私って、何?-3
「仕事の事じゃないと話したくない?」
「いえ、そんなんじゃなくて…」
えっ?注意じゃないんですか?
「友芽ちゃんて、プライベートのこと、話せる人いる?」
「あの…えっと」
いない。絵梨にはいろんなこと話すけど…全部じゃない。
「もし、よかったら話してみない?」
「でも…」
「それだけ目立つ容姿なのに、彼に何を作ってあげたらいいのか、なんて話、お友達に聞けないわよね?」
関口さんが、にこっと笑う。
そうなのだ。
高校時代に手ひどく対人関係で失敗して、同性の友達をすべてなくしてしまった。
だから、些細なことで絵梨に相談するのをためらってしまう。
「えっ?ご飯作ってあげたの、早坂くんじゃないの?」
「…はい」
「誰?」
「志賀宗佑…開発部の」
「ええっ!」
「関口さん、ご存知ですか?」
「えっと、うちの旦那の部下…そうか、同期だっけ…でも、意外だね。志賀くんて、しゃべらないでしょ。そっか…宗佑君か」
「はい…いろいろあって、志賀くんに助けてもらったんです」
私は、志賀くんとのことを少しずつ話し出した。
関口さんは、相づちをしながら話を聞いてくれた。
「本当に志賀くんのこと、好きなんだね」
「はい」
「そうだ。友芽ちゃん、今日は仕事早く終われるよね。一緒に夕食の買い物に行こうか?」
「えっ?いいんですか?」
「だって、相手が宗佑君なら応援しなきゃね」




