こんな運命はいやだ(2)
それから2日が経ったころ。それは洗礼式の日のこと
。
シェリア達は今、教会の前に立っていた。
他の令嬢達はどんな精霊が来るのか楽しみだと好奇心旺盛の話してた。対してのシェリアはリリナの事で胸がいっぱいだった。
「お嬢様、そんなに緊張しなくても…」
「緊張するんだからしかないでしょ!それに…」
「だって、精霊」
もし、ここが乙女ゲームの世界なら、リリナは洗礼式の際に光の精霊 ルキスが現れる。ちなみにシェリアは下級の火の精霊でなんだかんだ言えば理不尽な設定。もしも、そうであれば、シェリアは破滅の道に入られるのだ。この場合どうすれば…とシェリアが頭を悩ませているとケイが突然、シェリアに近づいてきた。
「お嬢様、失礼いたします」
「え?な…」
『何を?』とシェリアが言う前にケイはそっとシェリアの肩に手を置いた。そして、ケイの立ち位置を変えずに、目はシェリアに向けた。
「はい、まずは深呼吸してください」
「え、な、何で…」
焦ってるシェリアにケイは微笑んだ。
「私はお嬢様の考えてる事は分かりませんが…とにかく深呼吸は大切ですよ」
「わ、私は平気よ。だから安心して…確かに考え事はしたけど…」
「その考え事が緊張がほどけないからです」
「え、何を?」
ケイの言ってる事がシェリアには分からなかった。
「あ、その、えっと…」
ケイが分かりやすく説明しようとした途端。
「シェリア・オリエント様」
「あ、はい」
「洗礼の準備が整いました。そちらの準備は?」
シェリアはケイに向けた。ケイは何か言いたげでいたがそっぽを向いた。
「はい。こちらも整いました。ケイ、行くね」
「あ、はい…。お嬢様も…」
きっと後に言おうとしたのだろう。シェリアはそれを気にすることなく教会に向かった。
ケイの寂しそうな目を向けられながらもそれでも向かった。
教会の中に入ると数十人の人達がいた。その中にはリリナと隣には
「え、アレン王子?」
アレンも居たのだ。いや、当然のように腕に這うリリナに付きながら居たのだ。リリナはまるで猫のようだ。いつもよりあざとさが増えた。完全にあざとい女、イタイ女だ。そしてシェリアと目が合えば舌を出してニヤリと笑ってきた。
(気にするな私、気にするな!)
シェリアは上唇を噛み。怒りを誤魔化した。
「次、シェリア・オリエント」
「はい!」
シェリアはしっかり顔を上げた。そして内陣の前で座った。
「神に祈りなさい」
神父の綴りの通りにシェリアは目を閉じ祈った。
すると、シェリアの辺りから光が降り注いだ。
そして、火の精霊がシェリアの前に現れる。と思ってた。
「ん?待て」
と神父がなにかに気がついたらしい。シェリアはすぐに目を開いた。
「おかしいぞ」
「他のは上手くいったのに…」
「何故だ?」
「どうかされましたか?」
シェリアに近くにいた神父に問いかけた。
「そ、それが…」
神父は気まずく言いずらそうな顔をした。何故だろう嫌な予感がする。
「まさか…精霊が来ないんですか?」
とシェリア達は言った人の方向く。にそう言ったアレンだ。そして、リリナは隠れるようにアレンの後ろにいた。
「そうですよね?」
神父ははっとし、ゆっくりと頷いた。
「そんな…」
まさか私に精霊が来ない?なんで?とシェリアは自分に問いかけた。すると
「きっと悪い事をずっとしたからでしょ?」
とずっとアレンに隠れてたリリナが寂しそうな目で言った。そして、シェリアに近づく。
「シェリア様、私は見ましたの」
「え?何を」
「なにをとぼけてますか!あなたの侍女を虐める姿を見ましたのよ」
ええ!と教会がざわめいてた。
「わ、私を何もしてません!侍女を虐めるという悪趣味な事を一切しておりません!」
「嘘を言わないで!そんな嘘、信じる事をですか!」
「でも…!」
シェリアは即座に後ろを向いた。
「でも、確かに」
「だってあの最低の令嬢ですもの」
「そりゃ疑っても、ね…」
他の令嬢達が話をする者もいれば、嘲笑う者もいた。見てしまったシェリアは首を横には振った。
「だとしても…」
ずっと座ってたシェリアは立った。
「私は侍女や使用人には手を出しません」
と大声で言った。
「そんなの嘘よ!それで大声を出して圧をかけたんだわ」
「違う、違い…」
その時、リリナが自分で頬を叩いた。まるでシェリアがやったかように
「きゃあ!」
その衝動にリリナは床に倒れた。
「あ…あ……」
シェリアは周りに助けた。だが、手遅れだった。
「おい、これって…」
「ひどい」
「最低だよ…」
「庶民相手にこんなのって…」
他の人達は冷酷な目でシェリアを見つめた。まるで最悪の令嬢の目のように
「シェリア」
「あ、アレン様…」
アレンも他の人達と同じ目だった。
そして、シェリアを通り越し倒れてるリリナを抱きかかえてリリナを立ち上がらせた。リリナに対しては優しい目だった。
「リリナ大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です」
アレンは再び冷酷な目をシェリアを見た。
「シェリア、君はなんて事をしたんだ!」
「ちが…違います」
「彼女は庶民だぞ。分かってんのか!」
「分かってますですが…」
そして、アレンはため息をついた。
「シェリア、君は見損なったよ」
「あ…」
冷たく言い放った言葉はまるでリリナを完全に信じてる言葉。さらに、その顔も彼女を信じている顔だった。そして、周りの人の冷酷な目とリリナの勝利のにやり顔だ。
シェリアはもう分かってた、いや、悟ったのだ。もう、彼女には勝てない。誰も信じてくれないと。
「もう、元の仕事場に戻ってもいいのよ」
「でも、私はお嬢様の傍がお仕事ですから」
「大丈夫よ。私は、もう…」
あれ以来、シェリアの嘘の噂は瞬く間に広まった。父も母も兄も皆 リリナの事を信じる。なぜだと思う?それは彼女はゲーム通りに光の精霊がもらえたからだ。それ影響で皆リリナの味方だ。もはや針のむしろ。八方塞がり。
シェリアを信じてくれる人はケイと他の使用人のみだった。
「私、何のために生きているんだ?」
もう、生きる希望もない。このままゲーム通りに終わる。思えれば思うほど握り拳が固くなっていく。
「う、うぅ…」
シェリアの活気のない瞳から大粒の涙が零れてきた。そしてついに
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」
精神の限界を感じたシェリアはとうとう大声で叫んだ。
「こんなの嫌だ。嫌だ…。こんな運命は嫌だ…死にたい…死にたいよ…」
と大声の後の掠れた声で涙ながらにいった。こんな運命をいっその事もう死にたい死んでも構わないほどだった。そう思った、その時
「お、お嬢様!」
とケイとは違う侍女が勇気を出して声を出した。
「何?」
シェリアは即座に涙を拭んだ。
「これを…」
侍女はすぐに気まずそうにある物渡した。その侍女が持ってた物にシェリアは目を見開いた。それは茶色の封筒だった。
「それは?」
「えっと…郵便の人から言われました。『無許可でもオーケー?』とか」
OKって軽いな…。シェリアは呆れてた。早速、シェリアは貼ってたテープを剥がし、封筒を開けた。封筒に入ってたのは紙と地図と持ち物リスト。すると、一瞬紙に書かれたのが見えた。
「!」
思わないのが書かれてあったのがシェリアは焦って紙を開いた。そこに書かれてあったのはシェリアの前世の名前ととある学園の招待状だった。
____拝啓、●● ●●様
又 シェリア・オリエント様
あなたは本校に相応しい人物だと認定し
本校の入学を許可します。
令和5年 3月3日
私立ヴィング学園
代表者 ユウキ ・タツオ
「な、何ですか…これ…」
恐る恐る見てたケイが不穏な目を見た。
「見せる…べきではなかったでしょうか」
手紙を渡した侍女も心配そうにシェリアの顔を伺った。シェリアは2人の様子を気にせず、もう一枚の紙 地図を見た。よく見れば日本の地形とほぼ同じだ。これを見たシェリアは苦渋の選択見回ってしまう。分からない学園に行けと?
もし、断ったらどうする?だけど行ってみたい。でも親の許可なしで………ん?
シェリアは侍女にある事を聞いた。
「確か、郵便さんはなんて言ったけ?」
「あ、『無許可でもオーケー』だそうです」
そういう事か!シェリアは郵便の人に感謝をした。『無許可でもOK』つまり親の許可なくてもいけると。その時 シェリアは覚悟を決めたかようにケイに向いた。
「ケイ、他の侍女さんを私の部屋に集めて」
とシェリアに自分の部屋に走った。
「え、何故?」
問うケイにシェリアは足を止めた。
「私、決めたよ」
勘づいたケイに対してシェリアは息を飲み、ケイと目を合わせた。決意の表しにまっすぐに
「私、この学園に行く!」
と言った。そのシェリアの決意の瞳は人生を変えれるなら命賭けても変えれる。
それを見たケイは一瞬 力が抜いたか思ったら力をいっぱいに入れた。
「かしこまりましたよ。お嬢様」
そのケイの紳士さにシェリアは感動し頷いた。
「そうと決まれば早く侍女達も集めて!」
「はい!」
シェリアは決めたこの学園が分岐点なら行くと。たとえそれが過酷で辛い棘バラの道あろうとも。




