私って、何?-4
今日は、食べないで帰ってきてね。
そういう内容のメールを送った。
やっぱり返事は無かったけど。
彼は、早めに帰宅した。
すぐに、私は食卓に食事を並べる。
「魚を煮たのと、きんぴらごぼうと、豆腐とワカメのお味噌汁」
「どうしたの?これ」
志賀くんは、スーパーで買った惣菜じゃないと、すぐに見破った。
「作ったの。漬け物は買ったものだけと」
志賀くん、定食でよく魚料理食べてると聞いた。
「ああ…」
「食べてみてよ」
関口さんが、志賀くんが好きなもの
( 関口さんのご主人に志賀くんがお昼によく食べてるもの )を聞いてくれた。
「うん…」
不思議な顔。
「不思議でしょ?私ね、志賀くんが好きなものわかっちゃったの」
「まさか…そういうの別に不思議じゃないよ、みんな好きでしょ?」志賀くんちゃんと笑ってる。
「ん…」
『直接、受け付けてくれないなら、食べ物から頑張ってみたら?好きなものなら、食べてくれるわよ』
関口さんにそう言われて、会社を出る頃には、メニューまで聞き出してくれた。
「大丈夫だった?口にあったかな」
「ああ…ちょっと、薄味だけど。大丈夫だよ」
本当に?次も食べてくれるかな
「それ好き?」
「ん…」
私のことも好き?
今みたいに…ん、って一言でいいから言ってくれないかな。
「友芽…お前、毎日こんなことしなくていいぞ。夕食ならたべてくるから」
「あっ…えっと」
彼が背中向いていて、よかった。
ぽろっと涙がこぼれたの見られなかった。
「そう…ごめん。余計なことしたね」
美味しくなかったのかな。
味薄いって言ってたもんね。
食事を作ってあげるのも、ダメなの?
関口さん、私もう、心が折れそう。




