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事件ー11


「木原さあ、小田急線だろ?

新宿からの距離は変わらない。案外距離は近いと思うから、そっちから回ってやるよ」


まともに言葉を話してる、志賀くん。

私は、珍しい鳥がしゃべってるみたいに、彼の顔をじいっと見ていて、話を聞いてなかった。


彼の言ってることの意味が全然分からない。


「ん?」


「だから、俺が一緒に小田急線に乗って

木原の家に寄ったら、バスかタクシーで帰るって事」


それって、このまま、家までずっと一緒ってこと??


絶対無理!怖すぎる。


「ええっ!ちょっと、家まで送ってくれるってこと?そんな、すごい遠回りじゃない…」

ビックりだ。どういう風の吹き回しなの?


どうしよう…私、彼に何かした?



何でもないようなこと言うけど、結構大変だよ、それ。私、彼女でもないのに。



「ちょっと待って」

頭が混乱してる。志賀くん、私となるべくかかわりたくないんでしょ?



「多分…この時間なら、駅に向かうバスあるし、木原の家の辺り暗いだろ?」

志賀くんが、1度にこんなに長い言葉、話してるの初めて見た。


志賀くんは、私の返事を聞く前に、小田急線の方へどんどん、歩いていった。


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