15 ヴァンパイアのみんなと…⑤
さて…二人の邪魔をするわけにはいかねぇな…俺はこのまま退散するとして…
「ユキ様…」
「おん?」
…ん?
なにやらヴォルンのやつ…俺の側まで来たぞ?
どうしたんだ?
「…その…クリス様と結婚して…今も二人で暮らしているとお聞きしましたが…」
「おっ…おぅ…まぁ…そうだけど…」
なかなかにイケメンなヴァンパイア…ヴォルン…。
確か年齢は俺より上だったよな…。
二十歳くらい?
背もそれなりに高く、フィールとは違った威厳ある雰囲気…。
なんか…緊張するな…。
「その…新婚生活で気を付けるべき点等があれば…教えていただきたいのですが…」
むむ?
なんだ?
なんでそんなこと…突然…。
…まぁ…教えるけどね!
「…気を付ける…ねぇ…。俺はいつもあいつといるときは『正直でいる』…ってのに気を使ってるけど…」
「『正直でいる』…ですか?」
「そうそう…とにかく嫌なことも楽しいこともさらけ出す…みてぇな?そりゃ…喧嘩するときもあるけど…まずは本音を出すのが一番だと思うんだよ…。じゃなきゃ…お互いに信じ合うこともできねぇだろ?」
『正直でいる』…か…。
自分で言っててあれだけど…難しいよな…。
気にしてるとはいえ…俺だってまだまだだし…。
でも…結婚生活ってそういうとこが大切な気がするわ…。
「なるほど…」
ヴォルンは真面目な顔をして頷いている…。
俺をからかうわけでもなく…目は真剣だ…。
そういや…竜車の中でも結婚の話をしてきたよな…。
もしかして…
「…ヴォルンって…結婚すんの?」
「うっ!…その…はい…」
おぉ…ヴォルンのやつ…めっちゃ恥ずかしがってる…。
顔を真っ赤にして…面白いやつだ…。
でも…そうかぁ…。
そりゃ…こんだけカッコいいもんな…結婚すんのも納得…。
「へぇ~…。結婚式もすんの?」
「…はい…数日後に挙式をあげる予定です…。大規模なものになると…」
「ほへぇ~…。マジかよ…頑張れよ!」
「はい…!ありがとうございます…!」
俺のエールを受けて顔を輝かせるヴォルン…。
せっかくだ…聞いてみよう…。
「相手はヴァンパイア?俺の知ってるやつ?」
「その…お相手なのですが…」
「…フィール様です…」
…ほえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?