ささやかな日常?編
まだ書いたばかりなので、少ないです。
その日、世界は滅ぶ
その日、世界は終わった
破壊は全てを飲み込み地は赤黒く染まっていった。そう、まさに地獄と呼べるだろう。
しかし、その時、"破壊"を穿ち破壊と混沌に満ちた世界を救ったものがいた。かの英雄の名はサラスカ、クラウディオスとアイニス、フィアンテと言った。
500年後クレイラス公国
クラウディオス家
「な〜さ〜い」
(気のせいだな)
「 き〜な〜さ〜い」
(夢の中だな)
「 お〜き〜な〜さ〜い」
(まだ眠れッッ!?)
悪夢、そのものだった。無防備な相手にも容赦なく(もはや殺しにきたのか起こしにきたのかわからなくなっていた)雷撃を与えられたのである。
「 いい加減毎度これは辞めてよアイラス、朝から心臓に悪いから、死んじゃうから。」
手先に痺れを感じながら重い身体を起こしながら言った。
「目を瞑ったまま起きないからじゃな
い。死んだと思ったのよ。それに毎度起こす身にもな〜り〜な〜さ〜い。」
彼女は、かつての英雄アイニスを祖先に持つ名家、フィアンテ家の一人娘である。瞳はどこまでも深い底のない湖のような碧で肌は白く見た目は凛としていた。そして何より腰まである長い金髪が特徴的だ。
(最近は加減なしで殺しにきてるだろ)
そう心の中で呟きながらリビングに向かった。
リビングは15ルスくらいでそこにソファが2つ、大きなテーブルひとつ、その周りに椅子が4つあった。大きなガラス窓を開けると新鮮な空気が入り込み、カーテンがたなびいた。
クロシティーを2つ淹れ、彼女にも渡すと、幸せそうな顔をして飲んでいた。そんな彼女の顔に見惚れかけたが、気づかれない様にキッチンに入った。
フライパンを温め、ベーコンを入れた。
"ジュッ、シュー"と音を立てて、肉の芳ばしい香りが部屋を包んで行った。そこに卵を2つ落とし作り終え、サラダを盛り付ける。
「朝まだなんだろ?」
クロシティーを飲みながら机に座るアイラに言う。
彼女は、"何故分かった⁈"と言わんばかりな顔をしてい・・・「何故わかった⁈」、
いや、主人公にセリフを先読みされ動揺する敵の様に言った。
「まだ朝の5時だよ、ご飯食べるにしても早すぎるし、それにアイラ、料理作らないだろ・・・。」
「 あ、・・・ありがと。」
(自分から言ったこと忘れてたな)
彼女は料理を作らない、否作れないし、作る気すらない。本人曰く、"作ったら負け"らしい。つまり、毎度起こしにくる理由は、一つしかない。
(朝食の為に毎度起こしにきてるよね、お腹すいたからだよね、いい加減ほぼ毎日五時はきついから、せめてあと1時間眠らせてほしい。)・・・つい呟きそうになる。
2人で朝食をとりながら、話題を変えてみる。
「そういえば、一ヶ月後の"咲き乱れる閃光祭"(ブルースデスターレンテ)の相手決まった?」
「そういえば、気になっていたのよ。確か発表されていたはずなのだけれど、確認してみるわ。」
今2人が通っている、フライナス学園では年に二回のトーナメント戦式の公式大会がある。ソロ部門とダブルタックのチーム部門があるが、1回目はソロ部門となっている。
今年の春、 中等部卒から晴れて高等部生となった2人は、初めての公式大会になる。
「勿論、相手がエイレンでも、手加減はしないからね、⁈ 」
彼女は今までの中で一番真剣な表情で言った。その表情の変わりようからか、一瞬、世界が止まったかの様に思えた。
(本気でぶつかって勝てるだろうか?)
そう心の中で無意識のうちに唱えていた。
しかし、意を決して真剣な眼差しを向け、彼女、アイラスに言った。
「勝負になったら、たとえ、刺し違えてでも勝つよ。」
まるで、世界が2人の周りだけ氷ついているかの様だった。かつての英雄の血を引く2人故の物だった。そして、今の言葉を聴いていた、アイラスが顔を近づけ耳元で囁いた。
「楽しみに、まってる、だから、それまで勝ち残るのよ。」・・・と。
それから、またいつもの笑顔に戻り、ご飯を食べ始めていた。その様子を見て、朝食を済ませた。
ふと、時計を見ると七時を回っていた。
身支度を済ませた後 、2人で玄関を出る。
(これから、長い学園生活が始まる。)
そう小さく呟き、実感を噛み締めていると、
「早く 〜急がないと、グリルにするわよ〜!」
(朝から、何回殺せば気がすむんだよ、)
そう内心で呟きながら、アイラの後を追って言った、、、
〜 〜
コン、コン、コン
誰もいない廊下に、ドアのノック音が響く。
その音は、機械的に規則正しく。
「どうぞ。」
「失礼します。」
ドアを開けると、そこには皮のソファが黒い机を挟み向かいに並んでいた。そして広々とした部屋の奥、一人用のソファに佇む彼女は微笑みながら言った。
「あら、ナルちゃん久しぶり、元気だった?」
なるちゃんこと、ナリアル フランジスカは少し頬を赤らめながら、言い返した
「会長、ナルちゃんはやめてください!いくら会長でも、そのあだ名はッ⁉︎」
「タブー、何でしょう?」
からかうように彼女"フライナス学園生徒会長カレンドュラ オフィシナリス"が言った。
「会長、!からかわないでください!仮にも学園会長なんですから!もっとしっかりしてください!」
そう、彼女は四年間の高等部生活において、ソロ部門を四連覇を成し遂げたいわば、化け物である。高等部も五年目になり最後となったが、今回は若き時代に託す形で引退ということにしていた。
「ナルちゃん最強だなんて、今はもう引退のみなのよ、"真紅の女王"なんて呼ばれたのは、昔のことよ。」
彼女は、魔術において、鬼才と呼ばれ、紅く腰まで伸びた髪、すんだ真紅の瞳を持つことからいつしかこの名で呼ばれるようになっていた。
「・・・です、ね。」
副会長、ナニアルはそう小さく言った。「少し言い過ぎました。すみません。」
「いいのよ、気にしない、でね。」
彼女は微笑みながら言った。
「今年は、あの二人が入ったのね〜。」
「はい、二人とも入りました。」
「今年は、賑わいそうね〜ナル。」
「全くです。会長」
〜 〜
学校へ行くことは誰しもが行う当たり前なことだ。しかし、彼女との場合は、、、
「早く〜遅いわよ〜。」
「明らかに浮遊魔法使ってる人に言われたくない!」
そう言いながら、アイラに追いつくために走って、走って、走って、走った。やっとの思いで追いつくと、彼女は、地に足をつけて歩いていた。
「待ちくたびれたわよ、おかげで歩く羽目になったじゃない。あなたも魔術を使えばいいのに。」
「あいにく、魔術は苦手なんたよ。」
「英雄の子孫が、魔術もできないなんて、ご先祖様に見せる顔ないわね〜。」
軽く皮肉を言われ感に触るが朝の疲れのせいか、怒る気力も消し飛んで行った。
なんや感やで通学に使う、駅に着く。そして改札を通ると、まだ電車は来ていない。
(いつもなら、もう来てもいいのに、10ミラルは立ったぞ?)
そう思いながらも、駅に咲くスカリス(桜)をぼんやり眺めていると、
「来たわよ〜、はやくしないと遅刻するわよ〜。」
ああ、いつもの声だ。
「ん〜今行く〜」
そうして今日も、そこはかとなく平穏な1日が始まったと感じた。
ファファファ'''「英雄の血筋か〜楽しみにしとるぞ〜」
ふと、微かな、艶かしい声と生温い視線を感じ振り返るも、そこに、人がいるわけもなく、ただいつものように穏やかな日差しが柔らかに駅の中を
包んでいた。
「早く乗りなさいよ!」
いつ聞いても飽きない声が駅員の笛と木霊し今日が始まる。
「ヘーイ」
さあ、今日から高校だ、良くも、悪くも、色々ありそうな気がしてきた。




