私って、何?-2
「どうかしたの?」
関口さんが、横からのぞき込んだ。
「ごめんなさい。何でしたっけ?」
ぼんやりしていたのを、指摘されて私は、慌てて顔をあげた。
「ごめんね、びっくりさせて。とくに、用事は無いんだけど…どうしたのかなと思って」
いけない。パソコンにデータを入力してたのに、手が止まってた。
同じ文字がずっと並んで入力されてる。
「すみません…ぼうっとしてしまって…」
関口さんに見られちゃった。+
「ねえ、友芽ちゃん、お昼一緒に食べようか?私、今日はお弁当じゃないんだ」
「はい」
お昼は、関口さんが前に通っていた店に行ってみようということになった。
関口さんとオフィスを出て、一緒に歩いてく。
「まだ、やってるかな?」
関口さんが、この辺かなという辺りを見回した。
「あっ、あれじゃないですか?赤い屋根のお店」
「本当だ。よかったまだ、あったね」
関口さんが連れてきてくれた店は、ランチを出してくれる、こじんまりとした喫茶店だった。
駅前に向かう賑やかな通りと逆だから、ぎりぎりに来ても、店は空いていた。
「全然、知らなかった。こういうお店、探せば、いろいろあるんですね」
「ここね、ハンバーグステーキがオススメだよ」
「はい」
注文して、落ち着いたところで関口さんに声をかけられた。
「何かあった?」
関口さんが優しく声をかけてくれる。
「ええ…でも、仕事の事じゃないですから」
私は、下を向いて答える。
志賀くんのことが気になって、何度か手が止まったり、ため息をついたりしてた。
私、何してたんだろう。
言われるまで、気づかなかった。




