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41 新学期

いつもお読みいただいてくださる方ありがとうございます。


ちょっとゆるい感じで書いたので・・・また見て書き直します。

地鎮祭を初めて経験してから約2週間後。

暦の進みは早いもので、あっという間に9月を迎えた。

いよいよ新しい学校での新学期。

初日は保護者が付いて行った方がいいだろう、と奏史兄さんが学校の事務所まで送ってくれた。

事務所でわとさん・・・、わと先生が迎えに来てくれて、一緒にクラスに向かう。

やはり、わと先生が担任になった。


「緊張、してる?」


わと先生の問いに嘘はつけないから、軽く頷くと、先生は苦笑する。


「そうよね、でもまあ、うちのクラス、荒れてもいないし、すごく仲いいって訳じゃないけど、すごく味わい深いクラスだから、慣れたら楽しいと思うよ」

「・・・?味わい深い??」


・・・先生、その言い方、ちょっと不安です。

考えてみたら、神道系の学校なんだよ、ここ。系っていうのもおかしいのかな。

いずれにしても、そこをわざわざ選んでくるんだから、神社関係者とか、そういうのが特に好きな人、とか特殊な理由があったりとか、で来てる人の集まりになりそうで。

濃いメンバーが揃うんじゃないかな、と勝手に予想はしている。

そういう私も、よそから見たら、途中編入で、ここに来てるから、変わってるように見えるかもしれない。


教室に入り、お約束のように、黒板の前に立たされ、紹介される。

視線をどこに置いてよいか分からず、遠く、向こう側の黒板をぼんやり見つめていた。


「一色さん、じゃ、挨拶して」

「は、はい!」


!!先生に促されて、視線を動かした時、何か鋭い雰囲気の影が目に入った。

思わず、二度見してしまう。

鋭い目の形。これでもかっていう三白眼。まるで剃刀、とでもいいたくあるような風貌の男子が、その厳しい目つきでこちらを見ていて、思わず、すくみあがる。

な・・・何、あの人。


「一色さん?」


わと先生がもう一度声をかけてくれて、我に返り、私は自己紹介を簡単に済ませた。

ふっと視線を下におろして挨拶すると、今度は目の前の座席に座る、細面の固そうな顔をした姿勢の異常にいい男子と目が合う。目礼されて、思わず、こちらも会釈しちゃったわ。

うん?この人の卓上にあるの・・・筆箱、じゃなくて、インク壺??え?なんかインクつけて物書いてる??・・・まさか、この学校そんな古い筆記具使うとかあるのかな。

いや、隣の女子は普通のシャーペン使ってる。・・・何?このインク壺の人・・・。


「一色さん、じゃあ、あっちの席。空いてる場所に座って」


色々と戸惑うことが目に付いたけど、ひとまず、私はわと先生に言われた席についた。

隣の席は 田中 桜子さん、という、髪の長い、神秘的な雰囲気の女の子だった。


「よろしく」


私が声をかけると、田中さんはとても大きな黒目がちの瞳を一瞬きらりとさせてこちらを、見ると、

小さな声で


「よろしく」


と言ってくれた。・・・いや、すごい美女ですよ!この人。見とれちゃったよ。ええ、こんな人、友達になって、自慢して連れ歩きたい!髪の毛もすごいきれいで、サラサラで。

どこかの神社の娘さんとかなんだろうか。わあ、こんな人が巫女さんでいたりしたら、美しすぎるでしょう。存在的に、うちの正歩君みたい。すごく目の保養になる。女子神職にしたら、かっこよすぎるし、絶対祈祷してもらいたい感じ。


その場はそのまま放送での始業式が始まり、その後でわと先生のホームルームを受けた。

この時間が終わると、何人かが私の机を囲む。

人懐っこい女子数名と、男子が二人。

そのうちの一人は、挨拶したときにこちらを厳しく見てた、三白眼の男子だ!思わず、構えてしまっていると、それを感づかれたのか、女子の一人が指摘してきた。


「ほら、佐久間君やめなよ。一色さん、おびえてるじゃない。目つき悪いんだから、そうやって、難しい顔しない!」

「う・・・うん」


え・・・・?三白眼の彼、佐久間君は途端に顔を赤くする。答え方もモジモジした感じで、剃刀みたいな雰囲気が追い付いてない!


「え?・・・なんか、怖い人かと思ったけど、違う?」


思わず、そう漏らすと、一同がどっと笑った。


「でしょ~佐久間君、怖い顔だけどいい人なんだよ。可愛いし、誤解しないでね、一色さん。私は秋葉 結子。結子、でいいわ」


佐久間君に難しい顔しない、といった秋葉結子さんがニコニコと場をつなぐ。とても感じのいい人だ。


「私も葵、でいいわ、よろしく」


そう名乗ると、次々とその場にいた女子たちが名前で呼んでくれ、と名乗りだす。佐久間君と一緒にいた男子は山田君。二人は一緒の部活らしく、どうやら勧誘にきたようだった。


「一色さん、どう?俺たち、応援団なんだけど」

「応援団?・・・うん、そうね、佐久間君似合いそうだね」

「見た目はね」


結子が容赦なく言い切る。聞けば、佐久間君は見てくれで、応援団に勧誘され、入団、しかもその風貌を買われて、大学高校の共同の応援団のセンターに立たされているという。

申し訳ないけど、大声出すのは苦手なので、勧誘は断った。


「そんなことよりさ、葵は神社の子?もしよかったら、雅楽部に入らない?」

「ごめん、私神社出身者じゃないの。たまたま知り合いがいろいろと教えてくれて、ここを知ったんだ。」

「え・・・?社家じゃないの?こんな時期に編入してくるから、神社の子か、特別な理由がある人なのかと思った」


そうですよね~。やっぱりそう見られていたか。


「ここって、神社出身者、やっぱり多いの?」

「そうだね。でも思ってるほどじゃないと思うよ。半分は社家出身、4分の1が関係者とか?それ以外は大学までの進学を考えての入学だったり、興味があって入ってきてる人になるのかな」

「私は関係者、みたいな感じかな。興味があって入ったのもあるけど」


でも、結構思ってたより、がっちり神社の人ばかりってわけでもなさそうなんだ。


「ちなみに私は天理教の教会出身。そこの佐久間君は金光教の教会。山田君は一般だね、興味持って入ってきちゃったんだもんね。あと、そこら辺は神社の子と、関係者かな。」

「天理教?金光教?」

「教派神道って知ってる?神道を台に教えを作ってるっていう態で、戦前、神道の中に組み込まれていた宗教の事。実際は全然教えが違うんだけど、形や儀式の中で似てるところがあるんで、学ぶためにこうして他所から来るのもいるのよ」

「へええ」


そういえば、日本史の教科書に載ってたかも。天理教も金光教も聞いたことはある。

でもそう聞くと、色んな人が集まってくるんだな。面白いな。


「・・・ちなみに、田中さんは?」


机に座ったままの隣の田中さんに思わずふると、結子がにやっと笑った。


「桜子、御指名よ。」

「あ、あ、あ、私、私っ!」


田中さんが顔を真っ赤にして慌ててる。


「ごめんね、葵、この子、ものすごく人見知り激しくて。ちなみに一般だよ。」

「そうなんだ、じゃあ、ほぼ私と一緒だね、桜子、でいい?よろしく」


半ば強引に見惚れた美少女の顔を覗き込みながら、その手を握りしめる。


「あっ、よ、よろしく」


ふわあ、やっぱり美しい!でもその慌てた感じとか、人見知り、なんて要素がたまらない。

もう少し、桜子や結子達と話をしたかったけど、次の授業のベルがなった。

休み時間のたびに、今日の私は結子達から話を聞いたり、教えてもらったりして、杜之学院高等部の文化を把握していく。


今日は始業式の日。午前授業で全て終わる。

私は一応、結子から勧誘を受けた雅楽の見学を次回約束して、帰ることにした。

明日からは弁当持ちだ。

これから出産の亜実さんが、弁当は作る、と張り切ってくれてはいたけど。

今後の私の為に自分でする、と言って断ったんだよね。

今日は帰ったら、数日分の仕込をしておこうっと。




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