中に入りました。


「……なるほどね、そのたらいを使うと……ミュウは本当に賢い! 僕、驚いてばっかりだよ〜!」

「みみゅう♪」


 たらいの中にトイレットペーパーを敷き詰めておいて、トイレに流しちゃえばそれで終わり、実に簡単な方法です。


「砂とかは入れなくても良いの?」

「みゅうみゅう♪」


 この際だから我慢してくれるそうです。物分かりが良くて助かります。


「これでトイレの問題も解決だね♪」

「みゅう〜♪」

「えへへっ、えらいえらい♪」


 ミュウに頬擦りして頭を撫でてあげました。ミュウも目を細めてゴロゴロと喉を鳴らしています。


「じゃっ! 戻ろうか?」

「みゅう♪」


 軽くミュウを拭いてあげてから僕達は自室に戻りました。



…………



「今日は色んな事があったね〜」

「みゅっ、みゅっ、みゅう〜♪」


 猫じゃらしに見立てた棒でミュウと遊びながら、僕は今日を振り返ってみました。

 ……学校で用事を済ませた帰りにミュウに会って、一緒にお風呂に入って、ご飯を食べて……何だかとっても目まぐるしい1日でした。


「あっ! 忘れてた……ミュウ、ちょっとこっちにおいで」

「みゅう♪」


 僕に飛び付いて来たミュウを膝の上に乗せて、スーパーの袋の中から首輪を出しました。


「これはスーパーのお姉さんからミュウへのプレゼント♪ 宜しくって言ってたよ〜」

「みみゅう〜♪」


 お礼を言っているミュウに首輪をつけてあげました。


「うん、良く似合ってて可愛いよ〜♪」

「みゅうう〜♪」


 照れてるみたいです。でも、ピンク色のチェック柄……ミュウにぴったりです。


「あははっ♪ 照れてる照れてる〜。……ふあぁ〜……」


 ……あくびが出てしまいました。時計を見てみると10時を指しています。今日は疲れたのでもう寝てしまう事にしましょう。


「……ミュウ、僕眠くなっちゃったから寝るけど……お前はどうする?」

「……みゅ〜うぅ……」


 ……あくびをして布団に潜り込みました。……この子は本当に猫なんでしょうか? まるで人間みたいです……


「ミュウも眠いんだ〜、じゃあ一緒に寝よっか?」

「みゅう♪」


 僕が電気を消して布団に入ると擦り寄って来たので、軽く抱き締めてあげました。ミュウの体温が伝わって来ます……


(ああ、あったかい……こうして温もりを感じながら眠るのって……久しぶりだなぁ……いつ以来……だった……かな……)


 ……懐かしい感覚を味わいながら、僕の意識は闇に落ちて行きました……



…………



 ……小鳥がさえずる早朝……僕はこの半分眠っている様な感じが好きです。早く起きないといけない理由もないし、寒いし……もう少し布団に入っていましょう……


――ぺろぺろっ


「うひゃあ!?」


 いきなりほっぺたを舐められて僕は飛び起きました。……犯人は1人……ではなくて1匹しか居ません。


「ミュウ! 突然顔を舐められたらびっくりするでしょ〜! 次からは止めて……えっ!?」

「にゃはっ、ご主人様おはようにゃ〜♪」


 僕の目の前に居たのはミュウではなくて、可愛い女の子でした。


「き、君は誰?」


 僕は恐る恐る女の子に訪ねました。昨日はちゃんと戸締まりを確認したし……もしかして泥棒さんでしょうか……


「ミュウはミュウだにゃん。ご主人様に昨日拾ってもらった子猫だにゃん♪」


 そう言ってネコミミと尻尾を動かしました。


(ひえぇ〜、ひ、独りでに動いてる〜。……あっ、でも髪の毛が真っ白で瞳が青色だ……)


 ミュウと同じ特徴を持っていて、ネコミミと尻尾が付いている。……それにミュウの名前を知っているのは僕だけのはずです。


「き、君が本当にミュウならば、昨日の出来事を話して見てよ」

「良いですにゃん。ミュウはダンボールに捨てられていたところをご主人様に拾ってもらって、お風呂に入れてもらって、ご飯を食べさせてもらったにゃん。……あっ、たらいの中の物はトイレで流して、綺麗に洗っておいたから安心するにゃん♪」

「……はっ、ははっ……」


 最早笑うしかありません。トイレの後始末までされてしまったら疑う余地はありませんからね。


「でも、どうして人間の姿に……お化けか何かなの?」


 ちなみに僕はお化けとか心霊現象とかは全く怖くないです。それよりも人間の方がよっぽど怖い生き物だと思っています。


「ミュウ、優しいご主人様にお世話になってとっても嬉しかったにゃん♪ だから恩返しをしたいと思ったにゃん。……そうしたら神様が現れて、願いを聞いてくれると言ったにゃん……ミュウはご主人様のお役に立ちたいってお願いしたらこの姿になっていたにゃん」


 普通ならば信じられませんが、昨日からあり得ない事だらけだったせいか自然に受け入れられました。そして、落ち着いてくると周りがよく見えてくるようになりました。


「ミュウ、その服はどうしたの?」

「人間の姿になったらミュウ寒くて着る物を探したにゃん。そうしたら何故か二階の一番奥の部屋が頭に浮かんだにゃん。そして行ってみたら、綺麗な洋服が一杯あったのでお借りしたにゃん」


 ミュウが来ているのはフリルが付いていない、ゆったりめのワンピース……ちょっと大人っぽい雰囲気のする、僕の好きな服……


「……サイズぴったりだね……良く似合ってて可愛いよ……」

「にゃっ! ご主人様に褒めてもらって嬉しいにゃん♪ ついでに下着もお借りしたにゃん」


 下着をちらっと見せるミュウに一瞬ドキドキ、って言うか下着も着けられるの? 何処まで人間の知識があるんだろう……


「ミュウは昨日から僕の言葉が分かっていたみたいだけど、それは何故なの?」

「ミュウにも理由は分からないにゃん。それにご主人様に拾われる前の事、あまり覚えてないにゃん」

「えっ!? だって昨日ミュウは生後3ヶ月だって自信満々に言っていたよね?」

「はいにゃ。何故だか誰かに3ヶ月だ、って言われた気がしたにゃん」


 ……謎だらけです。でも、一番不思議な事があります。


「……ミュウが洋服を探しに行ったお部屋はね……お姉ちゃんのお部屋だったんだ……そしてミュウが今着てる服……お姉ちゃんのお気に入りの洋服だったんだよ……」




最後まで読んで下さって有難う御座いました。


ようやく物語が動き始めました。最後までお付き合い頂けると嬉しいです。


指摘等御座いましたら、遠慮なくお願いします。出来る限りお答えしますので……


それでは、執筆頑張ります!


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