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三十一話 よく食べる子はよく育つ(お尻が)

「うひょー! 肉! 肉肉ぅ!!」


「ちょ、おま野菜も焼けって! てか肉何枚も重なってるし!」


 ジュゥゥ。網目の上で赤身の肉が焼かれ、煙と共にどこか気持ちのいい感じの音が響く。


 長い説明を腹ペコ状態で聞かされて限界だったのだろうか。葵は俺たちの班に食材が配られた途端焼き役を買って出ると、トング片手にどんどん肉を放り込んでいったのだった。


「葵は食いしん坊だからにゃあ。いっぱい食べて大きくなるんだぞ〜」


「そういう中月はいつもあんまり食わないよな」


「そう? 葵と比べてるからじゃない?」


「お、お前ら……好き放題言いやがって……」


「と言いながらも涎の止まらない葵なのでした」


 じゅるっ。じゅびびっ。


 反論しながらもチラチラと横目で肉の焼け具合を伺うその姿はまさに食いしん坊そのもの。


 まあ葵は昔からよく食べる奴だったしな。はっ! まさか葵の健康的で肉付きのあるお尻はそこから……?


 横にいる中月と比べて、葵は色々と発育がいい。


 まずは言うまでもなくな巨峰。これは太れば誰でも大きくなるものだが、葵の場合は違う。腰回りはしっかりと細いので、恵まれた体格と言えるだろう。


 そして何よりもお尻の存在感。もはや前から見ても俺にはお尻の波動を強く感じてその存在感を確かめることができる。


 全てが細い中月と、理想的に細い部分と細くない部分が共存している葵。その差はもしかしたら普段の食生活にもあるのかもしれないな。


「ねえ大和。私今晴翔に心の中で猛烈なセクハラを受けてる気がする。引っ叩いてもいい?」


「あん? 気のせいだろ。いくらお前に胸もお尻も無いからってなあーーーー」


「うん分かった。殺すべきは晴翔じゃなくて大和ってことね。二度とおっぱい見れない体にしてあげる」


「ははっ、相変わらず仲良いなお前ら」


「仲良くねえ!」

「仲良くない!」


「息ぴったりじゃねえか……」


 そういえば結局この二人って″どう″なのだろうか。


 大和はいつも彼女が欲しいと嘆いているが、中月だけは絶対に無いと言い切っている。けどその割にはさっきみたいに喧嘩しながらも結構一緒にいる気がするし。


 中月の方もそうだ。彼氏が欲しいだの言っているところは見たことないものの、明らかに大和といる時だけテンション高いし。揶揄ってばかりなのも案外好きの裏返しだったりはーーーー


「ほーひははふほ? ほーっほひへ」


「ん? いや別に何も……ってオイ。何食ってんだ」


「ゴクンッ……食ってない、けど?」


 し、白々しい。今馬鹿でかい音鳴らして口の中へパンパンに入れていたものを飲み込んだくせに。リスかお前は。


「タレついてんぞ」


「っ!? う、嘘っ!?」


「ほんとだっての。ほらじっとしてろ。拭いてやるから」


「いい! いいって!! なんかこれはずい!! やめろおおお!!!」


 ま、今の俺に他人のことをどうこう考えてる暇は無いか。


(この校外学習が終わるまでに、俺は……)  



 いつ勝負を仕掛けるかは大方決めている。そしてその時はまだ、もう少し先だ。

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