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57 VS剣聖レイヴォルト②

 …と思っていたら…


「…確かに面白いが…所詮はその程度か…」


「はっ…はぇっ!?」


「お前のスキル…使い勝手はいいが、連続して使うには条件があるはず…。そして…使うタイミングによっては発動しない恐れがある…。見えない攻撃…そういったものには対処できないのではないのか?」


「むっ…むぅぅぅ!!」


 レイヴォルトからの指摘を受けて…俺はついむちゃくちゃに唸っちまった…。まっ…まぁ…そりゃそうだが…。


「だっ…だからなんだよ!こっちにはキューちゃんも…」


「私が言いたいのは…少年の力ではこの現状を打破できるとは思えない…ということだ。いや…君の存在はただドラゴンの足を引っ張るだけ…自覚しているだろう?」


 こっ…このやろう…!俺のことを馬鹿にしやがって…!こっちにはもっとすんごいスキルが…



 モコモコ…



 ん?なんか目の前の地面が突然盛り上がったような…って…!



 グッ…ボッカァァァァァ…ン!!



「ふっ…ふぉぉぉぉ!?なっ…なんで爆発したんだぁ!?」


 突然の出来事…。俺が少し油断した隙に地面がスゴい勢いでぶっ飛んだ…。幸いにもキューちゃんが身を盾にして助けてくれたが…


「キュッ…!!…!」


 飛び散った石やらがキューちゃんの翼に突き刺さっていく…。大ケガ…というわけではないが、相当なダメージを負ったようにも見える…。まさか…これもレイヴォルトの力か!?


「どうだ?自らの無力感…それがよくわかっただろう…。今すぐにでも…」


「…うっせぇ!こんなとこで諦めてたまるかってんだ!キューちゃん!大丈夫か!?」


「…キュッ!」


 俺の言葉に反応するキューちゃん…。まだ元気な様子にホッ…とはするが、それも一瞬…。なんとしてもこの危機的状況をどうにかしなきゃ…俺たちには未来はねぇ!


 一番手っ取り早いのはキューちゃんに乗って脱出…なんだが、こう木がたくさんあるとこじゃ空に飛び立つまでに時間がかかる…。その間にレイヴォルトのやつから攻撃を受けて、墜落するだろう…。


 なんとか…時間を稼ぐ方法があれば…。せめて…クリスを安全なところに…。


「…考え事か?そんな暇はないぞ?」



 シュッ…ズバッ!



「くそっ…!キューちゃん!」


「キュッ!…ボァァァァァ…!!」


 レイヴォルトの容赦のない斬撃…そしてそれに対抗するようにキューちゃんの口から豪炎が…。両者の勢いはその周りを一斉に燃え上がらせ…破壊していく…。


 その時…



 パキッ…バキバキィィィ…!



 一際デカイ大樹が…炎に耐えられずに倒壊…。太い幹は一瞬にしてブチ折れ…そして…


「なっ!やっべぇ…!俺達のとこに…!」


 くそっ!なんでこっちに倒れてくんだ…!俺はクリスを抱えてるし…キューちゃんは炎をはきだしてる…!このままじゃ…!













 …ガシッ…グッ…!!



「うぉっ!?…くっ…!この…!クソおめぇな!!」


「なっ…ウザイン!!」


「…っ…たく…お前ら無茶しすぎだろ!…おらっ!」



 ドスゥゥゥ…ン…!



 あっ…ぶねぇ…!ウザインのやつが大木を受け止めてくれたお陰で…潰されずにすんだ…。ウザインは自慢の怪力でそのまま木を地面に落とすと、辺り一面に轟音が響き渡る…。


…ていうか…いつの間に追い付いたんだよ!!突然過ぎてビックリだわ!


「おまっ…!なんてタイミングで…!助かったけどよ!」


「…いや…とんでもねぇ炎見てたらこっちだろうなって思ってよ…」


「…あの女は…」


「アイツは追ってこねぇ…はずだ…。安心しろ…」


「そっ…そうか…」


 確かウザインとあの女…パルバリーナには深い因縁がありそうな気はしたが…いや…今はあの聖騎士野郎をどうにかしねぇと…!!


 ウザインも合流したし…あとはここからの脱出だけだ!なんとか…チャンスがあれば…!


 キューちゃんの炎の勢いは止むことなく吹き出している…。レイヴォルトの姿が見えねぇが、たぶんまだ斬撃を繰り出してんだろう…。


 力はほぼ五分五分…。この間に逃げる算段を考えねぇとな…!


「…ウザイン!なんか…ないか!?逃げれるような…なんか…!」


「…すまねぇが…俺にはなにも…。あんな化けもんみてぇなやつ…どっから沸いたんだよ…!」


「なんか…剣聖…ってやつらしい!レイヴォルト…とか言ってたな…」


「…マジかよ…。それはヤバいな…」


 ウザインの冷や汗…。それを見るに、現在の状況がよっぽど危険なことがわかってきた…。こんなとこでオタオタしてるわけにもイかねぇ…。キューちゃんだってドコまでもつか…。


「ゴォォォォ…グッ…キッ…クゥゥゥ…!!…キュッ…!」


 …うっ…!まさか…このタイミングで…!キューちゃんにも体力の限界がやってきたようだ…。炎を吐き出す勢いが収まり…息も絶え絶え…。対するレイヴォルトは…



 ザッザッザッザッ…



「…なるほど…。ここがドラゴンの限界か…。なかなかいい勝負だったよ…」


 豪炎渦巻く木々の向こうから…汗一つなく歩いてくる姿が…。表情は落ち着いて、まるで今まで手を抜いていたんじゃないか…というくらい余裕がありそうだ…。


「くっ…!マジかよ…!」


「さぁ…こっちに来い…。お前たちに選択肢はない…」


 一歩…二歩…。だんだんと俺たちに向かってくる脅威…。クリスもキューちゃんも限界の今…俺とウザインでどうにかするしかない…が…。


「ウザイン!動けるか!?」


「…それがよ…ここに来るまでに人間のやつにいくらか攻撃を受けて…。実を言うとキツいかもしんねぇ…」


 よく見るとウザインの脇腹辺りに、ほんの少しだがドロリとした血液が…。こんな状態で大木を受け止めたのかよ…。無理しやがって…!


 こうなると…俺がどうにかするしかない…のか…。でも…スキルしか能のない俺だと…どうにも…。


 …いや…!待て!


 ないこともない…!少し無茶だが…クリスやキューちゃん…ウザインを助けるぐらいならできる!


 なら…それに賭けるしかねぇ!


「キューちゃん…あとウザイン…。時間がねぇから俺の言葉を聞いてくれ!」


「キュッ!?」


「…!」


 俺は二つの反応を確認したあと…できるだけ早口で説明することにした…。


「今から…俺がアイツに特攻して時間を稼ぐ!その間に…ウザインはクリスを抱えて、キューちゃんと一緒に飛び立ってくれ!」


「キュッ!?…キュキュッ!!」


「おまっ!なにいってんだ!?そんなこと…捕まえられて殺されるだろうが!!」


 俺の言葉に当然の反応を示すキューちゃんとウザイン…。受け入れられるわけがない…そんな思いが伝わってくる…。だが…


「安心しろ!絶対に俺は殺されねえって!ちゃんと考えもあるしよ!…ってわけで…」



 ポサッ…



「クリス頼むわ!ウザイン!」


「なっ…!待て!勝手に…」


 俺は一瞬の隙をついてクリスをウザインに託すと、間髪いれずに目の前の怪物…レイヴォルトへと走り出した…。


「なめんじゃねぇぞぉぉぉ!!男マサユキ!ただじゃあ負けねぇからなぁぁぁぁ!!」



 ダッダッダッダッダッ…!



「…!」


 さすがのレイヴォルトも一瞬驚いたのか、その場で立ち止まるが…俺はそのまま突撃していく…。



 ダッダッダッダッダッ…ドッスゥゥゥ…ン!



 体に衝撃が伝わったあと…目の前が真っ暗になり…そして…






 俺は暗闇の世界へと落ちていった…。

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