こんな運命はいやだ(1)
【視点:???】
「お嬢様、今日はいい天気ですね」
「ええ、そうね…」
雲ひとつもない爽快の青空を見ても彼女は見向きもどころか暗い表情のまま俯いた。
令嬢らしからぬ整ってもない黒紫色の髪に青色の瞳は瞳孔が開いてもいない。曲がりきった猫背で靴は放り出したまま。これにはさすがの付き添い侍女のケイはため息をついた。
(こっちもため息をつきたいほどだよ…)
まるで悪意のある太陽が諦めに纏った彼女を降り注ぐ。
彼女の名はシェリア・オリエント。
オリエント公爵の令嬢にてとある《王子》の婚約者である。
彼女が何故諦めかけたのかは数日前に遡ったことになる。
___数日前____
馬車の中、シェリアに緊張がはしった。
「お嬢様、手が震えておりますよ」
「ええ…分かってますよ」
《王子》に会う事、洗礼式のためだけなのに軽い化粧が汗で汚れてしまう。整った髪に電流がはしりつきぼさぼさになる。ケイはまるでそれを予見したのか、櫛と小さな化粧を用意してる。
「本当にすごいな、ケイは…。さすが、私の自慢の侍女よ!」
シェリアは誇らしさのあるドヤ顔をした。
「いえいえ、それほどでもないですよ」
と照れくさそうに言いつつドヤ顔の微笑みをするケイ。
「だって本当よ!私のお気に入りの1つだもの」
「でもあった時は、『私のお気に入りになるなんて百年はやいよ』と言われましたのに…」
「…っ!それとこれとは別よ!」
とケイにからかい上手のケイにからかわれたシェリアは頬を膨らます。
「と、とにかく」
すぐに頬をずぼめシェリアはケイに近づいて、元気にいっぱいにこう言った。
「あなたは私の侍女でもあり、大切なだーい事な侍女なの!私の猫型…」
シェリアは思わずハッとし口を塞ぐ。そして、そっぽを向いた。
「猫型…?なんですか?」
「侍女であり、大切な侍女でもある…。最後のは忘れて」
「え、ええ…」
(今のは何よ…《ネコ型ロボット》って…)
シェリアはさっきの言葉が気になった。
(私、そんな事を考えていないのに…でも、本当の事だし。………!だから、何を考えてんの私!)
シェリアは頭を抱えた。忘れろの強い念を入れて。
「着きましたよ。お嬢様」
「もちろん。知ってましてよ」
「先程から頭を抱えておりましたけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫よ」
シェリアは早速 胸をはり、勇気に満ちた瞳をとある方向に向いた。
今目の前にいるのは王宮の城の門。シェリアはその城にいる《王子》に会うためにいるのだ。
(そこら辺の令嬢とは違うんだから!)
シェリアは顎を引き、城の門をくぐった。
「うわぁ…」
「凄いですね…」
目でもよく見える天井の鮮やかな金の模様に真っ白の床。遠方から来たシェリアとケイにとっては呆気が取られる程の光景だろう。
「ようこそおいでなさいました。シェリア・オリエント公爵令嬢」
そして、強そうな白髪のおじいさん執事が現れた。
「私は執事のゼバスと申します。以後、お見知り置きを」
ゼバスと名乗る執事は姿勢よく礼をする。
完璧な姿勢の礼、さすがは王国の執事といったところだ。
「オリエントの公爵令嬢 シェリア・オリエントです」
「シェリアの侍女を勤めております。 ケイ・ベレスです」
シェリアとケイもしっかりと一礼。
「では、こちらに…」
「ゼバス?」
シェリアは声の方に、目の前のある階段に目を向けた。そこにいたのはウェーブのかかった金髪に碧眼の美しい少女だった。服が汚れている。おそらく市民出身の子。
「リリナ…」
「リリナ?」
シェリアはきょとんとする。そして、
(何故だろう?聞いた覚えがあるような…)
ゼバスははっとし、
「し、失礼しました」と一礼し、目線にリリナという少女に向けた。
「リリナ、何故出てきた」
「門が開いた音がして、気になって…」
と困った顔をする。
「だとしても来てはいけない」
シェリアは即座に引いた。まるで異性の心をくすぐる猫に見えたからだ。
(何だかあざといわ。そして、うざい)
と思うようになった。
「あ、そうだわ!《アレン王子》はどこ何ですか?「ちょっと待って」と言われたのですが…」
「え…?」
「シェリア!」
とゼバスは大声で怒鳴った。リリナはビビった。ケイも驚いていたがシェリアはそれどころではなかった。
「アレン……王子?何で……」
実はシェリアはラファエル王国の皇太子 アレン・ラファール王子の婚約者候補なのだ。
シェリアも他の令嬢が魅了するほどの人気だが、市民には皇太子の事は分からないはずだ。
(家ならば私が怒鳴る所だったな…)
シェリアは何故か自分が恥ずかしいと思った。
「リリナ、いい加減に…」
「ゼバスさん。大丈夫です」
「シェリア様!?ですが…」
シェリアはゼバス達の横に入り、
「オリエント公爵の令嬢 シェリア・オリエントです。あなたは?」
と平常心を保っている言葉を発した。リリナはあれ?と困惑したが
「あ…リリナです。リリナ・ファストです」
と一礼。
(ファスト…ファスト男爵の一人娘でしたか…)
何であんた様な市民が!………と本当に怒鳴る前で良かったとシェリアは安堵をした。
「リリナさん。父様は?」
「えっと……陛下と交渉話を…」
「そうですか…」
ファスト男爵は陛下との交渉話。ファスト男爵は元は商人だ。そのついでにアレン王子に会いに行ったと考える。そして、重要なのは後日に行われる洗礼式でもある。と、シェリアはリリナがここにいる理由の大体理解した。
(あれ。私、何で納得しているの?)
「リリナ」
「は、はい…」
「オリエント公爵令嬢のお出ましだ。そこを退いてください」
とゼバスは冷たい言葉でリリナに放った。対するリリナはシェリアに向かい、歯切りを見せた。まるで上手くいってないような顔、可愛らしい顔から醜い顔に変わっていた。
シェリアとケイはゼバスと別れ、ベット付きの部屋にいった。
「お嬢様。ご成長なさって、私は嬉しいです」
「ええ…」
ケイが褒めてもシェリアは不穏に感じた。
「どうかなされましたか?」
「リリナのことについてです……」
何故、彼女は歯切りを見せたかと。ただ、挨拶をしただけなのに。
「私、何かしたのかしら…」
「お嬢様は何もなさっておりません。」
とケイは立った。
「どこに行くの?」
「お嬢様の為にお菓子を用意してまいります。お嬢様、長旅の疲れの影響でしょうでしたし。」
「あ…(ケイ…)」
シェリアは力を抜くようにため息をついた。
そして、ありがとうの体言で微笑んだ。
「ありがとうケイ。そうね、用意して」
「かしこまりました」
ケイは一礼した。
(そういえば、こんなに疲れたのは久しぶりだな…)
とシェリアは見たのは机の椅子だ。シェリアは机の椅子に座った。座ってみると先程の倍のため息をした。荷が降りたかのようだ。
(このまま寝ると《何かに》引き込まれるような…引き出されるよう…)
と思った途端、シェリアは机に伏せて寝た。
_……?…どこなの?ここ…
シェリアはまだ瞳を閉じたまま、いや、閉じられたままだった。開けようと思っても。瞼に重りが掛けたように開けられない。
_お願い……目を開けたい…!
すると、一瞬で一気に重りが外れた。その同時に目を開いた。目をすぐに1つの光をとらえた。
極小さいが走れば大きく変わるかそれとも届かないままか。すると、
_あっ、光が…
光が段々と遠くなっていくのだ。シェリアから近づいきたくないかのようだ。
_まって…
シェリアは光を追いかけた。速く走りやすいようにパンプス、髪飾りを脱がした。
だが、どれだけ走っても光には届かない。むしろ、遠のいていく一向だ。すると、
_…っ!?
一瞬で視線が傾いた。今度は右足に重りが掛かったかみたいだ。後ろ、右足を見ると手だ。《黒い手》が離せないように固く握っていた。
_離して…!
いくら強く引っ張っても離されない。それどころがだんだんと重くなっていた。
_このままじゃ…!
その時
_…っ!?
遠くなってた光が近づきはじめたのだ。
そして、シェリアの辺りが光はじめる。
_…っ!眩しい!
シェリアは光を手で遮させる。ここまで近くで見ると本当に眩しい。太陽よりも眩しい。だが、
_うわっ!
《黒い手》が負け以上かのように引っ張ってきた。黒い沼に強制に入りこさせようだ。
すると、
_…え?
光が急速に近づいた。そして、シェリアの手を掴むように吸いこれていく。
_何?…うわぁ!
シェリアは思わず目を閉じた。すると、光が眩しいほどになくなった。
_何があったんだ?
シェリア少しづつ目を開けた。開けた先には謎の部屋に男女2人がシェリアを見た。顔を近づけて。
_誰?
その時、男の人が
「おお、●●〜!」とシェリアを抱き上げた。
「こらこら、ダメでしょー」と微笑む女の人。
_なに?なにが起こって…
すると、目の前が映像のように切り替わった。
「みろ、●●。君の弟だよ」
_弟?
前を向くと小さな赤ちゃんが女の人の指を小さ
く、結んでた。
「抱いてみる?」
と男の人が赤ちゃんをベットから離し、シェリアに抱かせた。
_…覚えてる。覚えている!
シェリアは確信した。今私が抱いているのは私の弟。ベットで微笑ましそうに笑っているのは私の母。その私の隣にいるのは私の父。そう、これは私の前世の記憶だと。
_こんなのを覚えてない私って…
シェリアの瞳から涙を流した。
「お、おい。ど、ど、ど、どうした?」
「慌てすぎよあなた。」
シェリアは涙をぬぐんだ。自分はなんて愚かな事をしてしまったのだろうと。
それから早送りのように場面が切り替わった。
遠足に運動会、大学受験、指切り、修学旅行に乙女ゲー厶。…乙女ゲーム…?悪役令嬢…シェリア・オリエント!
そう実はシェリアはここの乙女ゲームの悪役令嬢。アレンの婚約者で主人公のリリナに暴力を振るう史上最悪の令嬢なのだ。そして、そのシェリア・オリエントに転生してしまったのだ……
_う、うう、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「ぁぁぁあ!…はぁはぁはぁ…」シェリアは大声を出して起きた。そして、酸素を探すように小刻みに呼吸をした。
「お嬢様?」
シェリアははっとし、後ろを向いた。そこにはケイがいた。ケイをお菓子と紅茶を用意が終わってた。
「え、ええ…何でもないわ」
「悪夢でも見てしまいましたか?」
「まぁ、はい。そうです…」
シェリアは座り、紅茶を啜った。その紅茶は僅かに苦味が感じた。それは不安が的中するかのように紅茶が苦がった。




