事件-15
「何?これ…」
ドアの鍵が壊され、部屋の中は変わり果てていた。部屋の中のものだけでなく、クローゼットの中身もぶちまけられていた。
「お前、部屋ん中いつもこんなんか?」
「違う…」私は、必死に首を振る。
私は、怖くて志賀くんにしがみついた。
ぶるぶる足が震えて、ちゃんと立っていられない。
カーペットの上を、土足で歩き回った後があり、何もかも、めちゃくちゃになってる。
飾りだなにあったものが、怒りに任せたみたいに撒き散らされ、何かが壁に当たり、ガラスの破片が床に落ちてる。
衣類や、読みかけの雑誌、電化製品。あらゆるものが踏み場がないほど床に散乱していた。
「泥棒だ…」
口にしてみると恐ろしくなった。
「どうしよう…」
私は、志賀くんの上着をぎゅっとつかんでいた。
「大丈夫か?」
「うん…」声が震えている。
「ドアの外で待ってて、遠くには行くな」
彼に言われて、きっちりドアの外で待つ。
三月になって少し暖かくなったといえ、
外はまだ、かなり冷え込む。
足が震えてその場にへたり込んだ。
「木原、大丈夫か?なんともない?」
どうしたの?志賀くんがそう言って、私を気遣ってくれてる。
「うん」
私は、志賀くんに脇を支えてもらって、立たせてもらった。
「取り合えず、木原、不動産屋か大家さんに連絡つく?」




