事件ー22
志賀くんは、
2階の和室を使わせてくれた。
「普段は使ってない部屋だから、
遠慮しなくていい」
と志賀くんに言われた。
志賀くんは、清潔なシーツと枕を与えてくれて、隣の部屋で寝てるから、何かあったら起こしていいよと言って安心させてくれた。
布団の中に入り、目を閉じる。
ひどく疲れているのに、全然眠れなかった。
体は動けないほど重いのに、目だけが冴えている。
バッグの中で、携帯が光ってた。
そう言えば、さっき、絵梨が電話をしてきてた。
声が震えてて、絵梨に電話かけられないっていった。
志賀くんは、連絡は俺がしとくからと言って、代わりに電話に出てくれた。
私には、ここで黙って座わってろと、私を一人にしておいてくれた。
あんなに無愛想だと思った人が、これまで私が出会った人の誰よりも、私を理解しようとしてくれてる。
この事実を、素直に受け止めてもいいのか…私には分からなかった。
取り出して見ると、着信になってたから、
そのままかけ直した。
「もしもし?友芽、どうしてた?」
「絵梨…」
「どうしたの?」
私は、さっき、起こったことを説明した。
「友芽、なんですぐに連絡して来なかったの?」と、絵梨が心配して起きていてくれた。
「かなり動揺して、何も出来なかったから、
志賀くんが、代わりに全部やってくれたの…
アパートに住めないって言ったら、自分の家に来いって言ってくれて。今も志賀くんちにいる。
だから、心配しないで…また、連絡する」
「そっか、宗佑、人に任せないで自分で全部仕切りたかったわけだ。だったら友芽は安心だよ。今日はゆっくり寝なさい。あいつ、すごくいいやつだから、安心して頼ればいいよ」
絵梨の笑い声が聞こえる。絵梨は、最後にクスッと笑った。
「うん」




