表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

第4回 濃霧に護られた川を下る、空っぽの部屋で男は

   1


 SNSに載っていた写真の湖は地図上では「池」で、所在地Y村の名と同じY池と記載されていた。最寄りのM駅までは、新宿から特急とローカル線を乗り継ぎ三時間半。Y池へは、そこからさらに山道を三十キロ以上入る。バスもほとんど走っておらず、かなりの奥地だ。

 そして翌日、僕と沢崎氏は昼前にはもうM駅に降り立っていた。無人駅で、駅舎を出ても商店の一軒もない。でもそこにはタクシーが一台、僕たちを待っていた。沢崎氏が手配しておいてくれたのだ。

 M駅は谷あいの低い土地にある。タクシーは発車するとすぐに山道へと入った。舗装はされているものの、センターラインも引かれていない林道に近いような曲がりくねった道で、しかも両側はずっと植林された背の高い木々に囲まれていて、自分がどこをどう走っているのかが分からなくなる。初めのうちはGPSでスマホの地図を追っていたが、車の揺れがきつく、酔いそうになってやめた。

 沢崎氏はY池の最近の様子についてタクシーの運転手から情報収集しようとしていたが、これといった話は出てこない。曰く、場所が奥まり過ぎていて、もともとそんなに観光客は来ない、それがコロナ禍のせいで今年はさらに来ない、池の周囲には特に商店もないが、ボート乗り場があってそこに小さな売店ならある、そこの売り子がボートの管理も一緒にやっている、云々。運転手は口の重い初老の男で、尋ねられたこと以外、自分からは何も喋らない。それで一〇分もすると車内は沈黙に満たされた。

 やがてタクシーは山道の一番高い場所を越えたようで、下りに入った。それでもずっと森林に四方を囲まれていて相変わらず見通しの良い場所はなく、僕は目隠しをされてどこかへと連れていかれているような気分になった。スケールはちょっと違うけれど、あの感じと似ている。Ⅹ市の、小室秀敏邸から吉村先生の家へと向かう、うねるように曲がる下り階段。さらには、吉村邸から児童公園への下り坂。

 今日は人面猫に導かれているわけではない。導いているのは、この運転手? いや、この人は、そんな感じではない。じゃあ、僕たちを導くのは誰だ? ここからは見えないけれど、やはりあの白い鳥――?

 突然に視界が開けた。眼前に広がるのはちょっとした盆地のようで、森に囲まれたY池が見えた。実際に見てみると、思ったより池は大きい。

 山を下りきると道は真っすぐになり、タクシーはスピードを上げた。周囲の森林は植林されたものだけではなく雑木林もかなり混じり、それに林業関係の建物などがちらほら見られるようになってきた。

 数分もしないうちに森林が途絶え、もうそこは池の畔だった。曇天で、少し霧がかかっていて対岸がはっきり見えない。そのせいで、池が余計に大きく見えるのかもしれなかった。

 池を縁取るように続いていた道は駐車場で行き止まりとなり、タクシーはそのまま中へと入っていく。せいぜいが十台くらいしか収容できない無料の駐車場、そこを突っ切り、その先のボート乗り場と売店の近くでタクシーは止まった。

 帰路のタクシーの予約時間の確認をした後、最後に沢崎氏は自分のスマホに村瀬記者の写真を映して、運転手に見せた。

「実は、この人が一週間ほど前にこの池を訪れているのですが」

 運転手はスマホを覗き込み、すぐに首を横に振った。

「いや、見覚えは無いね」

「電車で訪れたようなので、ここまではタクシーを利用したと思うんですが」

「少なくとも乗せたのは私じゃないね。コロナのせいで観光客なんてほとんどいないから、乗せてれば覚えてるよ」

「じゃ、他のタクシーに」

「だろうね」

「帰り、――タクシー会社の事務所によって、他の運転手の方にお聞きすることは出来るでしょうか?」

 言い方は丁寧ながら、イントネーション、表情、ボディランゲージ、それが三位一体となり、NOと言いにくい圧を形成する。

「事務所で何人捕まえられるか、分からないよ」

「ええ、もちろん、それで結構です」

「それでいいなら、どうぞ」

 運転手は折れ、沢崎氏は、

「どうもありがとうございます」

 深く丁重なお辞儀をする。


 タクシーは走り去り、僕たちは池を前にする。長野の、それも高地とあって、東京とは気温がだいぶ違う。しかも今日は雲が厚く、太陽からの熱はほぼ完全に遮られていて、Tシャツからむき出しの腕がひんやりとするほどだった。晴天だった村瀬記者のSNS写真とは異なり、すっきりしない空。そのせいで池の水面は鈍い色に沈み、向こう岸は霧でぼんやりしている。白い鳥の姿も見えない。人の姿もない。静かだ。

 僕たちは、そのまま、まずボート乗り場に向かった。ちょっと予想外だったのは、ボート乗り場の店番が僕と同じくらいの年格好の若い男だったことだ。なんとなく、この寂れた観光地にいるのは、同じように寂れた中高年のような気がしていたのだ。

 彼は、少々場違いな僕たち――バリバリのスーツスタイルでいる沢崎氏と近所のコンビニに出かけるようなTシャツ姿の僕――の登場に、少しけげんそうな視線になった。

「こんにちは」

 沢崎氏はいろんな声色を使い分ける。彼女の和やかな声で、男の警戒が三、四割は解けたように見えた。

「アルバイト?」

「ええまあ。夏休み、っていうか、一学期から授業がネットになって、東京にいてもしょうがないし、こっち戻ってます」

 アクセントに、少し地元の訛りがある。

「大学生?」

「はい、三年です」

 僕より一つ上、ボート乗り場のボート先輩だ。沢崎氏はそこで滑らかに名刺を取り出し、ボート先輩に渡した。

「へえ、記者さんですか」

 ボート先輩は、一瞬僕に「で、こいつは何?」という視線を投げた後、沢崎氏に、

「取材ですか?」

 と尋ねる。

「そうなの。実はこの人が一週間くらい前にこの池に来たはずなんだけど」

 沢崎氏は村瀬記者の写真をスマホで見せた。

「あ!」

 ボート先輩の光るような反応。

「この人、ボートに乗った?」

「ええ、乗りました、確かです」

 ボート先輩は食い気味に勢い込んで答えた。ただまあ、SNSの写真がここで撮られたものだったのだから、乗ったこと自体は驚くような話ではない。

「その時のこと、どんなことでもいいから覚えていることがあれば」

「ええと」

 そこでボート先輩は少し遠い目になり、懸命に思い出しながら、訥々と話し出した。

「この人は僕に住所のことを聞いてきました。ここらあたりの住所です。でも実際には無い住所だって。僕が生まれ育ったのはここじゃなくて山の向こう、M駅のほうだし、よく分からないんですけど一緒にスマホの地図をみて、それで少し、ああだこうだと話をしました。でも結局分からなくて。……そうしたら、僕らの上を鳥が飛んだんですよ」

 あれだ、あのSNSの写真の。

「白い鳥ね? きれいな、ちょっと大きい」

「そうです、きれいで、それでちょっと大きい」

「その鳥」

 僕はちょっと口を挟んだ。

「このへんでよく見かけるんですか?」

「いや。見かけないな。あの時、初めて見た」

「ここでひと夏バイトしていて、それが初めてですか?」

「ひと夏っていうか、実際、コロナで帰省してるから六月からやってるけど、あの時が初めて。それで、今のところあれが最後。あの後も、見ていない。あの時だけ」

 やはり、あの鳥は特別だ。おそらくは僕を導いた人面猫も。

「鳥は」

 ボート先輩は、沢崎氏の方を向いて続けた。

「池の上を対岸の方へと飛んでいきました。僕たちはそれを見ていて、それでこの写真の人は、鳥を追いかけると仰って」

「それで行ったの?」

「はい、ボートで行きました。対岸までは遊歩道でも行けるんですが、すごく大回りになっていて一時間以上かかるんで、でもボートなら真っ直ぐだから」

 そうなれば当然に、僕も沢崎氏も悪い予感を抱く。村瀬記者と面識のない僕が先に、それを言葉にしていた。

「その人は――、ボートは、戻ってきたんですか?」

「戻って来なかった。でもそれって、池で溺れたとかってことじゃなくて。池に何カ所か、乗り捨て出来る場所があって、その一カ所がちょうど鳥の飛んで行った対岸のところで。この人はそっちで乗り捨てるかもしれないと言っていて、実際、ボートは乗り捨ててあった。ただ、そこから先については」

「その後、この人と会ったことは?」

 沢崎氏が尋ねると、

「いえ、無いです、あれきりで」

「遊歩道でこちらに戻ってくるのでは?」

「そうとも限りません。遊歩道はあちこちに繋がっていますから。あっち、山林管理の事務所なんかがある方にも出られますし、山歩きが好きな人なら登山道にも繋がっていて、駅の方まで行けます」

「そう」

 そこから先の村瀬記者の情報は、もう彼からは得られそうにない。であれば。

「沢崎さん」

 僕は彼女に声を掛けた。沢崎氏も同じ考えのはずだ。

「そうね、じゃあ行ってみましょう、ボートで」


   2


 ボート先輩に見送られて、僕と沢崎氏は池に漕ぎ出した。村瀬記者が乗ったのと同じボートを用意してもらった。船体に書かれた番号は三十三。偶々か、香典の額と同じだ。

 風がそよとも吹いていない。晴れていれば美しい水鏡が見られたことだろう。でもあいにくの曇天、それに池の上の霧は岸から見ていたよりも遥かに濃く、水面には何も映るものはない。時が止まっているかのようにただただ静かな池の水を割って、ボートが進む。

 オールは僕が漕いだ。漕ぎ出ていくにつれ、ボート先輩がたてる物音や野鳥の囀りなど、岸辺の気配が届かなくなり、僕たちは静寂の世界へと入り込んでいく。

 いや、音が全く無いわけじゃない。オールを漕ぐ時に生じる水音、それからオールを嵌めているクラッチのきしむ音。自らの呼吸、沢崎氏が身じろぎする衣擦れ。

 すぐに、ボート乗り場も霧ではっきり見えなくなる。僕は振り返って、行く先である対岸方向を確かめる。そこもまた霧。でも、ぼんやりとは見えている。

「静かね」

 耐えかねたように、沢崎氏が呟いた。

「対岸に着いたら、どうしましょう」

 僕は漕ぎながら尋ねた。ボート乗り場は着実に遠ざかり、霧のせいか、距離に比例ではなく距離に二乗するかのように、輪郭がぼやけていく。

「これといってプランがあるわけじゃないけれど。対岸に何かヒントがあるかもしれないし。――何もヒントが見つからなければ、これから山歩きをする時間はないから、遊歩道からボート乗り場に戻ることにしましょう。それでM駅に戻る途中、さっきのタクシー会社の事務所で誰かに話を聴ければ、もしかしたら村瀬の足取りが分かるかもしれない」

 オールの漕ぎ手はボートの後ろを向く形になるから、僕が見ているのは出発してきたボート乗り場だ。そこはもう今や霧でほとんど見えない。

 霧はますますひどくなる。僕はまた振り返り、進行方向がずれていないか確認する。対岸は思ったほどは近づいていなかった。

 ――おかしい。ボート乗り場からは随分離れてきているのに。

 僕はオールを漕ぐ手を止めた。ボートは緩やかに失速し、水音が静まり、音が消えていく。

 そうして、すべてが静止する。

「沢崎さん。何か変です」

 僕の声は強烈な吸引機に吸い込まれるかのように、まったく反響しない。

「そうねえ、漕いでいるのに全然向こう岸が近づいてこない」

 沢崎氏の声もそうだ。吸い込まれる。僕は身体の向きを少しずらして、対岸を見た。霧でぼやけている。

 ――いや、あれは本当に霧か?

 僕は目を凝らす。ぼやけているのは本当に霧のせいか?

「沢崎さん」

 対岸から目を離さずに、沢崎氏に半ば背を向けたままで言った。

「霧じゃない」

「え?」

「よく見てください」

 沢崎氏も対岸を凝視しているのが感じられる。

「沢崎さん、あれ……」

 沢崎氏が息を飲むのが分かった。

「モザイクに見える」

「ええ。あれ、モザイクですよね? おそらく」

 そうして、僕たちの前でモザイクが溶けるように崩れ始める。何かおかしなことが起きている。僕たちが見てきた対岸はフェイクだったというのか。

 モザイクがなくなると、そこには小さな川、あるいは水路のようなものが現れた。そんなもの、スマホで見た地図には載っていなかった。

 僕は元に向き直り、沢崎氏と正面から向かい合う形に戻った。

「沢崎さん、――川が出てきました」

 いつの間に、ボートは漕がなくてもゆっくりと動き出していた。対岸の川に向かって少しずつ加速し、滑るように水面を行く。自転車をゆっくりと漕ぐくらいの速さだ。それでも川への入口は見る間に近づいてくる。川の両側は霧で見えない。いや、もはやただの霧でもない、濃霧だ。濃霧がまるで意思を持つかのように、僕と沢崎氏を覆う。

 僕は確信し始めていた。いま入り込みつつあるこの世界は、Ⅹ市と同じ種類の世界だ。Ⅹ市では人面猫に導かれて、僕はクマちゃんばあちゃんがカツ丼を作るよく知った世界から、十九年前の惨劇の被害者を悼む表札のない美しい家を経て、児童公園を中心としたあり得ない迷宮であり得ないほど里香な少女と出会い、帰り道を失って遭難しかけ、でもそこから運良く元居た世界へ戻れた。

 同じように、村瀬というやり手記者もまた、Y池で白い鳥に導かれ、おそらくは対岸のモザイクが崩れボートは流されて、そこからあり得ない迷宮へと入り込み、彼は戻らない。

 そしていま、僕たちを乗せたボートが、川へと入っていく。

「何も見えないわ」

「ここまで来たら、もう流れに任せましょう」

 僕は、オールをボートに上げた。川は結構な曲がり方で蛇行していた。それはちょうど、タクシーでY池に来る途中の山道のようで、だからそれは、Ⅹ市で人面猫に案内されて階段や坂道を下って行ったときのようでもあった。

 霧は一層、濃くなっていく。二メートルも離れていない沢崎氏の姿が滲むほどに。僕も沢崎氏も黙っていた。そうするうち僕は、霧の中に里香の姿を思い描いていた。

 里香がいなくなってからというもの、里香と二人でいた時のことや、あるいはバイト仲間たちと過ごしたあれこれを蘇らせようとしても、すぐに、雛人形を捨てた後の彼女がそれを上書きしてしまい、それまでの彼女はどこかへといなくなってしまう。

 それが今日に限っては、上書きが起こらない。僕は、あの夜を迎える前の里香をゆっくりと思い出すことが出来る。バイト仲間たちとがやがや、あるいは二人でふらふらのんびりと過ごしていた結構たくさんの、上書き消去されていた時間たち。

 それだけじゃなく、とても些細なこと、たとえば、カラオケでみんなで上がる曲をがなっている時にふと一人だけ素になっている里香や、僕がまだ幼い野良猫をかまっていたら、それをちょっとひんやりした視線で見ていて、『触る?』と尋ねたら『拾えるわけじゃないから』と歩き出した後ろ姿や、どこかからの帰り道、自然と感傷的になるほどの夕焼けを仰ぎ見て、『このまま降ってきて今すぐ私を焼き尽くしてくれたらいいのに』と、普段の彼女からしたらバイオレントな発言をしたときの里香の瞳を占める茜や。

 それもこれも、なんとなく濃霧の作用であるような気がした。濃霧が僕を、そしておそらくは沢崎氏をも、何者かから護っている。僕はここでは上書きされない。ハッキングから守られた専用回線のような川を、僕たちは下っていく。


 どれくらいの時間が経ち、どれくらいの距離を進んだのだろうか。周り中が濃霧で、風もなく音もなく、次第にあらゆる感覚が麻痺していく。

 僕は里香の記憶を辿って時を遡り、他方で僕と沢崎氏は静止する時の中にいるようで、そのくせボートが流されていくのは時が動いている証拠でもあるようで、それで僕は時の渦潮に翻弄されているようで、どうにも抗う術もなくて、ただただ、沢崎氏とともに地図にない川を下る。

 意識が全部溶け出してしまいそうな、全てがぼんやりとした中で、やがて、霧が少しずつ薄くなりはじめていることを知る。周りの景色がじんわりと霧から滲み出す。

「戸坂くん」

「ええ。霧が晴れる」

 いつの間に川はY池のある盆地から出て、山林の中を流れていた。両岸には森林が続き――、先の方に少し開けた場所が見えてくる。建物も見えた。木造、ログハウスのような外見で、小屋と呼ぶにはやや大きい。近づくにつれ、建物全体が見えてくる。かなり古い家だ。周囲は雑草が生い茂り、外壁の一部には蔦までからまり、でも岸から玄関までのアプローチ部分は草が倒されていて、最近、誰かがそこを通ったことが分かる。

 そして。岸辺に見覚えのある生き物の姿があった。

「人面猫……!」

 僕は思わず呟いていた。

「人面猫って?」

 沢崎氏は気味悪そうに、人面猫ではなく僕を見た。

「あそこ。あの猫、背中の模様が人間の顔のように見える。Ⅹ市で僕を道案内してくれたのも人面猫でした」

 僕は迷わずオールを下ろし、岸にこぎ寄せた。そこには小さな艀があり、僕は先に降りるとボート乗り場で教えてもらった要領で、ボートを固定した。

 沢崎氏が降りるとき、手を貸してあげる。二人が降り立ったのを見届けると、人面猫はお尻を向けて、建物の方へとすたすたと歩きだした。

 沢崎氏は半信半疑だったけれど、僕は確信していた。

 ここが、僕たちの目的地だ。


   3


 人面猫は玄関ドアの前まで来ると、「ほらよ」という感じで、座り込んだ。表札は失われている。短くない期間、手入れされずに風雨に晒されていたようで、玄関ドアは汚れ、郵便受けは朽ち崩れていた。インターフォンの代わりにブザーがあった。壊れているだろうと思いつつ押してみたけれど、やはり鳴っている気配はない。

 少しの逡巡の後、沢崎氏はノブに手をかけた。

 押し、開く。

 鍵はかかっていなかった。僕たちは、建物の中に一歩だけ、踏み込む。屋外との明暗の差が大きく、最初、視界が闇で遮断され、……それからゆるゆると目が暗さに慣れてくる。一番大きな窓は鎧戸が閉まっていて、ほとんど光を通さない。もう一つ、あまり大きくはない窓があり、そこから光が差し込んでいて、その光が滲むように闇に溶け出し、次第に中の様子が見えてくる。

 かつて誰かが住んでいた。でも今は空だ。玄関ドアからそのままのワンルーム。家具も荷物もなく、がらんとしている。十二畳ほどもあるだろうか。その先に、開かれたままの扉が二つ。一つはキッチン、もう一つはどうやら浴室・洗面所とトイレのようだった。それぞれにも、小窓がついているようで、奥からの薄明りでシンクと洗面台の輪郭がぼんやりと浮かぶ。ただそれだけで、そちらにも家財道具らしきものは見えてこない。

 僕たちは土足のまま、明らかに無人なのにまるで誰かが聞き耳をたてているのを恐れるかのように、そっと奥へと入っていった。屋内は建物の外見ほどには荒廃した感じはない。床にも砂埃のようなものは積もっていない。

 ついには僕たちの目は床の様子まで見分けられるようになり――、カーペットもなく板張りのままのその真ん中に、タブレット端末が一台、直接置かれていた。

 沢崎氏は僕より一瞬早く端末に気づき、駆け寄った。

「村瀬さんのだ」

 空気が漏れるような声で彼女は言った。彼女はしゃがみ、電源を入れる。画面にIDとパスワードの入力欄が表示される。

「おそらくは、うちのチームのIDとパスワードで行けるはず」

 予想通りで、沢崎氏はログインに成功し、小さくガッツポーズを取る。やがて画面の中央に一つだけ、動画のショートカットアイコンが浮かぶ。沢崎氏は迷わずそれをタップした。

 沢崎氏はスーツが汚れることも気にせず、床に座り込んだ。僕も隣に座り、タブレット端末をのぞき込む。動画が立ち上がる。アラフォーくらいの、精悍さと都会っぽさがうまく融合したような、ありていに言えばモテそうな、でもどこか危ういナイーブな匂いのする、そこも含めればさらにモテそうな、そういう男が映っていた。背景は、まさにこの部屋だ。

「村瀬さん……」

 沢崎氏が呟き、村瀬記者は語り出した。


「ここを探し出し、見つけてくれるのはおそらく沢崎くらいじゃないかと思う。違うだろうか? いや、やっぱり沢崎だろう。この部屋で、端末を立ち上げているきみが見えるような気がする。……ここは向崎マミ子がかつて住んでいた場所だ。気づいているかもしれないが、玄関ドアの右下、少し離れたところに、剥がれ落ちた表札がある。記事を書いた時の取材で、彼女の来歴は分かっている。彼女は長野県のY村から二〇一一年年初に宮城に転居し、その後すぐに3.11.で被災して行方不明になった。取材中に住民票で確認した。でも、住民票記載の場所はここじゃない。ここは住所を持たない、地図にもない場所だ。

 ここまでは、あの鳥が、白い鳥が案内してくれた。沢崎もそうだったんじゃないか。ぼんやり見ているだけだと、カモメより少し大きい、どこにでもいそうな鳥と思うかもしれない。でも生息しているのは、中東から南西アジア、中央アジアにかけてで、日本にはいるはずのない鳥だ。その姿は、一見吉報をもたらしてくれそうな、少なからず優雅にも見えるあの鳥の姿は、俺の脳の奥に否応なく刻み込まれている。それに、実はこの二年くらい、あの鳥とは顔なじみだ。

 Y池の上空で、鳥は俺を招いた。だからボートを借りて後を追った。鳥は池の中央へと飛び、俺は懸命に漕いだ。やがて鳥は、だからボートも、対岸の方へ向かった。そこで俺は不思議な体験をした。ボートは対岸が近づくにつれ、潮にでも乗ったかのように滑り出した。俺が進行方向を何度目かで確かめた時、突然そこに川が出現していた。鳥は川の上空を飛び、ボートは導かれるように川を流されていく。やがて鳥は岸に立つ建物の屋根に止まり、ボートは勢いを失い、俺は艀につけた。それがここだ。

 スマホのGPSは効かなくなっていたが、スマホの地図で改めてY池とその周辺を確認した。こんな川など載ってない。しかも川を下っていた時間と速さから距離を概算して、ここは地図に載っていないというだけでなく、ありえない場所なのだと結論した。地形からして、ありえない。そのくせ俺は、確かにここにいるのだ。

 俺はとにかく雑草を押し分けて建物に近づき、周囲を調べた。誰かが生活している気配はない。ほとんど廃屋になっている。その玄関脇、地面に半ば埋まるようにしている向崎マミ子の表札を見つけて、俺は玄関ドアを慎重に押し開いた。

 ――建物の中は空だった。すべてが運び出されたようで、跡形もなく空洞にされていた。まあ、建物の外見からして予想はついていた。暗さに目が慣れてきたところで、俺は入ってきた玄関ドアを閉めた。部屋の真ん中に胡坐をかいて座ってみた。ちょうど、このタブレット端末を置いた辺りだ。空っぽで、仄暗く、地図にないこの場所で一人座っていると――、自らの思いが流れ出し始めた。

 俺は、伯父から貰ったベルリンの壁の欠片がきっかけでジャーナリストを目指し、記者になった。大学は外国語学科だったし、当然のように海外特派員を志望した。入社六年目で海外に出られた。それからは、海外畑の記者として過ごしてきた。

 あの日、俺は駐在先、戦乱のさなかのA国にいた。俺はそこで、決して人には言えないようなことを体験した。それを見ていたのは、俺を含めた何人かの当事者と、上空を舞っていたあの鳥だけだ。そう、俺をここまで連れてきた白い鳥だ。日本にいないはずの鳥。

 あの日の体験を、俺は誰にも言っていない。おそらく今後も死ぬまで言うことはないと思う。俺は、『命の危険に晒され、深刻な精神的ダメージを受けたので、しばらく特派員を外れたい』と会社に申し入れた。会社から何回かヒアリングを受けたが、本当のことは言わなかった。そうして俺は日本に戻った。

 もちろん、日本には日本の危険があり悲劇があり災害があり、そこでの記者の仕事が軽んじられるべきものではない。それは全く違う。だが、それでもやはり俺は「逃げた」のだ。自分のいるべき場所から逃げた。俺はあの体験を決して人には言わない。言うべきではないと信じている。だから、きみにもきちんと分かるように説明できなくて申し訳ない。でも、大抵のことには慣れてあるいは麻痺してしまっているはずの俺にも、あの体験だけは、どうしても受け止めることが出来なかった。それは圧倒的な無力感であり、虚脱感であり、そうしたものから来る鬱状態であり、自爆しそうな怒りであり。世の中には、そういう出来事がある。

 ただ、一生逃げ続けるつもりはなかった。あの時、俺はあそこから一旦逃げて、体勢を立て直そうと思った。そして、いずれ自分はまたあの場所へと戻っていくのだろうと。

 ――それが、七年前のことだ……。七年――、日常に巻き込まれてしまえば、日々が経つのは早い。日本に戻り、俺はいつの間にか、A国でのことを思わずに過ごすようになっていった。沢崎のようなやる気に満ちた優秀な後輩を育て、昔の友人と会ったり、多少は恋愛のようなこともしたり、言ってみれば普通の日本の社会人としての日々。結構充実していて、悪くない、決して悪くない生活。この生活を続けてはダメな理由なんかないじゃないか。だってみんな、そうしている。

 もうこのままでいいと思いかけていた二年半前、俺は向崎マミ子の記事を書く巡りあわせとなった。3.11.の津波で行方不明になった彼女のアルバムが漂着物の中にあり、それを保存しているという手紙が社会部に送られてきたのだ。正直、最初は、日々さばいている案件の一つに過ぎないと思っていた。でも違った。

 今でもはっきり覚えている。あれは宮城にアルバムの取材に向かう朝だった。良く晴れた、遠く富士山が望めそうな朝だ。爽快感からか、俺はマンションから出てすぐ、空を仰ぎ――、上空にあの鳥がいるのを見た。咄嗟に見間違いだと思った。だから目を凝らしてもう一度見た。でもいくら凝らしてみても、俺の上を旋回するのは、やはりあの鳥なのだ。日本には生息していないはずの。しかもあれは、A国であの時に居合わせたものと同じ個体だ、そう感じた。痺れるように、直感した。

 馬鹿げているのは承知している。あの時のあの鳥が東京にいるわけがない。理屈ではそうだ。でも理屈じゃなかった。俺はそれで一瞬にしてA国での俺に戻り、次の一瞬でまた現在の東京に戻り、俺はA国と東京をめまぐるしく行き来し、……日常というまったりとした海の底で眠りかけていた俺は、揺すぶりをかけられた。

 見上げていて、鳥が嘴に何かを挟んでいるのが見えた。何だろうと思った。白い鳥はしばらく旋回し、やがて挟んでいたものを離した。それは、ひらひらと空をゆっくり時間をかけながら舞い、落ちてきた。小さな紙だ。そこには、日にちが書いてあった。二〇二〇年九月一日。二年半後の日付だった。そして九月一日という日は、俺がA国であの体験をした日付でもあった。

 あの鳥は、あの個体は、ありえないことに宮城までついてきた。取材で行く先々で、先回りしているかのように、いつも上空にいた。それ以来だ、白い鳥は俺のそばから長く離れることはなかった。俺は折に触れ、あの鳥を見かけるようになった。見かけると、何をしていてもどこにいても、落ち着いた気持ちではいられなくなった。なぜ俺は日本にいるのか、なぜA国に戻らないのか。その問いを突き付けられているように感じたから。自分の人生を生きる上では戻るべきだと分かっていた。半面、もうあの経験は消してしまいたいという願いも生まれて来ていた。あの鳥に監視され、二年半の間、俺は二〇二〇年九月一日という日付を一瞬も忘れることはなかった。

 今年、ついにその日を迎え、俺は朝から緊張していた。何が来るのだろう、何が起きるのだろうと。電話が鳴るたび、これか、と思ったり。だが、特に変わったことは起こらなかった。何もだ。緊急の案件もなし。だからいつもより早く、七時過ぎには仕事を終え帰路についた。自宅のマンションが見えてきた時には、さすがにちょっと気にし過ぎだったかなと思い始めていたよ。そんな緩みは、郵便受けに向崎マミ子からの郵便が届いているのを確認しても消えなかった。ほお、彼女は生きていたのか、と驚き、その奇跡を素直に喜んだくらいだ。触ってみると、何か、ごつごつしたものが入っている。彼女、何を送ってきたのだろう、アルバムに関する何かかなとか、そんな想像をしながら部屋で開封し、封筒から転がり出てきたのが、欠片――、伯父から貰い、失くしてしまったベルリンの壁の欠片だったわけだ。

 意味が分からなかった。頭の中が真っ白になったよ。ありえない。なぜ向崎マミ子からこの欠片が送られてくるのだ? 欠片が彼女の元にあるはずがない。そんなわけがない。でも実際に送られてきた。今の俺の出発点ともいえる欠片が、なくなったはずのものが、白い鳥の予告したこの日に、向崎マミ子から。

 そうして呆然と欠片を見ているうち、俺の中でこの状況を説明しうる一つのストーリーが、仮説がむくむくと形成されていった。思えば二年半前、向崎マミ子の案件と同時にあの鳥は俺の前に現れるようになったのだ。それ以来、鳥は俺に張り付いている。もし、向崎マミ子と白い鳥が繋がっているのだとしたら? おそらくは何か、運命の力みたいなものが俺をA国に戻そうとしていて、向崎マミ子はいわば運命の化身、あるいは巫女のようなものとして存在しているのかもしれない。白い鳥はその遣いで、俺にA国へ戻るということを思い出させようとする。鳥は俺に張り付きながら二年半の猶予を与えたけれど、それでも俺は動こうとしなかった。だからついに、向崎マミ子は壁の欠片を送りつけてきた。俺が俺であるとはどういうことなのかを付きつけて、そのためにもA国に戻るべきだと、俺に思い出させようとした……。

 ははっ! 笑ってくれていい。こんなの気違いじみているし、全部バカげた妄想かもしれない。でも、そもそも彼女から壁の欠片が送られてきたという事実自体が、バカげたあり得ない話なのだ。いや、もっと言えば、あの鳥が俺につきまとっていることからだ。あり得ない。でも、鳥は俺を待ち伏せ、欠片はここにある。

 とにかく向崎マミ子に会おうと思った。彼女が何者なのかは分からないけれど、少なくともこの欠片を送った誰かは必ず存在する。会えばもっといろいろなことがはっきりするだろう。

 ちょっと調べてみて封筒の差出人住所が存在しないことは分かった。でも、問題はないだろうと思った。いつも傍に白い鳥という遣いがいるのだ。実際、その通りだった。

 ただ、――ここには誰もおらず、何もなかった。もうとっくに住む者はなく、空っぽだった。向崎マミ子は、もういなかった。その代わり、ここが、俺のために用意された場所であることが感じられた。ここに招かれたのだと思った。

 俺はこの空っぽの部屋で、一人時を過ごした。決して短くはない時間――、タブレット端末が示す時間軸と、俺がここで体感した時間軸とは、かなり乖離しているような気がする。端末上は、ここに二時間程度しかいないことになっている。俺の感覚では何日も経っている。初めはただ昏く静かなだけで、俺は自らの思いと対話をして……、いつの間にか、かすかに外から聞こえていた鳥の囀りが消えてなくなっていた。そこから後は、俺は――。

 俺は、うまく説明できない体験を、ある意味で鮮烈な体験をした。A国でのあの時を、まったく違った次元で追体験したというような……、それを今、端末の画面越しで沢崎にリアルに説明するのは難しい。とにかく体感では数日に及ぶその経験を経て、俺の中の何かが組み替えられた感じがした。それはもう不可逆的で、いや時間とはそもそもすべてが不可逆なんだが、それにしても致命的に不可逆的で、……すまん、やっぱりうまく説明できない。でもその時間を経て、漸く踏ん切りがついた。

 俺はA国に戻る。たとえそこに何が待っていようと、行くべき場所へは行く。「向崎マミ子」については、結局何も分からず仕舞いだったけれど、もういいだろう。彼女が一体何なのかは、もう俺にとっては本質的なことじゃない。要するに彼女はリマインダーなのだから。

 決めたからには時間を無駄にしたくない。どうせ独り者で、妨げとなるものもない。沢崎、きみがここにたどり着く頃、俺はもうA国にいると思う。

 俺がいろいろバカなこと、あり得ないことを言っていると思うだろうか。……いや、この動画を見ているということは、おそらくは沢崎もあり得ないことの一端を経験したのではないか。とにかく、いろいろ迷惑をかけてすまない。また、いつかどこかで再会することもあるだろう。きみが、この世界できみらしくあらんことを願っている」


 僕たちは、幻術でも見せられていたかのような、少しぼんやりとした気分で、かつて向崎マミ子が住んでいた建物を出た。足元には、たしかに、色褪せて朽ちた表札が落ちていた。

 外では人面猫が僕たちを待っていた。川の方を見ると、乗ってきたボートがなかった。予想したことだった。人面猫は川とは反対側の方へと、雑草が生い茂る中を歩き出し、僕たちは後を追った。

「事情をよく知らない人があの動画だけ観たら、ちょっといっちゃてる人だと思うでしょうね」

 僕が動画の村瀬記者を思い出しながら言うと、

「私が観たって、ちょっとそう思うよ」

 と沢崎氏はぼやいた。そう、あの建物自体、いや場所自体が、「ちょっといっちゃってる」。振り返ると、既に建物は木々に見え隠れするようになっている。やがて、緑の中に塗りこめられて何も見えなくなった。

「もう二度と、ここには来られないのかもしれないわね」

 沢崎氏はちょっと立ち止まって言った。

「そうかもしれません」

 『かもしれない』と言ったけれど、確信に近かった。

「戻ってみる?」

 沢崎氏は堪えきれずといったふうで、そうしたら、先を行く人面猫が抗議するように鳴いた。僕は人面猫の思いを代弁する気持ちで言った。

「止めておきましょう。仮にまだ建物があったとしても、それ、何度も繰り返したくなって、きりがなくなりそうです」

 それに――、もう無くなっているかもしれない。

 僕たちは、振り切るようにしてまた歩き出した。そこから五分もしないうちに、あっけなく遊歩道に出た。気が付くと、人面猫は姿を消していた。幸い、児童公園の時のように人面猫に置き去りにされたわけではなかった。もう道案内が不要になったからだ。僕たちは向崎マミ子の世界から、よく知った世界に戻ってきたのだ。


 帰りに立ち寄ったタクシー事務所では何も手掛かりはつかめなかった。翌日、沢崎氏が持ち帰ったタブレット端末から、村瀬記者の一人語りを収めた動画が消えた。沢崎氏が知らせてきてくれた。

 沢崎氏はいろいろ納得がいっていないようだった。それはそうだろうと思う。でも彼女には、抜けてしまった村瀬記者の分の仕事が、日々降りかかってきていた。

「納得如何にかかわらず、まずは日常を回さなくちゃならないから」

 沢崎氏は電話でそうぼやいた。

「要するに彼女はリマインダー」。僕は長野から戻った後、村瀬記者が動画で語っていたこのフレーズを、頭の中で反芻した。向崎マミ子を探し始めてから、僕はしばしば里香のことを考えるようになった。それまで無意識に、そのくせ懸命に埋めて過去にしたつもりでいた、諦めていた里香の喪失を、改めて生々しく思い出したのだ。

 ただ、そこからどう進むべきなのかは分からない。向崎マミ子をさらに追いかけていけば、何かヒントが得られるのだろうか。「村瀬ルート」は絶たれてしまい、僕はまたほぼ振り出しに戻っていたけれど。

 それに僕にしても、とりあえずは日常に戻る必要があった。先延ばしにしていた大学の夏季休暇の課題は、締め切りまであと十日になっていた。僕は、夜な夜な課題レポートのためパソコンに向かった。そうして一時間、二時間と参考文献の海の中を漂っていると、いつの間にかキーボードを打つ手も、もたもたと働いている頭も止まり、結局、考えている。

 時は戻らない、でも里香を何とか取り戻すことは出来ないのか、どうやったら、戻らない時を戻せるか、あの時から見た未来、つまりは今を変えられるのか――。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ