No.3 地雷:くしゃみ砲撃型
趣味で書いてます。その辺ご了承ください。
No.3 地雷:くしゃみ砲撃型
右腕包帯ぐるぐる巻きのクラスメイトが瓦礫の下から先生と一緒に出てきた。
みんなが先生と彼を待っていたはずなのに、先生はそれこそまだ、先生の威厳が残っているとでも思い、こう言った。
「皆いるかー」
新品であろうシャツが真っ黒になり、しわがめちゃくちゃつき、最悪な状態になった先生が点呼を取る。合ってる?
体育館が崩れて、救急隊がやってきて現在行方不明者捜索中です。幸いにも教員全員がいた。この場合、校長先生も教員に入れて、張本人も助かっている。
行方不明者は全校生徒のおよそ3割。救急隊の捜索が届かない位置にいる生徒はどうすることもできない。
先生が大声で叫ぶ。
「あれ? 山下はどうした?」
「先生、まだ自己紹介してないんで山下と言われてもピンと来ません」
同じクラスの生徒がそう言うと、先生はありきたりな困った表情でこう言った。その声には少し余裕が感じられたが。
「そうかぁ・・・非常に心配だな」
「・・・ぇー」
「ん?」
クラス全員が聞き取れるほどのかすれた何か。声でありそうな気がするが。皆聞いたことの無い声で、辺りを見回し、気のせいだという奴もいれば、行方不明者だと騒ぎ立てる奴もいた。先生は皆に静かにと注意するが、先生本人が慌てている。
先生本人が慌てている中、もう一度何かが聞こえた。
「・・・けてぇー」
今度はさっきより大きな声。ありきたりな展開だが、瓦礫か何かに埋もれた中から聞こえる「助けて」という悲鳴だ。この展開がそのまま続けば・・・次にはもっと大きな声が。そう考えた俺は甘かった。
「おーい、大丈夫かー!?」
先生が見えない何かに対して声をかけた。辺りを見回すクラスメイト全員。そして、次の瞬間、信じられないことへのカウントダウンがその本人が放つ言葉で分かった。
「助けてぇー・・・あ、あ、むずむずする・・・はっはっ・・・へっくドン!!!!」
爆風。
まるで、そこに地雷があったかのようにその場所に砂煙と共に、爆風が舞い上がる。瓦礫は全て吹き飛び、そこに大きな穴が空いた。そして、その先には――。
「大丈夫か? 山下」
「だいじょーぶでず。ズビー・・・」
鼻水を垂らし、真っ黒な顔した女子生徒が背中にパイプ椅子を乗せて、倒れていた。