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彼の背中に近づきたい-13


玄関のドアがガチャっと開いた。

ええっ?志賀くんもう帰ってきたの?



どうしよう。隠れる?



「友芽…何してるの?」

志賀くんは、私が逃げ出す前にリビングに入ってきた。



私は、幽霊でも見たのかと思うほど、かんとした顔で志賀くんを見た。

本物だ。

志賀くんは、昨日のことなんて忘れてしまったみたいに普通に話しかけてくる。



「志賀くんこそ、どうしてこんなに早く?」

ゴム手袋をそっと隠し、すぐ近くにあったバッグをつかんだ。



「関口課長に、えらい剣幕で怒られて、とにかく早く帰れって言われて」



「関口課長?」旦那さんの方だ。



「ああ、早くしないと間に合わないって言ってることが、訳がわかんなくて取りあえず、帰ろうと…友芽、何やってるの?」



「ちょうど、出かけようとしてたとこなの」

私はすっかり、力が抜けてしまっていた。



「そっか…」


「じゃあ。行くね」


「ああ…」


バタンとドアが閉まった。

最後に会えてよかったのかな。



たった二週間だけど、毎日、あの家で志賀くんを待って暮らすのは楽しかった。町の景色が潤んで、流れていく。


さあ、これからどうしよう。


早坂さんに電話しなきゃ。




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