「ざまあ」
女「はーいどもども」
男「てなわけでやらせていただきますよろしくおねがいします!」
女「そんで、いきなり悪いんやけど」
男「なんや」
女「ざまあってあるやん」
男「普通の人おいてけぼりにならんかなあコレ。なに?」
女「わかりやすく言うと、みにくいアヒルの子や」
男「いじめられてた子が実は一番凄かったって奴?」
女「そんで、いじめてた側が落ちぶれて、ざまあみろて奴」
男「復讐もんか」
女「ラノベの人気ジャンルやねん、さっきので言うとなラストがな」
男「アヒルの子?」
女「こんな風になんねん。『そして、アヒルの兄弟が熊に食い散らされていくのを、白鳥のつがいは、ただ空からじっと眺めていたのでした。おわり』」
男「こっわ!スプラッターやん!」
女「けどカタルシスっつうの?スカッとするやん」
男「どこもスカッとせえへんわ、かわいいアヒルが肉片になっとるだけやん!しかもなんで白鳥はつがいやねん」
女「いじめられた方はこの上もなくハッピーにならなアカンねん」
男「ああ、嫁さん見つけたってことか」
女「旦那かもしれんで、シンデレラみたいなもんや」
男「白雪姫とかな」
女「あれ原作、最後継母焼けた靴履かされて死ぬまで踊るんやで」
男「子供が小便漏らすわそんなん聞かされたら!」
女「そんな、ざまあって奴をね、いっちょやったろかと思ってな」
男「誰に?」
女「自分に」
男「…俺焼けた靴無理やり履かされるの嫌や!」
女「自分、焼けた火箸を口につっこんだよな顔してるから大丈夫!」
男「どこも大丈夫ちゃうわ!」
女「えー、けど僕ざまあしたい」
男「やめとけやめとけ、だいたいな、すっきりした後がエグくなるぞ。焼けた靴履いて踊るババアが死ぬのを二人の新婚が眺めとるんやろ。絶対その後の結婚生活に影響あるし」
女「そらあるやろ。浮気したら鉄の靴とかな」
男「こっわ!怖いやん王子様ビビるやん」
女「円満、なんで?」
男「恐怖で支配するのは円満とは言わん!」
女「実質すべての夫婦はそんなんやろ?」
男「結婚に対する恐怖を皆に植え付けんな!」
女「真実やし、そんなん白雪姫の方もやで。いつ何時、旦那が鉄の靴持ってくるかわからんのやぞ?」
男「悪いことしたら、やろ?」
女「いや、太ったとかでも」
男「王子様ひどすぎやろ!」
女「世の男って彼女や妻が太ったらアカン言うし」
男「お前の想像する結婚生活がまずエグいな」
女「そんで新しい女見つけた、はい鉄の靴って、ありそうやん」
男「お前の世界はどんだけ殺伐としとんねん」
女「その新しい女が実は殺された継母の生まれ変わりでな。…あかんやん!僕がざまあされてるやん!」
男「なんやねん!わけ分からんこと言うなや!」
女「びびったわ、ざまあするつもりがされてたわ」
男「え、ざまあの話やったっけ?」
女「あれ、結婚生活の話か?」
男「結婚生活で焼けた鉄の靴を履かされる話やな。なんやこの話!」
女「そや旦那がすぐに鉄の靴を履かそうとする話や」
男「旦那ちゃうわ殺人鬼やそれ」
女「使い込みとかもダメやろな。ゴメン貴方。僕ちょっとお金使いすぎてん」
男「何に使ってん。場合によっては鉄の靴やで」
女「熊をな、飼育しててん」
男「それアレやろ、アヒル食う奴やろ?」
女「よーわかったな!そやねん!アヒルしか食べん熊をな!」
男「アヒルにざまあ、されてしまえ。はい鉄の靴」
女「いやや!僕はざまあ、て言う方やりたいねん!」
男「白鳥になりたいってこと?」
女「そや、空からな、アヒルの惨劇をな!」
男「だーん!」
女「何や!」
男「それを猟師が鉄砲で撃ってさ♪」
女「歌いなや!なんで銃で撃たれなあかんの僕!」
男「いや、白鳥が飛んでたら猟師は撃つやろ」
女「猟師なんか居らんねん!」
男「へ、一発で二羽も仕留めたぜ、ざまあねえな!」
女「またされてる方やん!する方がええねん!」
男「面倒いな、そしたらお前お姫様やれや」
女「え?」
男「俺、お前の事を散々傷つけて去った男やるわ」
女「メロドラマ?」
男「ちゃうよ、ざまあ!そんで俺が今、死にかけてるから」
女「なんで?」
男「お前を裏切ったからや、ごほっごほっ、どうやらここまでのようだな俺も」
女「貴方!」
男「いやお前がそこで泣いたら、ざまあにならんやん」
女「けど死にそうな元彼にざまあなんて言えんわ僕」
男「ふ、引っかかったな」
女「え?」
男「こうやって死にそうなフリすれば、お前はきっと来ると思ったぜ」
女「騙したんか僕を!」
男「へ、ざまあねえな」
女「またされる方やん!」
男「そやな」
女「もーなんで、ざまあする方、させてくれへんの?」
男「そんなお前に一言」
女「なに?」
男「ざまあ」
女「またされる方!ってもうええわ!」
男「どもありがとございました〜!」