14 ヴァンパイアのみんなと…④
フィールは顔をうつむかせて落ち込むと、拳をギュッ…と握りしめた…。
それほど今までの行いに後悔しているのか…。
どう言葉をかけりゃいいのか…。
そうしていると…
スッ…
横にいるアリスが両手でフィールの拳を覆い、穏やかな声で語りかけた…。
「フィール様…自らを無理に責めないでください…」
「…アリス…」
「フィール様が過去の行いに苦しむなら…私達も共有します…。今のフィール様は一人ではありません…。だから…苦しいなら私達に思いを吐き出してください…」
「う…む…」
フィールは複雑な表情を浮かべてはいるが、どこか安堵したような…そんな気持ちが伝わってくる…。
アリスの優しく…美しい瞳はフィールを見つめ、あらゆる苦しみから救う…なにかがあるみてぇだ…。
「それに…今の私がいるのはヴァンパイアであるフィール様のおかげです…。私は…貴女のおかげで生まれ変わり…今も生きることができたのです…。だから…前を向いてください…」
「アリス…」
アリスの言葉で楽になったのだろうか…。
拳を握りしめる力も緩くなった…。
そうだよな…。
今のフィールには皆がいる…。
皆で苦しみを分かち合えば…罪悪感に押し潰されることもねぇ…。
俺が心配するほどのことでも無さそうだわ…。
よかったぜ…。
ただ…さっきのアリスの言葉…。
何か不自然な感じがすんな…。
言っている言葉に嘘はねぇ…。
本当の気持ちを言っているのはわかる…。
でも…なんだ?この不自然な感じ…。
なにか…二人の間に重要な秘密があるような…。
…まぁ…いいか!