12 ヴァンパイアのみんなと…②
「…そんなことよりも…これまでの進捗はどうなっているのだ?人間との共存を考えているようだが…」
おぉ…そういやそうだった…。
フィールとの和解後…クリスは自らの野望を魔王軍の限られた面々に伝えたらしい…。
『魔族と人間との共存』…。
本当なら長い時間をかけてみんなを納得させる必要があったんだが…。
人間嫌いのフィールや他の魔物達が俺を認めてくれたこともあり、少し早いが公表することになった。
特に大きな混乱もなく…多くの魔物は納得してくれたとか…。
…ちなみに民衆のやつらにはこの事は伝えていねぇ…。
あんな大人数…いくらなんでもまだ早い気がするし…。
「んまぁ…これからってとこかな…。人間のやつらと接触して交渉をしていきゃ、早い段階で…」
「ふん…いくらなんでも楽観視しすぎだろう…。人間の中にも危険なやつがいる…。交渉の相手を間違えれば終わりだぞ?」
「…わかってるよ…。俺もそこんとこは気になってるし…」
そう…。
まずは人間との接触…そして交渉が必要だ…。
初めはどっかの町や村と交易関係を結んで…売買を行う…。
面と向かっての取引は少し緊張するから、仲介人を交えた方がいいよな…。
そっから信頼を築いて多くの人間達に広めていくのが効率的だと思ったわけなんだが…。
でも…さすがに魔物と商売をする…なんてのは人間からすりゃ怖いか…。
前向きに考えてくれるやつがいるかなぁ…。