同居ー23
私は、離ればなれになった恋人に抱きつくみたいに、志賀くんの首に腕を巻きつけた。
志賀くんが、おもいっきり迷惑そうな顔したけど、気にせずしかみついて、離れないようにした。
「なにやってんの…」
さっきより、イラつきが増してる。本当に迷惑そうにいう。
「ごめん、トラブってるの。お願い、話を合わせて…」
顔をあげると、志賀くんの頬がくっつくくらい、に私の顔がある。そのすぐ近く…本当に、至近距離に志賀くんの唇がある。
正面から抱きついたから、薄いコートの上からでも、引き締まった体を感じられる。
なんなら…ずっとこのままでもいい。
幸せ…
「こんなとこで、じゃまだ。離せ」
志賀くん…私を引きはなそうとしてる。
「ちょっと待って、本当なの。お願い。言う通りにして…じゃないと連れていかれて、そいつの部屋に連れ込まれる」私は、小声で言う。
「何でそんなことになってるの?」
「あの男、誰?」
「知らない。通りすがりの男。彼氏の相手をする合間に、自分の相手もしろって、それで、家まで私のことお持ち帰りしたいって」
「ああっ?なに、それ」
志賀くんは、私の腕を振りほどき、つかつかとその男のところまで行った。
「あんた、なんか用?」
志賀くんたら、さっきの男に向かって怒ってる。
向こうの方が、ずっと背が高いよ。
なのに、気にぜず向かって行ってる。
志賀くん、ちょっと大丈夫なの?
志賀くん、あの時みたいに凄んでる…あまりの剣幕に相手の方ががひるんでる。
「あんた、何してんだ。ふざけんな」
背の高い男の、胸ぐらをつかんで凄んでる。
ちょっと…大丈夫?
志賀くん、無理そう…怪我するよ。
「止めてったら、志賀くん?」思わず前に出た。




