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覚醒勝王  作者: 桜苗
始まりの始まり
11/19

男が廃る!

キーンコーンカーンコーン…

学校のてっぺんにある鐘が寂しさのある僕に容赦なく鳴りまくる。強い音が何度も何度も打ち出すように鳴りまくる。そんな強い音に僕はつまらなそうに腕に机を伏せた。普段はこんなにもうざくなったはずなのに……。だが、これが本当の最後になるとなれば別だ。段々と見れなくて寂しいかのように少し切なくなるように鐘の音が小さく、小さく、小さく、鳴り響いた。この小さくなっていく鐘の音でも僕はうるさいと思えてきたのに……。けど、何故か今日だけは切なくなるのは僕はここを、この東京という都会から、出ていくのを知っていたのかな。

そう、僕は父さんの転勤でここを東京を出ていくのだ。

それには父さんが僕達の家に帰ってきた理由が父さんの利き手である右手、右腕が動かせないこと。そして、これ以上の戦場に行くのは無理だと、上の方から判断が下されたからだ。つまりこれは、父の転勤と同時に、僕の転校も決まったのだ。上からも家族と一緒に行ってもいいだとか。それからは父さんの独断で僕の転校が決まったのだ。

「母さん、ハヤテ、本当にすまない……。俺がもっと伝えたい事を伝えていれば…」

と土下座をしてる父さんは悔しがりそうに歯を食いしばってる。すると、母さんは立ち上がった。威厳の強い顔で

「こぅんの、ど阿呆!これだからあんたは、気が弱いんだ!」

と別の怒りっぽい母さんが乗り込んだかように怒りの眼差しで父さんを見た。これまでに見た母さんの怒り顔とは一線違う。まるで別人のような顔だ。

「本当に申し訳ない。俺だって言うべきだった。だが、これは上の命令で……」

「馬鹿もん!そんなんじゃ、男が廃る!このままだとあんたは、男としての名誉が無くなるんだよ!そして、ハヤテを見習え!ハヤテは今後は戦争として送り込むために毎日、薙刀の練習をしてんだよ!それなのにあんたは何だい!?そんなんじゃ、本当に、男が廃る!」

と母さんがギャンギャンと吠えまくる犬のように喚いた。もう、二時間ぐらいは説教が始まったが結局のこと、呆然とした僕が母さんを抑えてなければ母さんはもっと説教をしまくるのだろう。さらには暴力を振るうことになるだろう。

あれからのこと僕は考えた。昨夜の事を思えば、確かに母さんの言う通りだ。男なら戦場に行け。女はその男を守れるように強い意志を持てと、それがこの日本の状況ですごく一番お似合いな言葉だ。でもまぁ、これは父さんの都合だし、これは仕方がないと思うし、そろそろ草人形をうざくなってきたし、いいかな〜?と思っている自分がいた。「これ以上入れないでくれ」と言ってもそんな願いを聞き入れずに、今度は、草人形と石人形と一緒にを入れるという、どんな神経してんだと聞きたいというほどの、完全にいじめに変化したのだ。これがしてこないのが何よりもの幸運だ。面倒にならなくて済む。

__だけどな………

僕の頭の中ではすでユカちゃんの事でいっぱいだった。ユカちゃん……僕が転校したら、いなくなったらどうなるのかな?学校にはクラスメイトがいるし、その周辺にはユカちゃんを知っている人がいっぱいいるし。ユカちゃんの家近くには強面のおばちゃんがいる。だが、おばちゃんもあれで七十は超えている。これに、たかが近いだけだ。おばちゃんが守れるのかも分かんない。

「どうした?ハヤテ〜。今日は何か気に入らねぇのかよ」

と目の前が白一色になった。驚いて目を開いた僕が目を擦った。するとと目の前に立っていたのは腹がでかくて、目がにやにやしてる少年は、野原ユウ太。この学校一番のガキ大将だ。そして、こいつが僕をいじめる、いじめ組のリーダーである。理由は簡単だ。それはユウ太がユカちゃんの事が好きだからだ。ユウ太にとってユカちゃんはまさに女神のような存在だ。(それって、外見からの影響なのでは……?)

そのせいで、たまたまユカちゃんと同じ住所である僕に近づかせないように、このようにからかい上手の煽りを言ったり、藁人形を似して作った謎の草人形を僕の下駄箱に入れるという謎の行動をしていたのだ。さらには、放課後に僕を強制に空き教室を連れていき、僕に教科書に書いてるやつ全部読ませるという、完全に僕をユカちゃんに近づかせない気、満々といういじめをされている。そのお陰で、この前の国語のテストが百点とれましたが。とりあえずこの太っちょユウ太の野郎が、うざいのは確かだ。

「別に………まぁ、ちょっとな」

と僕がユウ太の目線に合わせずに別の方向を向いた。

「なんだよ、なんか言えよ。それとも、俺達になんか隠し事をしてんじゃねぇの?」

「してない」

「嘘つけ。本当は隠し事してるんだろ?顔に書いてあるぞ〜」

と手を僕の肩において顔を近づけた。本当にこいつは、勘が鋭い。ユウ太は、物事や近所の世間に敏感な奴だ。例えば、もうすぐお米やお砂糖が無くなるとか、僕らの近くでアメリカの攻撃を受けられたという広いところから、近所でお互いに愛し合ってた夫婦が離婚したとか、学校近くの八百屋の大根が、安いという狭いところまでと、とにかく、物事に敏感な奴だ。

「………」

「おい、どうしたのよ」

このユウ太の敏感はその事実を知るためにはどんなことがあっても絶対に聞きに行くのがユウ太の敏感流儀だ。この場合だと人の隠し事だろうがなんだろうが放置が効きやしない。こいつの頭、どうなってんだろうか?一度、頭を穿ろか。だが、そんな事よりもこの状況が先だ。本当のことでも言おうのか。いや……

「別に。ただ今朝、学校近くの子猫が元気になったって聞いて、少し微笑ましかったが誰かさんのせいで憂鬱になっただけだ」

「嘘つけ。子猫が元気になったのは二日前だ。今じゃ、そこら辺の家を歩き回ってるぞ」

「ゔ」

__まじで鋭い!

本当にユウ太は勘が鋭いと改めて思った。これは……本当の事を言わなければいけないな……。

「……転校」

「え、何て?聞こえない」

「………転校だ。」

「は?誰が」

「僕がだ。親の都合で僕は転校だ。」

「え?まじ?」

「ああ、そうだ。昨日、父が戦争から帰ってきてな、そのため別んとこで良かったな、これで恋の邪魔者がいなくなったぞ」

「嘘……」

とユウ太は信じられないほどなのだろう。僕も同じだ。でも、これは事実だ。ていうか、なんだその態度は?愛しのユカちゃんのために家が近い僕を虐めたくせに

「何があったのよ。馬鹿ども達」

とつり目の少女が現れた。僕達を蔑むような目で見つめて。

「なんだよカナ子。おめぇに関係ねぇだろ?」

「だって気になるわよ。二人の話が気になっているもん」

彼女は 水島 カナ子。口や目は悪いが根はいい子な女の子だ。彼女の両親はすでに共に他界して、今は親戚の家で住んでいる。その親戚は老いてるじじばばしかいないからカナ子、一人で家事をしているらしい。だから、そのせいで母のような優しい性格をされている。それに僕がされているいじめを全力で庇ってくれる子でもある。本当に優しい子だ。見知らぬ僕に庇ってくれたのだから。

「ねぇ、ハヤテ君どうしたの?この馬鹿にいじめて無いんでしょうね」

「こ、今回はやってねぇよ。それにハヤテが……」

「僕、転校になったの」

「え…」

「……ほーら、だから言ったでしょ。これ以上いじめてたら、ハヤテが転校になるって!」

「だって本当になるとは思わなかったし……」

「それでも、いじめはいけないんだから!」

「まぁまぁ、」

どうやらユウ太はカナ子の注意事がまさか本当になるとは思わなかったのだろう。だから僕が転校だって聞いたとき動揺したのか。これは納得した。そりゃそうだ。本当の事だから。それをユウ太は全然気にせず、いじめてしまったのだから。

「これは親の都合で転校になってしまったんさ。だからいじめのせいじゃないから……」

「でも一番、不憫になるのはあなたよ。ハヤテ。そんなんだと後悔しちゃうんだから!」

確かにここで一番不憫なのは僕だ。でも、この場合は……。僕は鋭い目を動揺するユウ太に向けた。僕を見たユウ太はビクッと驚いて

「あ、あ……」

とこの光景で察して謝るのだろうと思った。その時

「申し訳ありませんでしたぁぁ!」

と土下座で謝ってきた。まさかのことに僕は驚いた。普通はお辞儀のように頭を下げるのかと思いきやまさかの土下座。これは笑い物になると思うがこれは違う。多分、僕達を蔑む罠だと僕は思った。

「あんた、ふざけてんの!?ハヤテ君がどれだけ悲しんでるのか分かる!?」

「分かってるよ!でも、本当になるとは思わねぇだろ?それにこれは嘘だと思うだろう。なぁ、ハヤテ…」

とこれはカナ子の言う通りだ。まぁ、予想はしてたがやはり、これはおふざけであった。そのようか嘲笑う目をしても無駄だ。僕は首を横に振った。これは冗談ではないと。僕の素振りを見たユウ太の顔は段々と青ざめていく。本当の事だと知り今までのおふざけが本当には出来ないと絶望したのだろう。同時に取り返しのつかないことをしたのだから。すると

キーンコーンカーンコーン……

と僕がユウ太に、改めてお灸を据えようと思えばそれを無視するかのように、予鈴が鳴り始めた。僕は何事も無かったかのよう顔を机に伏せた。寝たふりをしたのだ。何事も無かったかのように。それを見たカナ子は「はぁ……」とため息をついて。自分の席に座った。ユウ太も立ち上がり自分の席に座ったのだ。そして、教室の玄関から先生が入ってきた。

「えー、日直は……」

先生は黒板を見た。今日の日直が「起立!」と僕達を席を立たせる。これまでの当たり前の日常が今日で終わる。これが終わるというのになんだか寂しい気になる。僕は俯いては傍にある窓を見つめた。


夕方の帰り道だ。僕はいつも通りに誰にも邪魔されなずに一人で帰ろうとしてると

「ハヤテー」

と後ろから女の子の声がした。ユカちゃんだ。ユカちゃんが僕を追いかけてこっちに走ってきたのだ。「はぁ、はぁ……」と息を切らしては立ち直りすぐに手で持ってた鞄を担ぎ

「行こっか」

と笑顔で歩き出した。

「あ、ユカちゃん……」

「ん?」

「いや、なんでも……」

そのユカちゃんの行動に僕は心配した。それは今日の朝会のことだ。先生が僕の転校を伝えた事でみんなはびっくりはしたが同時にユウ太への痛い視線を浴びた。

そんな中、ユウ太への痛い視線を浴びてなかったのは、ユカちゃんなのだ。ユカちゃんはユウ太に視線を浴びせることをせず、ただただじっと俯いて寂しそうに悔しそうに手をぎゅっと拳にしながら座ってたのだ。そして、今でもユカちゃんはきっと悲しんでる。まだ、そう思ってるのかな?と僕が後ろからユカちゃんの様子を伺うと

「ハヤテ、何がづいでら(何かついてる)?」

「あ、いや、なんでもない……」

何を言ってんだ僕。ユカちゃんが後ろを向いて本当の事を言える絶好の機会なのに……。それ以来、無言のまま歩いてとうとう僕の家の前に着いてしまった。僕は家の前でそのまま立ち止まった。これが最後だから。これ以降にユカちゃんと一緒に行けるのが最後なんだから。

「それじゃあ、ハヤテ、べば(さようなら)。明日も…」

とユカちゃんはハッとする。僕と一緒に行けるのがこれが最後だとのこと。ユカちゃんは気まずそうに挙げてた手を下ろした。僕の顔を見ずに顔を俯きだした。……これは、むしろ機会があるのでは?と僕は勇気を出すように手で拳を作った。

「あ、あのさ……」

「ん?」

僕の呼びかけにユカちゃんの顔が俯いた顔が一気に前を向いた。僕はビクッとした。こいつ、意外と表情を次から次へと変えまくってると、改めて思う。そして、本当にこの子がこの後にやっていけるのかが心配になってきたのだ。

「ねぇ……」

「ん?」

どうしよう。思ったより言葉が全然出てこない。言え、言えよ……僕!と何度も何度も責めても言いたい言葉が出てこない。すると

「なんか言いたいことあるなら早く言ってみて」

僕はハッとした。横を見るといつの間にかユカちゃんがいた。ユカちゃんが心配そうに様子を伺ってた。これが最後の機会だ。

「あ、あの……!」

「うん……」

「さ、寂しくないか……?」

「………え?」

「僕がいなくなったら寂しくないのか?」

「!」

ああ……やっと言えた……。僕は第一に安堵した。何せ本当に伝えたいのが言えたのだから。それにそれに対するユカちゃんの反応が見てみたかった。これは、単なる興味ではない。ユカちゃんの本当の気持ちを知るためであるのだから。ユカちゃんの反応に困ったのか一時的に俯いた。何故か首を横に振った。そして、

「ううん。平気だよ」

「え……」

と笑顔で言った。少し寂しそうな笑顔で。

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