赤鬼とサンタクロース
冬の童話祭に参加し忘れました。
そのため、短編で出します。
少しでも暖かくなってもらえたら嬉しいです。
外は今日も寒い寒い。
ひゅーひゅーと風が吹き、さらさらと雪が降る。
「おーい、サンタよ。今日はクリスマスだな。プレゼントの準備は出来ているのかい?」
赤鬼はこたつで暖を取りながら、大きなお口にミカンを投げ入れもぐもぐ。
「赤鬼さん、準備万端じゃよ。ほれここに……あれ、ないぞ。プレゼントがないぞないぞ」
「どうしたサンタよ。プレゼントがなければ、子供たちは悲しむに違いないぞ」
「参った参った。はてはてどうしたものか」
ソリの上は空っぽ。子供たちに配るはずのプレゼントはどこにもない。
トナカイさんも心配そうに見つめている。
「サンタよ、どうするんだい? 今日はクリスマスだぞ。子供たちは靴下をぶら下げて待っているに違いないぞ」
「うむうむ、どうしたものか」
サンタはわたあめのような大きなおひげを触りながらうーむと考える。
「こうなったら今から手作りお菓子を作るしかあるまい」
「サンタよ、それは名案だ。節分までどうせ暇だし、おれも手伝うとしよう」
「そうかそうか。それは助かる」
おっきなテーブルを出してサンタと赤鬼は準備完了。
「おいしいクッキーを作ろうか」
「そうだな。あまーいやつを作ろう」
まん丸たまご。
雪のように白い小麦粉。
あまーいお砂糖。
すべて合わせて、まぜまぜまぜまぜ。
気持ちをこめて、まぜまぜまぜまぜ。
「子供たちは喜ぶに違いない。愛情いっぱいのクッキーだからな」
「ん? 待てよ。サンタよ、チョコチップはないのかい? 子供はたいていチョコレートが大好きだ」
「それはそれは、気がつかんかった。しかし、チョコレートは切らしていてのぅ」
「うーむ。どうしようか。何かアクセントになるものはないかな」
赤鬼とサンタは考える。
うーん、うーん、どうしよう。
赤鬼は窓から外を覗き込む。
雪は止んで、見渡す限りの夜空が広がっている。
「そうだ、サンタよ。お星様を入れたらどうだい?」
「うむうむ、それは名案だ。ちょっくら取ってくるとするかのぅ」
サンタはトナカイさんと一緒に空を駆け回る。
一つ、二つ、三つ……。
お星様を袋いっぱいに詰めていく。
「それではクッキーに混ぜていこうかの」
「そうだなサンタよ」
袋からお星様を取り出し、生地にふりかける。
シャリンシャリン。
シャリンシャリン。
そして、あっつあつのオーブンで焼き上げる。
まだかな。
まだかな。
チン。
オーブンを開けると、キラキラ光るクッキーが焼き上がっている。
「サンタよ、美味しそうだな」
「うむうむ、子供たちは喜ぶに違いない。それでは届けてくるかのぅ」
ソリの上に輝くクッキーを詰めた袋を乗せて、トナカイさんと一緒にサンタは出発する。
ひとつ、またひとつと、クッキーを子供たちの元に届けていく。
赤鬼とサンタのスタークッキー。
愛のこもったスタークッキー。
子供のためのスタークッキー。
あなたは食べたことがありますか?