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第8話 親父と子供達とフェンリル

明日で第1章は終わらせます。第1章は序章で始まったばかりです。今後ともよろしくお願いします。

 

 ルシムは村まで最高速度で空を飛んでいた。遠くから煙が見えた。


 ガルド村に着いたとき全ての家は崩れ、壊れ、焼け落ちていて、まだ煙が上がっている。目を左に向ける。村長や村の人々が噛み食われたかのように体の一部を無くして死んでいた。


「う、嘘だろ??なんでだよ。出掛ける前は元気にみんな仕事してたじゃないか。」


 そして目を右に向ける。そこには俺の家があったはずの場所で、その目の前に数人が村人たちと同じように噛み食われた状態で横たわっていた。


 その顔はもちろん知っている。7歳の時にドッジボールをしてから仲良くなった子供達だ。今では大きくなり村の大人の手伝いも出来るようになっていた。


 そしてその子どもたちを守るようにして立ったまま体の半分を失った……親父ガリウスが居た。


「お、親父??なに突っ立ってんだよ。なぁ無視すんなよ。」


 わかっている。死んでいるんだろ??そんなことわかってるよ!!で、でも……まだ生きてるかもしれないという希望が捨てきれない。


 親父の後ろには子どもたちの他に丸まって倒れてる者が居た。近寄ってみると母さんだった。いつも明るく元気のある天然な母さんだったのだ。

 手には俺が小さい時に母さんにあげたネックレスを握っていた……。


「え??あ……あぁぁ……嘘だろ!!嘘だ嘘だ嘘だ!!ありえない!!あぁぁぁぁぁぁ」


 ルシムは泣きながら叫び、俺の頭は真っ白になった。だが。


「ル、ルシム??ルシム……なの??こっちへ来て」


 母さんが突然目を覚ましルシムに語りかけた。急いで駆けつけると回復魔法を全力でかけた。なんとか助かったが、視力の大半が失われほとんど見えないらしい、欠損扱いになるみたいでどれだけスーパーレアスキルがあろうとそれだけは治せなかった。もしレジェンドスキルさえあれば……。幸いエルフは耳がいいので少しの視力と、音でなんとかなるみたいだ。


「ありがとうルシム……。怪我はない??大丈夫??」


 母さんは自分の事より俺を心配してくれた。


「あぁ大丈夫……だよ。でも父さんが……父さんが!!」


 ルシムはまた涙が出てきた。いや、これまでもずっと止まらなかった。


「ええ、わかっているわ。お父さんと私は最後までみんなを守ったけど、敵が強すぎてね……子供たちが死んでしまって私たち2人だけになったの。そして敵が大規模な炎の魔法をつかってきて、もうダメかと思った。でもお父さんは自ら命を代償に私に障壁魔法を張ってそのままやられてしまったわ」


 命を代償にした障壁魔法でさえも全部は防げず母さんは熱で目がやられ大火傷を負ったみたいだ。それでも最後までプライドを捨てず立ったまま死んでいった親父を誇りに思おう。


「だからお父さんは立派だったと言ってあげなくちゃいけない……でもわかってるのよ……でも私を守るために……アナタ……死んだなんて……」


 母さんも精神的にボロボロらしく、いつも綺麗な顔は涙でぐちゃぐちゃだった。


「あらあら、まだ生き残りが居るではありませんか。ファルス??お仕置きに今日のご飯は減らします。」


「ガウゥゥ……。」


 声がして後ろを振り向くとそこには、ニヤニヤとしているエルフ族の緑の髪に赤目の男と、フェンリルというB+級魔物が居た。魔物の階級はF+からS+があり冒険者ギルドが定めている。ちなみにゴブリンはEランク、オークはE+ランクだ。


「お前はこの村の徴税(ちょうぜい)官のアルファ……。何故ここにお前がいる??もしかしてお前がこれを!!」


「もしかしなくてもわたくしがしたのですよ。わたくしは徴税官でもありますが、それ以前に魔法使い系統の2次職、調教師でもあります。このフェンリルは従魔のファルス。可愛いでしょ??」


「お前かぁーーーー!!!!」


 ルシムは激怒し、刀を抜き男に飛びかかった。だが目の前にフェンリルが現れ、刀を己が爪で弾き返した。


「このやろ……お前ら諸共消してやる!!」


 ルシムは冷静になれず、またも突撃したのち今度はフェンリルの爪が脇腹を擦り血が噴き出した。


「くっ……くそ!!」


「くふふふふ、いいですねぇその様。ファルスはもうすぐAランクのキングフェンリルに進化寸前のレベル4ですよ??勝てっこありませんよ。」


 魔物にもレベルがある。そしてもし進化先があればレベル4で進化して、進化後はランクが上がりレベルも5になる。フェンリルの場合はキングフェンリルまでなので、進化後はレベルを上げても進化はしない。


 この個体はレベル4だ。俺はすっかり忘れていた。どんなに優れていようとレベル差は圧倒的な壁だということを。俺はまだレベル1だから勝てっこないんだ。


「ルシム逃げなさい。ここは母さんが時間を稼ぐわ。だから今のうちに!!」


 そういうと母さんは魔法で水の槍を3本放った。だがしかしフェンリルは圧倒的な速度で避け、お返しにと炎のブレスを母さんに向けて放った。


「!?《マジックシールド》!!」


 咄嗟(とっさ)に障壁魔法を張り守ったがかなりの威力で障壁はギリギリのところで壊れた。


「母さん何言ってるんだ!!俺は逃げない!!だから命を捨てるようなことはしないでくれ!!俺は死なない!!」


 前世で一回死んでるんだ。また死んでたまるか。村の人々はみんな死んだ……親父も死んだ……何のためにこれまで努力して鍛えてきたんだ。などと後悔してる暇はない……まだ母さんが生きているなら今度こそ守らないと。


 フェンリルは大きく息を吸い込むと先ほどの炎よりも強いブレスを放ってきた。それと同時に魔法で全身を炎に包み突っ込んできた。


「【エンシェントシールド】、【グラビティ】、【オールアップ】」


 ルシムは咄嗟(とっさ)に現在使える最高の障壁魔法と、フェンリルに全力で重力をかけ動きを鈍らせ、自分に全ての身体強化を行った。だがブレスはなんとか防げたが、レベル3との差はかなり高いらしく完全には(にぶ)らせることが出来ずにフェンリルの突撃をモロに受けてしまいルシムは吹き飛んだ。


「ル、ルシム!!」


 身体強化魔法と、母さんが全力で風魔法でクッションを作ってくれたのでなんとか生きてはいるがかなりの重症を負った。


「くふふふふ、ほんとあなたたちは馬鹿ですよね。黙って王命に従って税としていつもより多めに食料を寄越せばいいものを。辺境の田舎村の者程度が命令に(そむ)くからこうなるのですよ。ではファルスそろそろ終わらせなさい。」


「そんなことのために皆を殺したのか!!」


 ルシムの叫びと同時にフェンリルが全力ブレスを放った。


 ルシムは当たりそうになるその寸前炎のブレスがスローモーションになり、走馬灯のようなものを見た。


もっと見てもらえる人が増えるように頑張りますね(^-^)評価ポイントが少し貰えてました!!少しとはいえ嬉しいです(o^^o)感想、評価のほどよろしくお願いします。

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