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私って、何?-9


「あと、半月?」


部屋の中のものが、少しずつまとめられ、すみに段ボール箱に入れられて、積み上げられている。



「本当に引っ越すんだね…」

私は、部屋の中を見回しながらいう。


「ああ…」

彼に別れようって言われた時は、離れていくなんて耐えられないと思ってた。


なのに今は、一番大切だと思った人と、別れてしまうことを冷静に受け止めている。




「すごいな。営業部の課長か。異例の若さだって小野くんに聞いたよ」



「そんなことないさ」

早坂さん、謙遜してるけど、仕事を何よりも優先してきたのだから、この結果は偶然じゃないと思うよ。



「早坂さんの、努力が報われたね」

今は、心から喜んであげられる。


「ああ」



「それで、私の荷物は?」

部屋の中は、ものが移動されていて、どこにものが、置いてあるのか分からない。


部屋中さがしても、私の荷物はほとんどなかった。



探し出した私の荷物は、置きっぱなしの部屋着、洗面のセットみたいな小物ばかり。大したものはない。



「これだけなら、処分してもらえばよかったかな…」



私の感想を聞いて、早坂さんは、落胆した様子でいう。


「荷物なんて、口実さ。友芽…君は、俺に少しは会いたいと思ってくれた?」



「会いたかった?今さらそんなこと言ってどうするんですか?あっさり、別れるって言ったの早坂さんの方です」



「違う。あっさり決めたわけじゃない。君のためには…その方がいいと思って」



「もう、遅いです。がんばって一人で大阪に行ってください」

私は、無造作にこの部屋に残された残骸をごみの袋に入れる。



「ここで、荷造りしてると、友芽のそばから離れたくないなって思う」



「遅いです。あなたは。どうして私がそういう気持ちでいるときに答えてくれなかったんですか」

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