No.10 大決戦!! 部活動存続を駆けた校内宝探し パート1
少しシリーズ化します。一応趣味で書いてますよ?
「何か面白い部活が無いか?」
とある昼休み。ウサ男がまるで独り言のようにそう言った。
「あるわ」
「ウサ美、教えてくれ」
「部部」
「は?」
「部活動を管理する部活動」
信じられねぇよ、とウサ男はウサ美に言う。
「生活記録部」
「はっ?」
マスク女である山下がいきなり会話に参加してきた。鼻声ではあるが、濁声にはなることなく聞こえるとおりの言葉だった。マスクが毎日毎日新しいのは使い捨てなのかと思ったが、それよりも・・・。
「何打それは?」
「ゴルフじゃない・・・」
「いや、悪かった。どういう部活なんだ?」
「生活を記録する」
「・・・」
呆れたウサ男が山下の顔を見つめる。山下は案外まじめに言ったつもりだったのだ。中乃川はそんな様子を見て、会話に参加してきたいつものメンバーがそろった。そして、信じられない言葉を発する。
「部活動に入ると、定期的に全校で大会が開かれて、そこに出場して部費が決まるらしいぞ」
「・・・自治性高すぎるだろ」
「さらに、ランクがそこで決まるらしい。春、夏とあって予選がある」
「甲子園か、それは」
放課後。
教室ではHRが終わり、皆忙しくさっさと家へと帰りたいと愚痴をこぼす人もいたし、どっか寄って行こうぜという人もいた。教室から生徒の姿が消えようとしていたときに、いきなり使われていないはずの放送が鳴り響いた。
「はっはぁー!! ただいまから部活動存続争奪戦の始まりだぁー!! 新規参入の部活動もOK!! 古参人の方々も勢ぞろいでお迎えするぜ!!」
「・・・本当だったのか」
「本当ですよ」
「し、静かにっ」
山下が軽く会話をしていた俺と中乃川を静かにさせる。放送はまだまだ続く。
「はっはぁー!! 制限時間は夜10時! それまでに校内に仕掛けられた謎を解き明かして、宝玉を持ってきてくれよぉ!? 宝玉の価値で存続と部費が決まっちまうからなぁー!! あ、ちなみに体育館は出入り禁止です」
「・・・どうするよ」
「僕は生活記録部に入る」
「・・・マジで?」
俺は中乃川の精神がまだこの世のものであるかを尋ねた。尋ねてみると、なんとなく面白そうだから入りたいという理由をくれた。山下もいっしょに行くらしい。こいつに至っては「そういえば、ズビー。一年生って強制的に入らないといけないんでずよ」という知らなかった義務まで教えてくれた。
だから、めんどくさくないところに入りたいらしい。そうか・・・。
ふと、気づくと廊下が騒がしい。悲鳴と共に何か地鳴りが聞こえる。すると――。
「君かぃ!? 生活記録部に入りたいといった子は」
「ふへ?」
中乃川は新鮮なまでのリアクションを返した。
果たして、中乃川は生活記録部に入るのか。というよりこの人誰だ?
続きは次回!!