私って、何?-7
だんだん、早坂さんが好きになって、
距離を詰めたいと、普通の恋人同士がやることをしてみたいと思うようになった。
そんな時、早坂さんに言われた。
早坂さんは、申し訳ないって顔でいう。
「悪いけど、俺は君のことを最優先に出来ない。いつも俺の中心には仕事があって、将来誰とも家庭を持とうとは思わないんだ」
彼の育った家庭が、両親の折り合いが悪く、多分、この先どんなことがあっても、相手を幸せにする自信がない。
だから彼は、私が一緒にいると、私まで不幸になると言った。
そういわれて、やっと彼の言ってた意味が分かった。
理解できたら、私は、頭を殴られるほどのショックを受けた。
私の方は、まったく逆で早坂さんを信頼していたから。
「ごめん、俺がそう考えるのは、君が悪いんじゃないんだ。俺の方が、誰かとずっと死ぬまで一緒にいるなんて、あり得ないって思ってる」
私は、ようやく口を開いた。
「その考え…変えることは出来ないの?」
私は、泣きそうになりながら言った。
その時は、本当に早坂さんが好きだったから。
早坂さんは、「ああ」と短く即答した。
何にも悩んでないみたいに。
最初から…ずっとそう決めてたみたいに。
あの時、悲しんでいないですぐに別れるべきだった。




