表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

94/113

85 戦いへの覚悟

まーた土曜出勤です…しんどー…( ´_ゝ`)

「…んで…このモンスターが助っ人…なわけね…」


「すまない…説明するべきだった…」


「ホントなのね!ティーも…心臓が潰れそうになったのね!」


 ふぅ…マジで死ぬかと思った…。どーやら…このドラゴンはレイヴォルトの助っ人…らしい…。


 三人まとめてバックり食べられた…と思ったら飲み込まれることもなく、今は舌の上でこーして安全を確保している。


 どーもこのままドラゴンに地上まで送ってもらうとのことだ…。それはそれは便利な移動手段…なんだが…。


「うーむ…妙に緊張する…。ホントに間違って飲み込まれねぇよな?」


「それはない。彼は非常に頭もいいし…私のことを信頼してるからね…」


「…彼ってことは…オスか?」


「あぁ…。『ヴィトゥムス』…という名前でね…。私が剣聖として活動した頃からの友人だ」


 ほほぅ…それはスゴい…。ドラゴンと友達とか中二心をくすぐるじゃん…。


 ん?そういや俺にも『キューちゃん』がいたか…。


 まぁ…それはそれとして…


「目的地はどーなんの?できれば魔王城の近くだとありがてぇんだけど…」


「そうだな…ここからだと少し遠いかもしれないが、魔王城近くの岩礁帯まで行こう。そこまでいけば安全だ」


「ふーむ…それでいくか…」


 『ヴィトゥムス』の姿を他の奴等に見られるわけにはいかない…。海の中を移動して…岩礁帯とやらから歩いていくのがベストだな…。


 空を飛んだりしたら攻撃を受ける可能性もあるし…。


 そんなふうに俺が思っていると…ティナが思い付いたように口を開く。


「…その辺りだと…フィールの治める国…『リヴリィア帝国』も近いのね!」


「…?そーなのか?なんか初耳なんだが…」


「ティーも行ったことはないけど…地図上ではそうなのね!」


 ほーん…。フィールの国…ヴァンパイアの国家…。


 クリスとは協力関係にあるから、問題が発生したときはそっちにも寄れるか…。


 フィールも…俺たちがグリンシュテン王国で大変な目に遭ってることは知ってるはず…。


 事の経緯を伝えれば保護してくれるよな…。クリスに一刻も早く会いたいのも本心だけど…。


 …あー…レイヴォルトのことを説明するのはしんどいかもしんねぇ…。


 …まぁ…先のことは後で考えるか…ん…待てよ…。


「…そうか…そういや…『あの事』が…」


「どうしたんだ?何か気になることが?」


 俺の独り言に…レイヴォルトは少し困惑の表情を浮かべる…。俺の真意に気がついてねぇみたいだが…これは伝えた方がいいな!


「あー…レイヴォルト!目的地は魔王城のつもりだったんだが…変更!リヴリィア帝国にするわ!」


「…?なぜだ?魔王城にはユキの仲間がいるはずだろう?」


「まぁな…。ただ…リヴリィア帝国の方にも目的があるんだよ。…レイヴォルトに関係あるわけなんだが…」


「…!…『彼女』が?」


 おぉ…察しの早いやつ…。こいつとの約束…離れ離れになった女の子との再会…。先に達成した方がいいだろな…。


 多分…俺の予想がドンピシャなら間違いない…。


 なんで『彼女』が『そうなった』のかはわかんねぇ…。多分…『やむを得ない』事情があったんだとは思うんだが…。


 んまぁ…そこら辺は『あいつ』に聞いてみた方がいいかもな…。いつも一緒にいるし…。


 …っと…とりま…こーいうのは現地で考えとくか…。


 俺はレイヴォルトに…ネタバレにならない範囲で答えることに…。


「…まっ…そんなとこだ。…まず間違いなく写真の女の子…そこは信用してくれ!」


「…そうか…とりあえずは信じるよ」


「おぅ…!」


 そうこうしていると…



 グゥゥゥゥゥゥゥ…ン…



「おぉぉ!?なんか…体が変な感じ…!」


 突然の違和感…。エレベーターに乗っていたような急激な感覚が体にまとわりつく…。


 吐き気とかはねぇんだが…それでもなんか変な気分…。


 これは…つまり…


「…陸に近づいている?」


「そうだな…おそらく目的の場所が近いのだろう…。海底よりもさらに上昇…。あと数分で到着…というところか…」


「おぉ…もうそこまで…」 


 そうか…ついに安全なとこまで…。これで追手も来られないだろう…。ひとまずはホッとするな…。



 …ポコン!



「あいたっ!…ティナ!何しやがる!」


「ふぅ…まったく…危機感の薄い男なのね!」


 突如…頭にホンの少しの痛みが走った…。どーもティナのやつが魔法で小石ほどの光弾をぶつけたらしい…。


 このやろー…。


「危機感が薄いってなんだよ!いーじゃねぇか!無事に脱出できたし…」


「脱出しても…敵はたくさんいるのね!人間だけじゃない…『ハルア教』の驚異も考えるのね!」


「…!!…それもそーだな…」


 確かに…。もとはといえば『欲望』…パルバリーナのおかげでヒデェ目に合ったんだ…。


 俺たちの動向も把握してるはず…。必ず…また襲いかかってくる可能性も…。


 よし…なんとしても…今度は間抜けな失態はしねぇ!皆を…クリスを守るために戦ってやる!


 そう意思を固めると…


「…!皆!どうやら地上に出るらしい!すぐに準備を!」


 レイヴォルトの合図…ついに…海から出るときがきたようだ…。


「おうよ!」

「わかったのね!」


 俺とティナの声と同時に…より一層の浮遊感が体に伝わる…。


 

 バッシャァァァァァ…ン…!!



 派手な水しぶきが外から聞こえた瞬間…俺は覚悟した…。


 これから…さらに大きな戦いに立ち向かう時が来るのだと…!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ