彼の背中に近づきたい-8
部屋に戻って、布団の中で泣いていた。
自分がしたことで、志賀くんを困らせてしまった。
何度も志賀くんの部屋に行って、話をしようと思ったけど、志賀くんにどんな顔で会えばいいのか思い浮かばずに、時間だけが過ぎてしまった。
そのうち、志賀くんが部屋を出て行く音がした。私は、追いかけようとしたけれど、勇気がなくて部屋から出られない。そのうち、玄関のドアが開いて志賀くんが家を出て行くのが分かった。
志賀くん、行っちゃった。一言も声をかけてくれなかった。
やっぱり、軽蔑されたかな。やだ…もう死にたい。
私も、会社行かなきゃ。
けど、一晩中散々泣きはらした顔は、とてもひどいことになってるし、人に顔を見せる勇気もない。
私、振られたんだ。
人を好きになったのも初めてだし、振られたのも初めてだ。
どうしよう。
失恋と同時に、行くとこなくなっちゃった。
私は、関口さんが出社する時間になって、会社に電話をかけた。
「どうしたの?友芽ちゃん」
何て言おう…
振られて死ぬほど恥ずかしいから、会社にいけません。
「すみません、今日、会社を休みます」
「あっ、本当?分かった。こっちは何とかする」
「関口さん…」
「何?」
「お昼に時間取れませんか?」
「いいよ。会社の近くに居て。電話するから」
「はい。ごめんなさい」




