召喚
はじめまして、初投稿の淡島です。
まだ、至らぬ点が多くありますががんばって連載していこうと思います。
それでは、本編です。どうぞ
俺は友達と会うために朝早く起き、学校に行き、友達と会い、授業を受け、授業が終われば友達と帰る。
そんな平和で今までに味わったことの無い楽しい毎日を送っていた。
ある人は言っていた。
「世界は平凡か 未来は退屈か 現実は適当か 安心しろ。 それでも、世界は劇的だ」
そんなことを口走っていたが俺から言ってしまえば本当に何でも出来てしまった人間に対してはその言葉は無意味だとただの偽善であると思う。
本当に何でも出来てしまった人間に対してはこの世界は劇的ではないのだから。
少し前までの俺ならそう答えていたと思う。
「健達、早く来ねーかな」
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しかし、そんな平和な日々が突然に終わりを告げた
昼休みの時間の事だった。
俺は健達が来るまで自分の机でボ〜とどこまでも青く雲一つない空を見ていた時だった。
突然、廊下の方から「キャー」と甲高い女子の声がした。
「女子が誰かとぶつかったんだろう」そんな程度しかそのときは思わなかった。
そこから「逃げろ」「来るな!!」などの意味の分からない言葉が聞こえた。
しかし、そんな声も数分で無くなってしまった。
次に聞こえた声は「助けてれー」と言う悲痛な声だった。
流石の俺も鬱陶しくなってきたので注意しようと廊下に出た。
今、思えば「キャー」と聞こえた時点で廊下で何をしていたか確認しておけば良かったと思う。
俺が見た光景は廊下一面を埋める血と廊下に這いつくばっている人と人だったものだった。
「あぁ」
一体何が起こっているのか分からなかった。
いや、正確には俺がこの現実を受け入れることができなかった。
しかし、そんな現実逃避も直ぐに終わりを告げた。
「こーんなところにまだ生き残りが居たのか」
そんな声が後ろから聞こえた。
俺が後ろを向くとそこにはまるで漫画に出てきそうな大きな剣を持った男がいた。
とてつもない恐怖が俺の体を蝕んでいくのが分かった。
あいつはヤバいそう感じた俺は一目散にその場から逃げ出した。
逃げ出した俺が次に見た光景は後ろに居た筈の男が俺の前で大剣を降り下ろそうとしているところだった。
「一名様ごあんなーい」
そんな言葉が聞こえ、俺の意識は途絶えた。
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そして、気づいたら真っ白い空間に居た。
ここには俺の他にもクラスの奴や他のクラスの奴らがいた。
俺がこの空間に来たことに気付いたのだろう。
生徒の集団の中から数人の男女が此方に近づいてくるのが分かった。
話し掛けてきたのは俺の少ない友達でもある健達であった。
「悠斗もここに来たんだね」
俺に話し掛けてきたのは佐藤健。かなりのイケメンで運動も出来て、頭も良いが女の好意が分からない、鈍感と言う致命的な欠陥を持つ。
とても残念な男である。
「あぁ」
「突然で悪いんだけど悠斗は此処がどこだかわかるかな」
「いや、悪いんだが俺にも分からない」
「たーけーるー、そんなに同じ質問しても返ってくるのはみんな同じだよ~」
途中で会話に入ってきた女子の名は朝風美奈、茶髪でショートカットで良く語尾を伸ばす奴だ。
運動はできるが勉強は全くといって良いほどできない。
言い方を変えるならば脳筋である。
「美奈ちゃん!!、そんなこと言わないの」
次に会話に入ってきた女子は竹内薫、黒髪の長髪で髪を頭の後ろで結んでいる。
頭は学年でもトップクラスに位置する。
しかし、俺と話すとなぜか顔が真っ赤になって、いつもどこかに走って行ってしまう不思議な子だ。
「悠斗なら何か知っているかもしれないからね」
「だけどよ、健。俺達もいつまでもダラダラ聞いてるだけじゃ埒があかないぜ」
こいつは田中隆一、皆から隆と呼ばれてある。
隆は運動が出来て、背がメッチャ高い。
顔の方は渋顔でワイルドの言葉が似合いそうな奴である。
ただし、渋過ぎて怖い。
隆と初めて会ったときは少しビビった。
そして、こいつらと良くつるんでいる俺の名は坂口悠斗
人の域を少し越えてしまった人間だ。
そんな感じで一通り会話を終えたところだった。
「ようこそ、神の空間に」
そんな声がこの真っ白い空間に響き渡った。
声が聞こえた方へと顔を向けるとそこには金色の髪の色をしたこの世のものとは思えないほど、綺麗で美しく、そして何処か儚さを感じさせる女性が空中に浮いていた。
「もう一度言うわ、ようこそ神の空間にゴミ共」
第一印象は最悪だった。
「一回しか言わないからよーく聞きなさい、ゴミ供」
「君達はなぜこんなところに居るのか、此処はいったいどこなのかそんな疑問を持っていることでしょう」
次の瞬間、この女性はとんでもないことを言いやがった。
「君達は死にました、正確には私が殺しました♪
君達が学校で謎の男に殺されたでしょ、あの男に殺された三百位のクズ供から選ばれた四十四人のゴミ供が此処に来たってわけ。
これで君達の疑問は解決したことでしょう。
それで君達にはあるゲームを参加してもらうわ
それでゲームの内容って言うのが「ふざけてんじゃねぇ、この糞尼が」今、何て言った」
「ふざけんじゃねぇぞ、この糞尼」
「いきなり俺達を殺しましただとそんなの信じられるかよ」
「いいから、俺達を早く帰せよ」
そんな不良三人の声を筆頭に他の人達も爆発するように空中に浮いている女性に対して怒りをぶつけ始めた。
「ゴミ供が私に指図してんじゃないわよ」
その瞬間、最初に言った不良三人は全身から血を噴き出して地面に倒れ込んだ。
「さぁて、これで静かになったし、話の続きをするわよ」
突然すぎて何が起こったか分からないままの俺達を放置して女性は話し始める。
「そのゲームってのは君達が異世界に行くことです。
といっても君達が異世界に行ってすることは特にないわよ、自分の好きなように生きなさい、ただ、私の暇潰しに成ってくれたら良いわ。
君達が行く世界っていうのは魔法が存在するファンタジー世界よ
流石にステータス的に強くなっても異世界に一人で行かせると直ぐに死んじゃうから……」
そう言うとその女性は俺達五人を見て、微笑みながら俺達五人に死刑宣告を言いやがった。
「四人一組であっちに送ってあげるわ」
その瞳はどこまでも綺麗で美しくそして、残酷だった。
俺達五人はどれくらい動けないでいたのだろうか。
気付いたときには俺達五人意外は全員、四人一組を組んでいた。
彼らは本能で分かったのであろう。
これが夢ではなく現実に起こっていることだと。
途中ある程度固まった事を目視した女性は決まったグループをどんどん彼女の言う異世界に送っていった。
そして、最終的には俺達五人と彼女だけになった。
「さぁ~て残りは君達五人だけになったけど、どの子達がグループに成ったのかな」
そして、彼女は笑う。
これから、面白いことが起こると思うと笑わずにはいられない、そんな風に俺には感じられた。
俺達は何も言えなかった。
言ってしまったら俺達の関係が終わってしまう気がした。
その時、俺は自分の過去が頭をよぎった。
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俺はどの子よりも頭が良く、運動が出来た。
それはもう、大人が束になっても俺には勝てないくらいにだ。
だから、俺はこの高校に入るまでずっと一人だった。
最初は友達になった子も居た。
俺も友達を作ろうとがんばった。
だけど、どの子も直ぐに俺の事を気味悪がって避け、側を離れていった。
それが何回も続き、気付いたときには誰も俺には寄り付かなくなった。
両親もだ。
両親も最初は「この子は天才だ」などと言って喜んでいたが両親の予想を俺は越えていたのだろう。
途中から両親も俺の事を居ないようにしてあつかった。
その時には俺も人と関係を作ることを何処かで諦めていた。
そんな時だった。
俺がこいつらと出会ったのは……
高校に入学して、少したった時だった。
俺は今までのように自分の机でボーとしていた時だった。
健が俺の机まで来て俺にこう言ったんだよ。
「君、運動かなり出来るって友達から聞いたんだけどさ、どう一緒にバスケやらない」ってな
最初は断ったさ、だけど1ヶ月以上言われて見ろよ、誰だって折れるだろ。
そして、俺はバスケ部に入る条件に俺にバスケで勝ったら言ってやったんだよ。
それで勝負したよ、結果は俺の圧勝、健は一歩も動けないまま俺に負けた。
そしたらさ、勝負が終わった後に健は俺に向かって
「悠斗って凄く強いんだね。ますます、部に入れたくなったよ」
そう言った。
俺を気味悪がることなく、逆に俺に興味を持った奴は初めてだった。
俺は純粋に嬉しかった。
これで駄目だったらもう人を信じるのは止めよう。
そして、俺はバスケ部に入った。
最後の希望をのせて……
そこから俺の人生は一変した。
健に引っ付いて来た、中学からの友達だったらしい美奈と薫。
渋顔で怖かったが話掛けてみると根はとても優しかった隆。
俺の世界に色が付いて行くのが分かった。
楽しかった、今までが嘘のようにただ楽しかった。
だから、俺は彼女に言ったんだ。
「最後の四人一組のグループはこいつらだ」ってな
すると、彼女はつまらな顔をして、
「ふーん、つまらないの、もう決まってたなら早く言ってよね」
「じゃあ、送るわよ」
と彼女はいい、俺達の体は少しずつではあるが体が光の泡になっていくのが分かった。
俺は健達の方を向いて
「俺はお前らに感謝しても仕切れないぐらい感謝してんだ」
「ずっと一人だった俺にお前達は色を見せてくれた」
「それに別に死に別れるわけじゃない、会おうと思えば時間はかかるかも知れないが会える」
「だからさぁ、そんな泣きそうな顔すんなよ」
「悠斗、貴方はバカですか、そんなことして僕や隆、美奈、何より薫が喜ぶとで思ってるんですか!!」
確かに薫は俺になついていたからな。
「俺はこの顔せいで友達が出来なかった。そんな俺に悠斗が話しかけてくれたから……」
「悠ぢゃん、、わだじ、悠ぢゃんにだげるのごどや色々などごろでだずげられでばっがりでわだじ何にも悠ぢゃんにがえぜでないよ~」
皆が俺に言っていくなかで薫はただ泣いていた。
「薫、そんなに泣くな 俺が簡単に死なない事くらいお前らが一番知ってるだろ」
「だっで、だっで……」
「そうだな、じゃぁ、こうしよう!俺が次に薫と会ったら俺が叶えられる範囲で薫の望みをかなえてやる」
「これは約束だ」
そう、薫に言うとピクリと反応があった。
「約束?」
「そうだ、約束だ 俺は一度も約束事を破ったことは無いだろう?」
「うん」
そう言うと薫は溢れ出す涙を一生懸命拭いて、俺にゆっくりと近づくとあと一歩でも進むとキスできる距離まで来て俺にしか聞こえない小さな声で言った。
「返事は次、あったときでいいから、私と悠が次に会ったら私の彼氏に成ってください」
その時の薫の顔はいつもよりももっと真っ赤だったけど、どんな女性よりも美しいと思ってしまった。
そう言い終わった彼女は逃げるように健達の所に戻って行った。
それから、あいつらはブツブツ文句を俺に向かって言ってきたが最後には
「次はあっちの世界で会おう」
俺がそう言うと泣きながら
「「「次はあっちの世界で会おう」」」
と俺に返してくれた。
そして、言い終わったが最後、俺達の体は光の泡に成って消えていった。