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4. 夕陽
少女は、ただ呆然と座り込んでいた。
凍える足先もそのままに、目の前の景色を眺めていた。
どこを歩いても、何の手がかりもない。何の道筋もない。
それは、言ってみれば当然のこと。しかし少女には、絶望として映っていた。
沈み行く夕陽が、空を薄く覆う雲を金色に照らしている。
どこかで見たような気がして、でも、思い出せなくて。
夕陽とは逆を向いた家々が、真黒な顔で、無気力にこちらを見ている。
目を合わせたくなくて、流れる雲に目をやった。
あなたは誰?
どこへ向かうの?
なんのためにここにいるの――?
呪いのように纏わりつくその声は、もはや自分から発せられているのか何なのか、判別もつかない。