彼の背中に近づきたい-17
「あのさ…友芽。あいつ自身も問題ありだけど、友芽はどう思ってるの?宗佑のこと」絵梨が確かめる。
「ん…」
「好きなんでしょ?だったら…どうしてそんなに簡単にあきらめるのよ…」
出来の悪い生徒を見るような目で、絵梨が私を見る。
「だって私…志賀くんに部屋から出て行ってっくれって言われし…近づいても避けられてるし」
「ん…」と絵梨が考えてる。
「いや、ちょっと待って。それ、避けてるのと違わないか?というか、仕方ないかも」
「何でよ」
「友芽、あいつに迫ってたんだろう?友芽から来てくれたって。突然友芽にそんなことされたら…たいていの男はビビる。慌てて一人になりたいって思うかも…」
「どうしてよ?」
「多分…あいつ友芽のこと嫌になって追い出したんじゃないよ。
えっと…生理的に…
友芽がエロい格好してそばにいると…
おさまんなかったんだろ。
みっともないとこ見せられないって思うだろうな…
まあ、その辺は、深く追求するな」
「そんなの、友芽もその気になんだから、相手すればいいじゃん」
「急にやれるか。宗佑みたいな真面目なやつは、段階踏んでちゃんとしないと、
受け付けないさ。
今まで大切にしてきた女を、急にそういう風には見れないんだ。
まあ、友芽の今までの相手は、そんなこと気にしなかっただろうけど。奴はそこまで慣れてない」
「っていうか…友芽ってそんなガールズトークのネタみたいなもん、何も知らなかった?」
私は、思い切って、
今まで恥ずかしいと思っていえなかったことを、二人の前で言ってみた。
「今まで女友達いなかったし、人を好きになるのも初めてだし、どうしていいのか分からないっていう状態も初めてなの」
「ええっ?ありえんでしょ?そんななりして、初恋って…」
絵梨がまじまじと私の顔を見る。
「今まで分からなかったの。相手に気持ちが通じないって、こんなに苦しいことだったなんて」
「そうなんだ…」
小野君が不思議なものを見るように、私の顔を見る。




