82/113
彼の背中に近づきたい-4
私は、彼の枕元に膝まずいた。そっと眠っている彼の手を取る。
そのまま彼の手を、私の頬にあて、彼の骨ばった大きな手の感触を味わう。
「志賀くん?ね、起きて…」
「ん…」
彼は寝返りをうって、私の方を向いた。ぐっすり眠っているみたいだ。目を開けたら、大事な話をしようと思ってるのに、体を揺すったくらいじゃびくともしない。
普段こんなに近くで見ることのない、彼の顔…鼻、閉じている目、唇、パーツの一つ一つごが愛おしい。そっと、指で一つずつ触れて、最後にそっと唇に触れる。
やっぱり好き。
ほかの人だと、こんなに体の内側から湧き出てくるような感情を感じることはできない。
彼の唇に指で触れてるうちに、どうしてもキスがしたくなった。
そっと、息がかからないように、静かに唇をあてる。
触れるか、触れないかの軽いキス。
柔らかな厚みのある感じの彼の唇が好き…ああダメ素敵…
もう1度だけ…軽く触れるはずだったのに…身を乗り出して、もう1度唇を重ねる。




