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呪刻印の転生冒険者 ~最強賢者、自由に生きる~  作者: すみもりさい
第一章:貴族に転生したけど自由に生きたい
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予期せぬ再会をした


 テイマー・ロールプレイは、そこそこ上手くできたんじゃないかと思う。

 これなら僕の実力を隠しながらでも、冒険者として活動できるかもしれない。


 となると今度はパートナーか。


 横に目を流すと、盗賊たちの残飯にありつくゴブリンたちがいた。

 彼らとは協力関係であって使役関係ではない。集団を引き連れて歩くのもよろしくはなかった。


「かと言って、これを使うのもなあ」


 手のひらサイズの角笛を持ち上げた。

 これなら呼び出した魔物を使役状態にできる。ところが、さっきは巨大ドラゴンが現れた。サイズもそうだけど、あまりに強すぎて僕が特別視されかねない。


「道中に手ごろな魔物が見つかればいいけど」


 時間はあるし、のんびりやるか。


 先送りという結論が出たところで、砦の中をちょっと探索してみよう。『魔召喚の角笛』はここにあったらしいから、また妙なアイテムをゴブリンたちが使って騒ぎになったら大変だからね。


 全方位監視なら隅々まで早く正確に探れるので便利だ。

 金品は少ない。食料はそこそこ蓄えてあったけど、いずれにせよ持ち去るのは躊躇われる。他人から奪ったものだろうし、もともとはゴブリンたちのものかもしれないし。


「ん? あそこって……」


 廊下の一部が崩れていた。その先は地下へ降りる階段になっている。

 見た感じ、崩れたのは最近らしい。盗賊たちが入った様子はなく、ゴブリンたちは生活の場の一部にしていたっぽい。


 ……何か、あるな。


 直接確認したくなったので、そこへ移動して瓦礫を吹き飛ばし、地下へ入った。


「ゴブリンたちの貯蔵庫か何かかな?」


 古砦の中からかき集めたのだろう。朽ちかけた軽鎧や錆びた剣、弦の切れた弓なんかが積み上がっている。


「あそこか……」


 ほんのりと魔力を感じる。僕はガラクタを掘り起こした。


 手にしたのは、一冊の真新しいノート。魔法の効果で劣化がほとんどない。

 ぺらぺらめくる。

 うん、やっぱり間違いない。


「これ、僕のじゃないか」


 とある国で魔法研究していたときにメモ用に使っていたノートで、ちょうど『抑止の呪印』に関する内容が記してあった。研究資料、ちゃんと処分してなかったのかー。そうかー。


 字、汚いな。僕しか読めないんじゃないか?


「でもなんでコレがこんなとこに……?」


 盗賊が奪ったものじゃない。彼らが来る前からここにあったと考えられる。


 広間に戻って尋ねてみたものの、ゴブリンたちも知らない様子だ。

 てことは、彼らがここに棲み始める前からあったのか。


「もしかして、このノートのせいで今の時代に『低級刻印』が……?」


 誰かがノートの内容から呪印の開発に成功し、呪いとして世界に浸透させた。あり得なくはない。けどここで考えても答えは出ないな。


 見られて恥ずかしいものじゃない。ただ悪用されないとも限らない。もうすでに悪用されたかもしれないけどね。とりあえず置いて立ち去るわけにもいかないので持っていこう。

 僕はノートをズボンのポケットに丸めてねじ込んだ。


「それじゃあ、彼らはお願いするね」


 もうここに用はないし、村を目指して進もう。捕らえた盗賊たちは、ゴブリンたちにアレスター領へ運んでもらうことになっている。


「ここへ誰か来たら、地下に隠れるといいよ。君たち以外はそこへの入り口がわからないようにしておくから」


 リーダーをはじめ、ゴブリンたちに見送られ、僕は広間を後にした。

 そうしてのんびりゆっくり、古砦の正面から出たところ。



「不可解ですね」



 艶やかで甘ったるい声に僕は足を止めた。


「盗賊が拠点としている古砦の中に人の気配は多数あり、それどころか魔物の匂いも致します。そんな中を少年が一人、悠然と歩いて出てくるとは。ええ、とても不可解ですね」


 地面に届きそうなほど長い銀髪。褐色の肌に長く尖った耳の女性の姿を見て、僕は思わずその名を呼びそうになった。


「何者ですか? ああ、返答は慎重に。わたくし、今とても警戒していますので」


 細いメガネの奥がギラリと光る。

 僕がかつて作った人造人間。そのうちの一人。側近中の側近であるレイラだった――。



 ところで、なぜメイド服を?




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