表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

格子状の氷河の上を

作者:
掲載日:2018/10/25


 Chet Baker Quartet ‎– No Problem (1980)


 を 聴きながら



 **



 『格子状の氷河の上を』


 格子状の氷河の上をぺんぎんの足で歩くの。皆でふよふよの身体を寄せ合ってむわむわに。なるわ。南極の宙に浮かぶ満月の月。逆さのそれは、春のそれなの。次々に冷たい海に滑り込もうとした幼少の頃、私は、遠い昔を思い出していたの。昔の私は、ぺんぎんでむわむわじゃなかったの。女の子だったわ。でも大した悩みなんて持ってなかった。せいぜい、今日の海は冷たいかしら。ってそれくらいなの。


 ――それくらいなら、ぺんぎん の今。むわむわしているのと変わりないわ。そう。変わりないの。


 さかさまの満月の光を見つめてむわむわのぺんぎんのお腹を寄せ合って。寒さを体温で紛らわすの。

 むわむわの今に、不満なんてないの。ほんとう。ただ、ほんのすこし、不思議な夢を見るのだわ。


 ――それは、奇妙なお願いごとなの。私は女の子になって、ずっと、いるはずもないどこかの神さまにお祈りしているのだわ。それは、遠くの星の向こうのもしかしたらさかさじゃない満月の丸いひかりのむこうにあるお祈りかもしれないの。


 むわむわのぺんぎんになった今もこうして時折思い出すの。

 そのお願いごとのなかみなんて思い出せないのに。

 むわむわのぺんぎんらしからぬ涙が出そうになるの。


 ――なぜかしら。よくわからない。むわむわのぺんぎんの今に不満なんてないのに。ほんとう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ