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私って何?-15


「おはよう」

次の日は、志賀くんより早く起きた。


志賀くんが作ってくれた通りに塩鮭を焼いて、朝ごはんを作った。キッチンのテーブルに出来た順番に並べて、彼がくるのを待っていた。



ドアが開く音がして、志賀くんが降りてきた。

「あの…志賀くん?朝ごはん…同じように、作ってみたの」



「まだ、居たの?朝ごはん?そっか…ありがとう」

よかった。穏やかな顔。

普段と変わりない。



私は、黙々と口を動かす彼の顔を見つめていた。

「あの、志賀くん。昨日はごめんなさい…」



「いいよ。そんなこと。友芽がどうしようと、友芽の自由だ。

ごちそうさま。もう行くね」

そう言うと、彼はすっと立ち上がった。



「うん…」

階段を上がりかけた志賀くんの後を追う。



彼は、振り返らずに言う。

「それから、この間も言ったけど、こういうのもうしなくていいから」


怒って口きいてくれないほうがよかった。

何やってるんだって、怒られたほうがよかった。





その日の夜、私は、志賀くんが帰って来るのを家で待っていた。


「志賀くん…」

玄関で彼が鍵を開ける音がした。



私は、我慢できずに大好きな彼に飛びついた。

「ちょっと…どうしたの?」


何を言われても、何度、突き放されても彼の腕の中が好き。


「謝りたくて…」



「謝る。俺に?何で木原が謝るの。別に何しようと、俺には関係ないでしょ」



いや。離れたくない。

「志賀くん…私、志賀くんのこと」



「ごめん…疲れてるから。明日にしてくれるかな」

彼は、私を容赦なく引き剥がすと、部屋に閉じこもってしまった。


その場にぺたんと座り込んで、いろいろ方法を考えたけど、浮かんでくることはみんな既に試したことで、志賀くんに拒否されたことだった。


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