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記憶



BLっぽいです。てかもうBL。あとひらがなばっかで読みにくいかも。






僕が“しま”にきて一ヶ月がたった。“しま”ですごすのは楽しい。先生と、レオンっていうともだちもできた。先生はもともと“しま”に住んでた人で、いっぱいいろんなことを知ってるから先生ってよんでる。さいしょは名前でよぼうと思ったけど、先生は名前をわすれちゃったんだって。レオンは先生のことをししょうってよんでる。レオンに、ししょうってどういういみかってきいたら、先生と同じいみだって言ってた。




僕とレオンは、先生にべんきょうを教えてもらってる。僕は神さまからもらった“かご”と“しんりょく”の使いかたを教えてもらった。先生は、そうきゅうにせいぎょできるようにならなければ、げかいにもどったときにたいへんなことになる、って言ってた。レオンにいみをきいてみたら、誰かをうっかりきずつけないようにれんしゅうすることだ、って言ってた。

レオンは、僕とちがって強くなるほうほうを教えてもらってる。“まほう”とか“ぶじゅつ”とかで先生とたたかってて、すごくかっこいい。レオンにそう言うと、先生に負けっぱなしだからまだまだだ、って言ってた。僕は目に見えないくらいはやい先生のうごきについていけるだけですごいと思うけど。レオンにそう言うと、ちょっと笑って、ありがとなってあたまをなでてくれた。




先生はべんきょうではすごくきびしいけど、ねるまえの少しの時間はちょっとやさしい。先生はそのときに、いろんなお話をしてくれる。せかいそうぞうのしんわ、とか、ひとびどのきおくからけされたかみ、とか、いみはよくわかんないけどとってもおもしろい。レオンは先生のお話をきいてるとき、耳をふさいだり、わざと大声を出したり、おれは何もきいてない、ってずっと言ってたり、おもしろいことをする。でも、先生のお話はちゃんときいたほうがいいと思うよ?

今日は神さまのお話だった。


「神々は酷く身勝手だ。君に刻まれたその加護しるしは、君を惑わすことになるだろう。とても大変なことだとは思うが、力に溺れず、神に踊らされないように、しっかりと己の目で真実を見なさい。アレン、。」


話のいみはよくわかんなかったけど、この言葉はちゃんと覚えておこうって思った。

レオンは話のいみがぜんぶわかったみたいで、どうしておれたちにせかいのきみつじょうほうをきかせるんだ、って先生に言ってた。先生は、わしのでしをなのるならばこれくらいはしっておけ、って言ってた。レオンは、ししょうはおれたちをどうしたいんだ、って言ってちょっと泣いてたから、いつもレオンに僕がしてもらってるみたいにあたまをなでてみた。ともだちは、おまえだけがいやしだ、って言って、僕をぎゅってしてあたまをなでてくれた。

よくわかんないけど、ともだちにあたまをなでられるのは好きだ。ぎゅってされるのも。




レオンはまぞくだった。レオンは僕をだましてた!ゆるさない!

まぞくはせかいのがいあくだ。神の名のもとにしゅくせいしなければ。まえにいた“きょうかい”の人も言ってた。ゆうしゃはまぞくをせかいからまっしょうするために生まれてくるんだ、って。はやく、はやくまぞくにてんばつをあたえないと。


レオンは……まぞくはうらにわのそうじをしてた。僕を見ると、笑って手を伸ばしてきた。いつもなら僕をなでるためだと思ってたけど、もうだまされないぞ!まぞくめ!僕はまぞくがいつもべんきょうで使ってるけんできりかかった。

まぞくは僕をこうげきしてこなかった。なんでだろう?このまぞくは僕より強いから、僕をころすのなんてかんたんなはずなのに。僕はまぞくがこうげきしてくるように、まぞくをいっぱいばかにした。こうすると、まぞくのしやがせまくなってこうげきがたんちょうになる、ってきいたことがある。でも、まぞくはだまってきいてるだけだった。

それならまぞくのかぞくをばかにした。これがいちばんこうかてきなんだって。ちくしょうども、とか、かとうしゅぞく、とか、よくわかんないけど、きょうかいの人たちをまねしてみた。僕がしぬかもしれないけど、それが神のおかんがえならば僕は何も言うことはない。


思ったとおり、まぞくはおこった。


「お前たち人族が俺の家族を殺したくせに!俺の家族は、魔族は!」



…………うそだ!うそだうそだうそだ!まぞくはあくだ!だって神さまがそう言って、僕はまぞくをまっしょうするために生まれてきて、村のみんなだってまぞくにころされんた!


まぞくがはじめてこうげきしてきた。先生とたたかってるときとちがって、まぞくのこうげきはめちゃくちゃだった。僕にぜんぜん当たらなかった。どうしてかな、って思ってまぞくを見ると、まぞくは泣いていた。

なんだ、まぞくをしゅくせいするのはかんたんだ、って思ったのに、目のまえがゆれて僕のこうげきもぜんぜん当たらない。僕の目から水がおちた。僕は泣いてるのかな、って思ったけど、そんなことはありえない。まぞくをたおすのはゆうしゃのほまれで、しあわせなことなんだから。


でも、もしかしたら、ほんとうにもしかしたらだけど、まぞくがあくじゃなかったら?神さまがまちがうわけないってわかってるけど、もしも……


考えごとをしてたのがいけなかったんだと思う。ほんとうならよけられたこうげきが当たった。ふきとばされながら見えたまぞくは、すごくびっくりしたかおをしてて、苦しそうだった。どうしてまぞくがそんなかおしてるんだろう?へんなの。




目がさめたら、いつも使ってるベットの上だった。朝ごはんができてて、先生も、あのまぞくもいて、まるで何もなかったみたいで、なんだか泣きそうになった。ほんとうはまぞくをしゅくせいしないといけないのに、僕はゆうしゃしっかくだ。

いつもと同じようにみんなで朝ごはんを食べた。先生はただ、遊ぶのはいいが後かたづけはちゃんとしておけ、って言うだけで、ほんとうにちょっとけんかしただけみたいな言いかただったから、ちょっと笑っちゃった。でもたぶん、うまく笑えなかったと思う。まぞくはずっとだまってた。


食べ終わってから、僕とまぞくは先生にきいた。どうしてまぞくは“あく”なんですか、どうしてひとぞくは“ぜん”なんですかって。先生は僕の言葉に、笑って言った。


「ははは、おかしなことを言うな、アレン、。善悪に種族は関係ない。そもそも善や悪など曖昧なものだ。誰かにとっての善が、別の誰かにとっての悪であることもある。善悪に固執するのは神くらいのものだよ。なぜなら善と悪の象徴である勇者と魔王は神々のなのだから。」


うそだ!そんなはずない!まぞくはあくで、僕は村のみんなのかたきをとるためにがんばってきたんだから!

先生は言った。その村のなまえは?村はどこにある?村のみんなって、だれ?


…………わからない。


先生は、僕は神さまに“せんのう”されてたんだって言った。せんのうっていうのは、むりやりぜんぜんちがうことをかんがえさせることで、嫌いな人のことを好きにしたり、好きな人のことを嫌いにしたりするんだって。




僕は“しま”のいちばんはしっこに行って、したをながれるくもを見てた。そこで、僕は何のために生きてたんだろう、とか、これから神さまのおもちゃになって生きるのかな、とか考えてた。そしたら、まぞくが……レオンがきた。きっとレオンに嫌われてるんだろうな。たくさんひどいこと言ったし、ころそうとしたから。そう思っていたら、レオンが僕の手をつかんで、となりにすわった。手をつかまれて“しま”からとびおりれなくなったから、僕も空へ出した足をもどして、レオンのとなりにすわった。

ずっとふたりでくもを見てた。ゆうがたになって、くらくなって、ほしが見えてもふたりですわってた。僕はほとんどぼうっとして、ちょっと泣いて、つかれてねた。レオンはずっと手をつないでくれてて、泣いたらぎゅってしてくれて、ねるまであたまをなでてくれた。




あれから数日たった。まえと同じように、ごはんを食べて、先生とべんきょうして、先生のおうちやにわのそうじをして、ねるまえにお話をきく。いつもの毎日だけど、僕はこれがずっと続かないってわかってた。先生も、ちかいうちにおいだすって言ってた。レオンもそのことをわかってるみたいだ。


ある日、レオンが言った。


「アレン、俺はでお前はだけど、俺はお前のことが。」


すごくうれしかった。


「僕も!僕ものことが!」


僕はきめた。これから何があってもレオンをころさないって。大きくなったら神さまのおもちゃじゃない、りっぱな勇者になって、まぞくはわるいやつじゃないってみんなに教えるんだ。そしてレオンのところに行って、すごいゆうしゃになったんだってじまんするんだ。レオンはきっと、ちょっと笑ってあたまをなでて、よくがんばったなって言ってくれる。



だから、ぜったいに、ぜったいにレオンだけはころさない。






このときだいたいアレンくん八歳、レオンくん十歳くらいだと思ってください。十歳にしてイケメンすぎるレオンくんに書きながら戦慄した。



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